ルノー、初のクロスオーバー「コレオス」発売
県道65号線が生んだ“フレンチタッチ”の乗り心地

2009年5月27日発売
319万8000~359万8000円



 ルノー・ジャポンは5月27日、クロスオーバーカー「コレオス」を発売、都内で報道関係者向けの発表会を開催した。コレオスは日産の「デュアリス」をベースにしたルノー初のクロスオーバーで、ルノーと日産のアライアンスから生まれた車となる。価格は319万8000~359万8000円。

乗り心地をメインテーマとした4WDクロスオーバー
 コレオスは直列4気筒 DOHC 2.5リッターエンジンを搭載、トランスミッションはCVTの、4WDクロスオーバー。エンジンの最高出力は126kW(170PS)、最大トルクは226Nm(23.1kgm)。燃料は輸入車にしてはめずらしい無鉛レギュラーガソリンが指定されている。

 ルノーのデザインによるボディーサイズは4525×1855×1695~1710mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2690mm。車両重量は1660~1730kg。

 グレードはベースグレードの「コレオス」、レザーシート装備をはじめ全体的に装備を充実させた「コレオス プレミアム」、「コレオス プレミアム」に大型のガラスサンルーフを装備した「コレオス プレミアム グラスルーフ」の3タイプ。グラスルーフは受注生産となる。

コレオスのスタイリングはルノーのデザイン部門による。写真のカラーは注文生産色の「グリ アルジョンM(メタリック)」
エンジンは直列4気筒タイプバッテリーは輸入車向けの規格ではなく、国産車に多く採用されているタイプ
テールゲートは上下分割式。少量の荷物や狭いところでは上半分だけ開放して出し入れできる上下とも開くと下部はベンチにも。下側ゲートの耐過重は200kgライトはベースグレード以外はバイキセノンタイプとなる
グラスルーフは屋根全面がガラスになるワイパーは最近の車に多いフラットタイプ

 

コレオスの特長のひとつ。上下分割式のテールゲート。下側は200kgまでの重さに耐えられるため、大人が座っても問題ない

 5人乗りでリアシートは6:4の分割可倒式。座面を跳ね上げたうえで背もたれを倒すダブルフォールディング方式。「コレオス プレミアム」と「コレオス プレミアム グラスルーフ」は、リアゲートを開けたところにあるワンタッチレバーを操作するだけでで背もたれが倒れる機構を持つ。

 安全装置としてはアンダーステアコントロールロジック付きESP、EBD付きABS、6エアバッグ、ISOFIXチャイルドシート対応などを装備。アフターサービスとして12カ月法定点検と交換部品および交換費用2回分をパッケージにした「ルノー・ケア・スタンダード」が標準で付属する。

 コレオスの生産は韓国のルノー・サムスンの工場で行われ、ルノーの品質基準を満たしたものとなる。初年度の販売目標は非公開だが、国内のルノー車販売の1割ほどになると見込んでいる。

リアシートをフラットにたたむためには座面を持ち上げて背もたれを倒してしまいこむ。背もたれはリアゲートを開けたところのレバーでも倒すことができる
スペアタイヤは床下に完全に収納される後席の子供を確認できるミラーリアのドアにはサンシェードが内蔵される
キーの代わりにカードを利用する。カードを持っていれば、ドアハンドルを握って開錠、ボタンを押して施錠できるキーの代わりとなるカードは、コンソールに差込口があるカードを持っていれば、ドアハンドルを手を差し込むと開錠、ボタンを押すと施錠となる

ルノーと日産の愛の結晶、いいとこ取りの車
 発表会では、ルノー・ジャポンのCOOに今年就任した大極司社長があいさつに立ち「10年にわたるルノーと日産のアライアンスの愛の結晶」と説明、コレオスは10年間に渡るルノーと日産の意見のぶつかり合いの中で、お互いを深く理解できた結果だとした。

 また、フランスのルノーからは、コレオス開発のプロジェクトマネージャーだったフランソワ・ロラン氏が来日、コレオスの説明を行った。

 ロラン氏によればコレオスにおけるルノーと日産の役割分担は、生産開始前はエンジニアリング部分などを日産が担っていたが、生産開始後はすべてルノーの責任におけるルノー車であるとした。「コレオス」とベースとなる日産「デュアリス」は同じプラットフォームを採用、共通部品は40~50%だが、ユーザーが見て触れられる部分はルノーのものとなっており、乗った印象は間違いなくルノーだと強調した。

