マセラティ、「マセラティ・クアトロポルテ・スポーツGT S」を発表
クアトロポルテSから10PSアップのハイパースポーツ

2009年5月20日発表
1695万円



 コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドは5月20日、マセラティの4ドアセダン「マセラティ・クアトロポルテ・スポーツGT S」を発表した。すでに発売中の「クアトロポルテ」のスポーツ向けグレードでエンジン出力や足回りを強化した。価格は1695万円。デリバリーは8月の予定。

マセラティ クアトロポルテ GT S。クアトロポルテ、クアトロポルテSとの外見の上の違いは、フロントグリル、ボディー同色ドアハンドル、20インチホイールなどエキゾーストパイプは楕円形で左右合計2本

エンジンと足まわりを強化したスポーツグレード
 マセラティ クアトロポルテ スポーツGT Sは、「マセラティ クアトロポルテS」をベースに、排気システムを効率化したモデル。エンジンのスペックはV型8気筒 4.7リッター DOHCと同じだが、最高出力は323kW(440PS)でベース車から10PSアップ。最大トルクは490Nm(50.0kgm)となる。欧州の排ガス規制のユーロ5にも適合している。

 組み合わせられるトランスミッションは6速AT。ステアリングには新たにデザインされたシフトパドルを備え、手動での変速も可能。新開発のギアシフト・マネージメント・ソフトウェアにより、素早いシフトチェンジが可能だと言う。

 足まわりはベース車に対してスプリングレートをフロント30%、リア10%硬め、専用のダンパーを採用する。車高はフロントを10mm、リアを25mm低くした。ホイールは新デザインの20インチ・マルチトライデント・アロイ・ホイール、タイヤはフロントが245/35ZR 20、リアが295/30ZR 20となる。

エンジンは4.7リッターV型8気筒DOHC。カバーや補機類に覆われてエンジンの全貌は見えない

 クアトロポルテ スポーツGT Sのエンジン音(MP3、153KB)

 エクステリアでは、フロントグリルを変更。ほかのクアトロポルテのグリルの縦桟がボディーよりも張り出す形なのに対して、スポーツGT Sでは内側に凹むような形状に変更、カラーもブラック仕上げとしてスポーツ感を演出している。グリル中央に配置されるマセラティのエンブレムはマセラティ歴代のスポーツモデルに装備される赤をアクセントとしたものになる。

 ヘッドライトはライトケース内の塗装をブラックに、ドアハンドルはボディー同色仕上げとした。リアはエキゾーストパイプのエンドを楕円形とし、左右2本出しにした。

フロントグリルは縦の桟を内側に引き込んだカーブを描いているライト内の点灯部分以外はブラックになっている新デザインの20インチホイール
ボディー同色のドアハンドル。他のクアトロポルテはメッキ仕上げCピラーのマセラティのエンブレムリアにはLEDによるテールランプとウインカーが装備される

 サイズはグリル形状の変更などによりベース車よりわずかに全長が短くなる5097×1895×1423mm(全長×全幅×全高)で、重さは乾燥重量が1880kg、車両重量が2050kg。

 インテリアはスエード調の人工皮革「アルカンターラ」にパーフォレート(多孔)加工を施した素材によるシート表皮やドア内張り、ステアリングホイールを採用している。高級さを演出しながら、やわらかい手触りと、シートやステアリングは滑りにくい表面となり、ほかのクアトロポルテの一般的なレザー内装とは異なった印象を持たせている。

