アウディ、新型LMP1レーシングカー「R15 TDI」を発表 新型ディーゼルエンジンを搭載し、ル・マン24時間レースに挑む |
アウディジャパンは、ル・マン24時間レースに向けて、新しいLMP1レーシングカーを開発したと発表した。アウディにとってディーゼルレーシングカーの2世代目となるこの「R15 TDI」は、新開発のディーゼルエンジンが搭載されるほか、空力やシャーシー、サスペンション、電気系統に至るまで一新される。3月21日にセブリング(アメリカ)で開催される12時間耐久レースでデビューを飾り、6月13日~14日にフランスで開催されるル・マン24時間レースには、3台のR15 TDIを出走させる予定だと言う。
アウディは2006年に開催されたル・マン24時間レースにおいて、ディーゼルエンジンを搭載した「R10 TDI」で、初めてガソリンエンジン車を抑えての優勝を遂げた。今回開発されたのは、その「R10 TDI」に次ぐ2世代目となる。
ル・マン24時間レースは、効率的で経済的なマシン性能が要求される耐久レースであり、そのための軽量な構造や環境に優しいドライブコンセプト、空力などは、市販車の開発にも通じると言う。レギュレーションでもそうした部分に対する自由度が高く、今回開発したR15 TDIも、その自由度を十分に活用した、これまでのレースカーとは大きく異なるマシンになっているとのこと。アウディモータースポーツを統括するヴォルフガング・ウルリッヒ博士は「R15 TDIは、これまでスポーツプロトタイプに採用されたことのない、きめ細かい革新的技術を数多く備えています。まったく新しい考え方を採用した箇所も少なくありません」と述べている。
R15 TDIに搭載されるのは、新開発のディーゼルエンジン「V10 TDI」で、最高出力600ps以上、最大トルク1050Nm以上を発生する。「R10 TDI」に搭載されていたエンジンと比較して軽量コンパクトで、燃費もCO2排出量も削減。エンジンレスポンスも向上し、またより軽量になった新世代ディーゼル粒子フィルター(DPF)を採用している。
空力面においても、ドイツツーリングカー選手権(DTM)で2008年に優勝した「アウディA4」と同様にCFD(コンピュータ流体力学)によって最適化し、数多くの新技術を取り込んでいる。特徴的なのは高くなったノーズだ。また、サスペンションは新しい空力コンセプトに基づき、高い位置に引き上げられ、ホイールベースは長く、車重を最適化することで、俊敏性においても先代をはるかに凌駕するとしている。
電気系統においては、バッテリーに、軽量で高電圧のリチウムイオンバッテリーを初搭載。また、ヘッドライトには、すべてLEDを使ったロービームを採用している。これは、今後のアウディの市販車にも採用されていく技術だと言う。
(編集部:瀬戸 学)
2009年 3月 13日