ルノー・ジャポンの大極司COOコレオス開発のプロジェクトマネージャー フランソワ・ロラン氏コレオスにおけるルノーと日産の役割分担

フレンチタッチな乗り心地は「D65テスト」から
 コレオスで強調される乗り心地については、ルノー車独自の「D65テスト」をパスした足まわりによって実現される。D65の名称はフランス・ノルマンディ地方のルノー技術センター近くにある未舗装の県道65号線をテスト道路として使用した名残。65号線は舗装されたので、現在は当時の県道65号線を再現したシミュレーターで行われる乗り心地のテストがD65となっている。

 このテストでは、サスペンションのセッティングからシート、エンジンの振動吸収まですべてテストできるよう実際のシートに座らせたマネキンにセンサーを搭載、人間の脳に伝わる振動をチェック。マネキンの背骨に設置した加速度センサーの数値では、他のライバル車よりも良好な数値を示したと言う。

ルノー車の乗り心地テスト「D65テスト」は県道65線の名残乗り心地のテストにはセンサーを備えたマネキンで振動などを測定するサスペンションはデュアリスをベースとしたものだが、ルノーによるチューニングが施されルノーの乗り心地になっていると言う

 駆動方式は走行状態に応じて前後トルク配分を100:0~50:50に変化させるオールモード4×4-iシステムを採用。トルクの配分は車速、タイヤのスリップ状態、旋回状態、アクセル開度などもとに判断、リアへの駆動力をゼロから直結まで可変させる。手動で切り替えも可能で、オートモード以外は2WDと直結を選択することができる。

 トランスミッションはルノー車初のCVT。変速パターンは約700用意され、ドライバーの操作に応じた変速パターンが自動選択される。また、6段相当分のギア比を切り替えるマニュアルモードも用意、マニュアル時の変速は100分の1秒で行われる。

コレオスの視界は上下方向にも広くなり、安全性や開放感がアップしていると言う

フレンチタッチをちりばめたクロスオーバー
 そのほか、フレンチタッチを実現するため、クロスオーバー系のクルマではめずらしく明るい色の内装を選択。ドライバーの視界は上方向へ31度、上下合計では36.3度とし、安全運転にも寄与する開放的な視界を確保した。

 ダッシュボードのデザインは、前後左右からの波のような曲線を描き、クロスオーバーカーの中では洗練されたもの。開放的なダッシュボードをデザインできたとした。

コレオス プレミアムの内装カラーはベージュの1タイプのみ。シンプルなメーターパネルコレオス プレミアムのレザーシート。カラーはベージュ。ベースグレードはチャコールグレーのファブリックシートとなる
コレオス プレミアムにはオートエアコンが標準装備。カーナビは画面の設置場所が用意されるが装着はディーラーオプションシフトレバー手前左のスイッチは電子スイッチ式のパーキングブレーキ全車ATのため、ペダルはアクセルとブレーキのみ
グローブボックスのパネルの形状から、ダッシュボード全体が波打ったデザインがわかる運転席の小物入れはドア側につくリアシートもベージュのレザーシート

 輸入元のルノー・ジャポンでは、今回からボディーカラー名称をフランス語に置き換えた。黒色の「ノワール ディボワールM(メタリック)」、グレーの「グリ ソーンジュM」、白色の「ブラン ぺルレM」の標準3色のほか、注文生産色では赤が「ルージュ ゴッティーニM」、赤みがかった茶色は「マロン キュイブレM」など、カラー名称までフレンチタッチを演出している。

用意されるボディカラーは標準3色、受注色が7色の合計10色。色の名称はすべてフランス語ガラスサンルーフのないタイプ。カラーはグリ ソーンジュMボディカラーはオリーブ サーブルM
ボディカラーはノワール ディボワールMボディカラーはノワール ディボワールM

 

ルノー・ジャポンの大極司COOとコレオス開発のプロジェクトマネージャーだったフランソワ・ロラン氏

新型カングーは秋に導入予定
 発表会では、ルノー・ジャポンの大極司COOがルノーの「FTS戦略」を打ち出した。

 FTSの「F」はフレンチタッチで、「T」はトレンディ、「S」はスポーツ。日本ではフランス文化を愛する人が多く、フランスの想像力あふれるトレンディさ、モータースポーツでF1にかけてきた技術や情熱、といった3つの要素を束ね、フランスらしさという軸を作ると宣言した。

 コレオスについても「フレンチタッチの乗り心地」をメインに掲げ、高い4WD性能を持つクロスオーバーであることは、まさにFTS戦略に当てはまると言う。

 また、今後のルノー車の導入計画も発表された。秋には人気のカングーの新型を国内導入、トゥインゴRS、ルーテシアRSも予定する。来年はマイナーチェンジしたルーテシアと、カングーのショート版「be bop」などを予定している。

(正田拓也)
2009年 5月 28日