パイオニア、事業再編や財政体質改善などの中期経営計画を発表
ホンダへの新株式発行や、三菱電機とカーナビ共同開発で黒字化を目指す

2009年4月28日発表


 パイオニアは4月28日、本田技研工業(ホンダ)への新株式発行や、三菱電機とのカーAV製品の共同開発などを含めた中期経営計画を発表した。

 この中期経営計画は、4月28日に開催した取締役会にて決議したもの。グループ全体の事業体制のスリム化、財政体質の改善、カーエレクトロニクス事業やホームエレクトロニクス事業の再編成を実施する内容が盛り込まれており、2011年3月期には両事業の営業利益を150億円、当期純利益を80億円の黒字に転換させる計画だ。

 事業体制のスリム化については、生産会社では30社のうち9社を閉鎖し、6社の規模を縮小。カーエレクトロニクス事業では営業部門と販売子会社5社を統合し、ホームエレクトロニクス事業では関係会社も含めて営業部門を販売子会社に統合する。また、国内拠点を現在の5拠点から川崎と川越の2拠点に集約し、グループ全体で正社員約5800名、派遣・請負社員約4000名を削減するほか、取締役や執行役員を6月の株主総会後に25名から19名に削減する。

 財政体質の改善については、棚卸資産や売掛債権の圧縮、設備投資などの抑制、役員報酬や従業員給与の減額、遊休資産の売却などで自助努力を進めるほか、ホンダへの第三者割当による新株式発行により増資を図る。ホンダへの新株式発行は、同社のOEM事業の主力取引先であるホンダとの関係をさらに強化することも目的としており、現在の取引関係や将来の事業展開、企業の規模、技術力や販売力からホンダが最適だと判断したと言う。新株式発行は6月を目途に行う予定だが具体的な日時は未定で、発行株式は1470万株、発行価格は24億9900万円。資本組入額は12億4950万円で、調達資金はカーエレクトロニクス事業の研究開発費用の一部に充当する予定だとしている。

 カーエレクトロニクス事業については、三菱電機とカーナビおよびカーAV製品のハードウェアおよびソフトウェアの開発を共同で行うことで合意したと発表。三菱電機とは2002年からカーナビ用ソフト技術の一部を相互利用しているが、さらにカーナビやカーAVに関する技術開発における協業の可能性につき検討した結果、合意に至ったと言う。加えて、4月23日には上海汽車工業(集団)総公司と中国におけるインテリジェント交通情報サービスシステムの開発、販売、サービス提供や、カーAVおよびカーナビゲーションの開発と販売を行う合弁会社設立で合意しており、中国での事業拡大に積極的に取り組むとしている。

 市販事業では海外市場での普及価格モデルの導入、新興国を中心とした成長市場でのカーAVを中心とした積極的な事業展開、国内でのテレマティクス事業の確立を目指す。OEM事業では、主力取引先であるトヨタ自動車株式会社やホンダとの関係をさらに強化するほか、カーナビを中心に純正事業やディーラーオプション事業を拡大。2012年3月期にはカーエレクトロニクス事業全体の営業収入に対するOEM比率が約45%に上昇する見込みだとしている。このほか、製品のBlu-ray Discやネットワーク機能への対応強化、運行管理などの業務用サービス、プローブなどのリアルタイムコンテンツ提供、省電力化と軽量化を図るとしている。

 ホームエレクトロニクス事業については、2010年3月期中のプラズマテレビの販売をもってディスプレイ事業から完全撤退し、ホームAV、DJ機器、CATVを中心に展開。光ディスク事業については、シャープとの合弁会社を10月1日までに設立し黒字化を目指すとしている。


(編集部:)
2009年 4月 28日