大阪府、電気自動車の普及を目指す「大阪EVアクションプログラム」を発足 橋下知事の元で産官学が連携し“大阪はEVのまち”を目指す |
大阪府は6月19日、電気自動車(EV)などのインフラや社会整備を推進する「大阪EVアクションプログラム」を発表し、同プログラムを推進する「大阪EVアクション委員会」を設立した。あわせて、同日に大阪府庁にて橋下徹大阪府知事らが出席するキックオフ総会を実施した。
大阪EVアクションプログラムは、大阪府内でEVインフラや社会の整備、先進的モデル事業を行うことで、大阪府内外のEVや太陽電池の普及を促進させる、低炭素社会を構築するとともに、将来的にEVをはじめとした新エネルギー関連産業の大阪府への集積を促すことを目的に行われる。具体的には、2009年~2011年にかけてEVや急速充電施設の普及を目指すフェーズ1、2014年までに充電施設のさらなる整備やイベント開催などを計画するフェーズ2、2019年までに関西圏全体でのEVの普及を目指すフェース3の3段階に分けて計画を実施する。
このうちフェーズ1では、2009年中に急速充電器を20基設置し、2011年までにEVを1000台導入する。また、急速充電器に太陽光発電施設の併設も目指すほか、急速充電器の最適配置実験やシミュレーターの開発、充電器の予約照会システムなど充電インフラの実験や構築といった実証事業も行う。加えて、タクシーやレンタカー、カーシェアリングなどでEVを積極的に導入し、「大阪はEVのまち」と印象づける事業も委託するとしている。
大阪府でEVの普及促進を行う根拠として、大阪府のベイエリアを中心に太陽電池や二次電池の生産拠点が集積していること、大阪大学や大阪産業大学などの大学でEV関連技術の研究が積極的に行われていること、製造業の事業所数が全国1位で大阪府産業の牽引役であること、これらの要因から国の「産学官連携拠点」に認定されていることなどを挙げ、大阪府が持つポテンシャルを示している。また、大阪府の軽自動車の普及率が100人あたり11万6000台、総保有台数が約100万台で、三菱自動車工業の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」などの軽自動車をベースとしたEVを導入しやすい基盤があることも大阪府の強みだとしている。
また、フェーズ1を実行するための環境整備も行う。製造分野の面では、新たな技術開発を産官学連携で推進するほか、EVメーカーと府内製造業者のマッチング、製造業者を中心としたコンソーシアムの形成を行う。また、人材育成の面では産官学連携の研究開発を通じて開発人材やコーディネーターを育成するほか、トラブル対応のための整備人材の育成、太陽電池発電に関連したアドバイザーなどの育成を検討している。
EVなどの普及意義 | プロジェクトの3段階のフェーズ | フェーズ1の主な目標 |
フェーズ1で計画している実証実験や事業などを紹介 | ||
大阪府が持つEV普及にあたってのポテンシャル | 製造面での事業展開の計画 | 人材面での事業展開の計画 |
キックオフ総会の模様 |
プロジェクトについては「抽象的な話ばかりでは進まないので。象徴的な事業としてEVを取り上げた。環境問題だけでなく、大阪府の産業振興にもつなげていき、EVの普及に伴って関連する事業をどんどん大阪で拡げていきたい」とプロジェクトへの期待を述べ、近い段階での展望では、大阪府の軽自動車の普及率の高さを例として「まずは府内の軽自動車をEVに置き換えていきたい」と語った。
また、キックオフ総会では出席者らによる意見交換も行われ、同プロジェクトに賛同する声が多く寄せられた。一方で、充電施設などのインフラ整備を早急に行うべきとする要望も多く寄せられたほか、急速充電器のみではなく家庭や駐車場などで利用できるAC100Vの充電施設の普及を望む声も寄せられていた。
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2009年 6月 19日