ブリヂストン、乗り心地を改善した第3世代ランフラットタイヤ 2009年内に新車装着用として商品化 |
ブリヂストンは3月3日、同社が第3世代と位置づけるランフラットタイヤの技術概要を発表した。2009年内に新車装着用として商品化される予定。
ランフラットタイヤは、空気圧がゼロになっても所定の速度で走り続けられるタイヤ。ISO技術基準で、80km/hで80kmの走行が可能と定められており、タイヤが構造的に破壊されるようなパンク状態でない限り、パンクをしてもある程度の走行ができる。
ブリヂストンでは、車の軽量化や小型化にあたってはスペアタイヤレスが有効な手段であり、パンクした際の走行安定性などの観点から、その最適解はランフラットタイヤであるとしている。同社の試算によると、すべての車両のスペアタイヤレス化が実現すれば、年間約5900万本のスペアタイヤの必要がなくなり、あわせてCO2の削減にも貢献できると言う。
今回発表された第3世代ランフラットタイヤの特長は、ノーマルタイヤ(通常タイヤ)と遜色ない乗り心地を実現した点にあり、その鍵となったのが「熱をコントロールする」ことにあるとのこと。
ブリヂストンのランフラットタイヤは、タイヤサイド部に補強ゴムを配したサイド補強型のもので、1987年の量産開始当初は乗り心地がノーマルタイヤに比べて固くなる傾向にあった。2005年以降の第2世代では、サイド補強ゴムに改良を加え乗り心地を改善。第3世代では、「発熱を抑える新サイド補強ゴム」「熱の力を利用して変形を抑える新プライ」「ダイヤサイド部を冷却するCOOLING FIN」の3つの技術によってさらなる乗り心地改善を行っている。
新サイド補強ゴムにより前世代よりも発熱が改善された第3世代ランフラットタイヤ。 |
新プライ(骨格)の働きによって、タイヤサイド部の変形を抑制し、温度上昇を緩やかにする |
タイヤサイド部にCOOLING FINと呼ぶフィン状の加工を施し、表面積を増やすとともに空気の乱流を発生。熱交換を活発化させることでタイヤサイド部を冷却する仕組み | COOLING FINの拡大イメージ。タイヤの周方向と直角に配置される。中央部に空隙があるのは乱流増を狙ってのものだろうか |
サーモビジョンで可視化したタイヤサイド部。COOLING FIN付きのタイヤのほうがより温度が低いのが分かる |
第3世代ランフラットタイヤには、この3つ技術がすべて使われるというわけではなく、タイヤサイズによって、また設定タイヤ荷重によって、第3世代技術を使い分けていく。
(編集部:谷川 潔)
2009年 3月 3日