スズキ「ワゴンR」が「2009 RJCカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞
輸入車部門は、「Audi A4/A4アバント」

11月18日決定



 栃木県にあるサーキット「ツインリンクもてぎ」にて、2009 RJC(日本自動車研究者・ジャーナリスト会議:Automotive Researchers' & Journalists' Conference of Japan)カー・オブ・ザ・イヤーの選考会が11月18日に開かれ、年次を記念するにふさわしい自動車に与えられる「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」のほか、輸入車部門の「RJCカー・オブ・ザ・イヤー=IMPORT」、最も優れた技術に与えられる「RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー」、スポーツ車部門の「RJC特別賞」が決定した。

 RJCは正式名称からも分かるとおり、主に自動車関連のジャーナリストや研究者で構成されたNPO法人。1991年度からRJCカー・オブ・ザ・イヤーを開催しており、今年度が第19回目の開催となる。対象となる車は、20007年11月1日から2008年10月31日までに発表された車。また、今年度の特別賞としては、巷間言われている“クルマ離れ”という部分を考慮し、“運転していて楽しい車、移動の手段としてだけではなく、乗ること自体が目的になり得るクルマ”を改めて見直すために「ハイパフォーマンス&スポーツカー(楽しく走れるクルマ)」を対象とした。

 すでに第一次投票が11月4日に行われており、11月17日、18日とツインリンクもてぎで試乗会を実施し、最終投票が行われた。

 投票は、各審査員が持ち点25点を持ち、一次選考で選ばれた6車種(6つの技術)に、9、6、4、3、2、1点を配点。無効票が数票出た部門もあったものの、最大62票の総合計(558点満点)で決した。

 その結果、見事RJCカー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのは、スズキ「ワゴンR」。また、輸入車部門であるRJCカー・オブ・ザ・イヤー=IMPORTは、アウディジャパンの「Audi A4/A4アバント」が獲得した。

 技術部門となるRJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーは、「フォルクスワーゲン ゴルフ」に搭載されている「1.4TSI&7速DSG」が、スポーツ車部門の特別賞には三菱自動車工業の「ランサーエボリューションX」がそれぞれ輝いた。

一次選考に残った各メーカーがツインリンクもてぎにブースを構え、投票前の最終試乗会が行われた投票結果の一覧。1票ずつ配点が読み上げられていった。とくに激しい争いとなったRJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー部門では、配点が読み上げられるたびに審査会場がどよめきにつつまれた

最終審査会の司会・進行を担当したRJCメンバーの鈴木五郎氏
 今回のこの結果について、司会・進行を行った自動車ジャーナリストの鈴木五郎氏は「RJCカー・オブ・ザ・イヤーにワゴンRが輝いたが、2位もタントとなっており時代が反映されている部分があるのかな。最終試乗もサーキットで行っていてこの結果になったことは、軽自動車も十分な走行性能を持っていると会員のみなさんが判断した結果と言える。また、技術部門では一次審査で選ばれた技術がすべて“速く走る”ためのものではなく、安全、環境の改善を実現したもの。投票では日産自動車のクリーンディーゼル技術と、フォルクスワーゲンの1.4TSI&7速DSG技術が激しく争ったように、とくに環境技術に票が集まったのも時代が反映されている結果だと思う」とコメント。プロが選ぶ2009 RJCカー・オブ・ザ・イヤーは、時代の色が強く反映された結果となったと言えるだろう。



RJCカー・オブ・ザ・イヤー
1位:スズキ ワゴンR(343票)
2位:ダイハツ工業 タント(263票)
3位:マツダ アテンザ(255票)

 RJCカー・オブ・ザ・イヤーはスズキの軽自動車ワゴンRが獲得。2位も軽自動車のタントとなった。コンパクトカー優位の中で、3位となったアテンザの健闘も光る。

RJCカー・オブ・ザ・イヤーはワゴンRに。関係者も喜びを爆発させていた

RJCカー・オブ・ザ・イヤー=IMPORT
1位:アウディジャパン Audi A4/A4アバント(443票)
2位:プジョー・シトロエン・ジャポン プジョー308/308SW(334票)
3位:プジョー・シトロエン・ジャポン シトロエンC5(221票)

 輸入車部門のRJCカー・オブ・ザ・イヤー=IMPORTを獲得したのはAudi A4/A4アバント。このところサービス体制も充実し好調のアウディだが、その高品質な車作りが評価された結果だろう。2位、3位はともにプジョー・シトロエングループが獲得。

RJCカー・オブ・ザ・イヤー=IMPORTは見事Audi A4/A4アバントが獲得


RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー
1位:フォルクスワーゲン グループ ジャパン 1.4TSI&7速DSG(364票)
2位:日産自動車 クリーンディーゼル技術(357票)
3位:スバル(富士重工業) Eye Sight(282票)

 最後まで激しく票を争ったのが技術部門のRJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー。1位と2位の差はわずか7票。開票されるたびに会場からはどよめきが起き、最終的に1.4TSI&7速DSG技術が獲得した。2位となったクリーンディーゼル技術も環境改善技術であり、鈴木氏もコメントしたように時代が反映された結果だろう。

RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーを獲得した1.4TSI&7速DSGを搭載するフォルクスワーゲン ゴルフと獲得を喜ぶ関係者


特別賞
1位:三菱自動車工業 ランサーエボリューションX(309票)
2位:日産自動車 GT-R(296票)
3位:アウディジャパン Audi R8(251票)

 この部門も13票差。ランサーエボリューションXとGT-Rが激しく1位を争ったが、ランサーエボリューションXが特別賞を獲得した。1位、2位、3位のいずれの車種とも、いわゆる“2ペダルMT”であるツインクラッチトランスミッションを搭載し、多くの人がスポーツ走行を容易に楽しめるようになっている。RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーに輝いた7速DSGも同様のシステムで、ギアによる高効率の動力伝達装置が、燃費面や環境面だけでなく、“楽しく走れるクルマ”という側面からも高く評価された結果と言える。

“運転していて楽しい車”部門である特別賞はランサーエボリューションXに。AT免許の人でもその楽しさを実感できるだろう。関係者も満面の笑み

 

URL
日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(略祢RJC)
http://www.npo-rjc.jp/

(編集部:谷川 潔)
2008年11月18日