2009カーたび・ミニフォーラム開催 車を使った新しい旅の形の討議会 |
主催者あいさつを行った、自動車旅行推進機構事務局長の丁野朗氏。社団法人日本観光協会常務理事・総合研究所所長でもある |
自動車旅行推進機構(以下、カーたび機構)は2月4日、観光庁から講演者を招いて「2009カーたび・ミニフォーラム」と題した討議会を開催した。
自動車旅行推進機構は、名前のとおり車による旅行を提唱していく集まりで、車で旅をする人へ向けて、Webやカーナビなど多彩な情報サービスを提供することで、新しい車の旅の形“カーたび”を多くの人に楽しんでもらうというのを目的としている。主な構成メンバーは観光関連の団体や企業、自動車メーカー、道路会社となっている。
最初に主催者のカーたび機構事務局長である丁野朗氏からあいさつがあり、秋田を訪れたときのエピソードが話された。丁野氏は「統計にもよるが日本で観光旅行に車を使っている人は6割を超えている。秋田では観光でマイカーを使っている人は74%、レンタカーは8%。合計すると82%の人が車で移動しており、車がないと観光が成り立たないものがある」と言い、多くの地域を訪ねている知見から「いろいろな地域を訪ねていると、地方の(経済)状況は厳しいものを感じる。このカーたびで(地域の)活性化をしたい」と、カーたびを進めていくことでの経済の活性化を提唱した。
フォーラムのメイン講演を担当した、観光庁観光地域振興部観光地域振興課長の笹森秀樹氏 |
笹森氏によると、ここ数年1人あたりの宿泊観光回数や宿泊数は減りつつあると言う。また1960年代から比べると職場や学校での団体旅行から、家族や友人との旅行に移り変わったことが明らかであり、それに対応した観光へ切り替わっていくことが必要であるとのこと。
旅行先での主な交通機関については、公共交通機関の発達している東京都や、タクシーでの観光が突出している京都府が目立つものの、平均すると約6割の観光客が自家用車やレンタカーを用いての観光を行っていることが数字で示された。
国内における旅行消費額については、宿泊旅行が65.1%と大きな割合を示しており、これはすべて内需。観光庁としてはこの宿泊旅行を大きくして、より内需を刺激していきたいと語った。
「観光というと、やはり温泉というのが一般的なイメージで、1人あたり5万4000円ほどの消費を行い、4人家族だと20万円以上となる。20万円というと大画面テレビなどが買えてしまう金額でもあり、もっと宿泊旅行を増やすには今以上に満足度を上げていく必要がある」と言い、ピンポイントの観光地に行くだけでなく観光圏というものを整備することで宿泊観光の満足度向上と滞在の長期化を支援していきたいと述べた。
すでにそうした取り組みは開始されており、観光圏整備実施計画対象地域として16地域を認定。大分県や宮崎県を中心とした「新東九州観光圏」の整備計画を実例として紹介した。この地域では、2012年までに、平均宿泊数を1.48日/回から1.68日/回、宿泊客数を320万人から340万人に伸ばすことを目指しており、国の支援として観光圏整備事業補助費、旅行業法特例などを活用予定となっている。
観光庁の矢ヶ崎紀子観光経済担当参事官は観光庁アクションプランを紹介。このアクションプランには国内観光旅行の振興だけではなく、観光産業の国際競争力の強化など多岐にわたる要素が盛り込まれている |
ミニフォーラムの後半では、カーたび機構側から、車を使った旅行者に対してさまざな情報を提供していく「うごく! プロジェクト」を10月を目標に開始するということも明かされたが、今年は9月19日から23日までの5連休があるので、前倒しでの開始をという要望も上がっていた。
カーたび機構では、現在各種分科会でどのような情報をどのような手段で提供していくかを討議中で、カーたび機構への新規会員(企業、団体、自治体)を募集中だ。カーたび機構のWebサイトから入会案内などがダウンロードできるので、興味のある方は1度目を通して見るのもよいだろう。
■URL
自動車旅行推進機構(カーたび機構)
http://www.car-tabi.jp/
観光庁
http://www.mlit.go.jp/kankocho/
観光庁アクションプラン
http://www.mlit.go.jp/kankocho/kankochoap
(編集部:谷川 潔)
2009年2月5日