運転席まわりもアルカンターラやカーボン調のデザイン、赤糸によるステッチなどが施されるステアリングホイールの表面はアルカンターラ張りアームレストもアルカンターラ張りとなり、ソフトな手触りを実現している
ステアリングホイールには、シフトパドルが装備される運転席のメーターまわり
シフトレバーは手に触れる部分はアルカンターラで仕上げられているマセラティ伝統のアナログ時計も健在だ助手席側も運転席と同様の仕上げ。グローブボックスの扉は革張りで赤いステッチが施される
シートは体重のかかる部分がアルカンターラでホールド性は良好。多孔加工によりムレも少ないと思われる金属プレートがむき出しのペダルにもマセラティのロゴが配置されるフロントドア内側にもアルカンターラが張られる
リアシートもアルカンターラが使われ、体が滑って落ち着かないことがないヘッドレストは5人分がある。天井もアルカンターラリアシートのエアコンコントロールパネルは表面がカーボン調
リアドア内側にもアルカンターラが張られる。肘掛部分の手触りがよいトランクは後輪駆動ながら十分な容量を持つ。フロアカーペットの下にはスペアタイヤの収納スペースもあるリアガラスには輸入元のコーンズのロゴが貼られる
クアトロポルテ GT Sを序幕するMaserati S.p.A. 日本統轄マネージャーのファブリツィオ・カッツォーリ氏とコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドのマセラティ・グループ C.O.O. 鴨下俊之氏

競合車は「直線道路でハイパフォーマンスを追及しているようだ」
 今回の発表では、製造元のMaserati S.p.A.からは日本統轄マネージャーのファブリツィオ・カッツォーリ氏が登壇、「マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S」の特長を説明した。

 3つのグレードが揃ったことにより、上級セダンの、ラグジュアリーセダン、フラッグシップ、ハイパースポーツの3つのセグメントに対して「クアトロポルテ」「クアトロポルテS」「クアトロポルテ GT S」を当てることができたと説明した。

 また、「マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S」のターゲットユーザーについては「ドライビングを真に楽しんでいただけるお客様」と説明。競合車については「直線道路でハイパフォーマンスを追及しているようで、運転席もコクピットではなくソファーのような快適性を求めていると思う」とし、「マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S」の際立ったスポーツ性を強調した。

 ファブリツィオ・カッツォーリ氏はマセラティの2008年の業績についても説明した。全世界で台数が前年対比17%伸び、前年3倍以上の7200万ユーロの収益を達成、59カ国の市場で2008年はポジティブに推移していることをなどを発表した。

Maserati S.p.A. 日本統轄マネージャーのファブリツィオ・カッツォーリ氏高級セダンの各セグメントに「クアトロポルテ」「クアトロポルテS」「クアトロポルテ スポーツ GT S」が収まると言うファブリツィオ・カッツォーリ氏のイメージでは、左の道を好むのがマセラティ クアトロポルテ スポーツGT Sのユーザー、右の道はその他の同セグメントの車だそうだ
マセラティ クアトロポルテ。4.2リッターエンジンを搭載するベーシックグレードマセラティ クアトロポルテ Sはマセラティクアトロポルテ スポーツGT Sのベースとなったグレードで、4.7リッターエンジンを搭載する
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドのマセラティ・グループCOO 鴨下俊之氏

男の子の夢を次の世代に伝えられる車
 輸入元のコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドからは、マセラティ・グループ COOの鴨下俊之氏が登壇、2008年の国内販売状況を説明した。

 2008年は国内のマセラティの販売は580台を記録、内訳はクアトロポルテが242台、グランツーリズモが333台、そのほか並行輸入が3台だという。「マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S」の投入により、4ドアの市場を掘り起こしを期待しているとした。

 鴨下氏は昨今の自動車離れについてもクアトロポルテと絡め、ひとつのストーリーを紹介、「クアトロポルテに乗って家族ドライブで箱根の山道を訪れ、小学生の息子に“お父ちゃん、峠道を走るとすごいんだね”と見せることができたならば、たぶん、その小学生は、車が好きになるんだろうなあと思う」と語った。

 また、販売を展開していく上での夢として「古来から男の子の夢であった“速く走って、速く曲がって、速く止まる”ということを、次の世代に伝えられるような手段として、この車が日本の市場に入っていければ」とした。

(編集部:正田拓也)
2009年 5月 21日