国内最大のスロットカーサーキット「スロットカーズ・ヨコハマ」
手ぶらで立ち寄り、すぐに楽しめるレーシングホビー


スロットカーズ・ヨコハマは6つのサーキットを持つ、国内最大のスロットカーサーキット。写真は、モナコ市街地コースの「CIRCUIT de MONACO」

 車好きなら1度は模型の車を走らせて、友達とカーレースを楽しんだことがあるだろう。ミニ四駆はその代表とも言えるし、無線操縦で楽しめるRC(ラジオコントロール)カーもその1つ。

 今回紹介するスロットカーは、ちょうどミニ四駆の手軽さに、自分で車をコントロールする楽しさが加わったホビーだ。大きさは、1/24(実車の1/24)スケール、1/32スケールなどさまざまなものがあるが、現在は1/32スケールが一般的。全長は車種によって異なるが、おおよそ10~20cmくらいまでのものが多い。

 ミニ四駆はあらかじめ、モーターと電源の電池を搭載して走るが、スロットカーに搭載されるのはモーターのみ。電源はスロットカーを走らせるスロットカーサーキットのレール(レーン)から給電され、アクセル操作はガングリップ型コントローラーのトリガーの引き具合によって行う。スロットカーは、給電レーンに沿って走るためステアリング操作は不要で、トリガーの操作が大きなポイントだ。

スロットカーサーキットに置かれたスロットカー。1/32スケールにもかかわらず、精密感たっぷり。これはSUPER GT GT500の「TAKATA 童夢 NSX」。スロットカーの前方に見えるのが給電レーン。スロットカーへの電源供給のほか、ガイドレーンにもなっているスロットカーの底面。左が前。前輪の間に見えるブラシがレーンと接触し集電する。後輪の前方に見える銀色のプレートがマグネットで、車体を下面に押しつける役割をする。いわばダウンフォース発生装置スロットカーは多数の部品から構成されている。電池を持たないためコクピットも再現
ガングリップ型のコントローラー。トリガー(白いレバー)がアクセルの役目を果たす。トリガーを引くと、レーンへの供給電圧が増え、スロットカーのスピードが上がる

 「スロットカーズ・ヨコハマ」は、そんなスロットカーを楽しめるサーキットが6つも用意された日本最大の施設。神奈川県横浜市都筑区にあるショッピングセンター「港北みなも」の3階にあり、横浜市営地下鉄グリーンラインとブルーラインの乗換駅であるセンター北駅、センター南駅のちょうど中間に位置する。東名高速の横浜青葉IC(インターチェンジ)や第三京浜都筑ICからも近いので、車で行くのにも便利だ。

 用意される6つのサーキットは、実在のサーキットそっくりに作られたものや、架空のものなどさまざま。富士スピードウェイそっくりに作られた「FUJI SPPEDWAY」やモナコGPをイメージした「CIRCUIT de MONACO」、おむすび型の「HIGH-SPEED OVAL」などがある。

 このスロットカーズ・ヨコハマでは、自分でスロットカーやコントローラーを持ち込んで楽しむこともできるのはもちろん、レンタルサービスも用意されているので、ふらりと立ち寄ってすぐに楽しむことができるようになっている。しかも年齢制限はないので、子供と一緒に行き、親子で競争することも可能だ。

港北みなもの3階にあるスロットカーズ・ヨコハマ。赤いブリッジゲートが目印。港北みなもの3階には、このスロットカーズ・ヨコハマのほか、日帰り温泉「港北天然温泉 スパガーディッシュ」、アミューズメント施設「クラブ セガ 港北」などがあるスロットカーズ・ヨコハマ最大のサーキットFUJI SPPEDWAY。富士スピードウェイを再現している。写真はダンロップコーナーからサーキットを見たところ同じくFUJI SPPEDWAYをパナソニックコーナーから見た。ヘアピン部分がやや低くなっているなど、本物の富士スピードウェイ同様の雰囲気を持つ。高低差は20cmほど
FUJI SPPEDWAYのストレート。12.8mの長さを誇るFUJI SPPEDWAYのヘアピンコーナーにスロットカーを並べてみた。FUJI SPPEDWAYは8レーンあり、8台のスロットカーが同時に走行可能。ちなみに、両端のレーンより、中央部のレーンが右コーナーでも左コーナーでもコーナーの半径がほどほどになるため、タイムを出すには有利とのこと各サーキットには、ラップタイムが表示されるモニターが設置される。1/1000秒まで計測可能
全長19mのCIRCUIT de MONACO。ポルティエやミラボー、ラスカスのようなコーナーや、トンネルがある。モナコっぽいと言えばモナコっぽいCIRCUIT de MONACOのトンネルへと入っていくSUPER GTマシンおむすび型のHIGH-SPEED OVAL。10度と20度のバンクを持つアメリカンオーバルコース

 料金は、コントローラーレンタル込みの1時間走行料が、ビジター1200円、会員1000円(入会金:一般500円、小学生以下300円)。そのほか会員向けに、平日1日走行券(11時~23時30分:2500円)、平日ナイト走行券(19時~23時30分:1500円)、土日ナイト走行券(19時~23時30分:1800円)も用意されている。レンタルスロットカーは性能によって異なるものの、1時間あたり、低速車300円、中速車400円、高速車500円。つまり、初めての場合、1800円でスロットカーを1時間楽しめることになる。

 実際に記者も、レンタルスロットカーを借りて楽しんでみた。カウンターで受け付けをすませ、スロットカーとコントローラーを借りて、いざサーキットへ。どのサーキットを走ってもよく、真っ先に目に止まったCIRCUIT de MONACOで遊んでみることにした。コントローラーをサーキットの横にあるコントロールボックスに差し、サーキットのレーンにあわせるようにスロットカーを置く。その際にスロットカーの走行方向を間違わないように。

受付に並ぶレンタルスロットカー。RCカーなどの経験がある人なら、中速車から始めてもよいだろうコントローラーからの線は3ピンケーブルへとつながっている。これをサーキット脇に設置された、コントロールボックスに接続する。コントロールボックスに見える「110」は、11.0Vのこと。現在サーキットに供給されている最大電圧を示す準備ができたら、いざプレー開始。操作は簡単だが、速く走らせるのはなかなか難しい

 スロットカーを置いて、あとはコントローラーのトリガーを引けば無事スロットカーが走り出した。と、とても簡単に走らせることが可能なスロットカーだが、きちんと走らせようとすると、これが意外と難しい。このCIRCUIT de MONACOは、実際のモナコGP同様きついコーナーの連続する全長19mのテクニカルコースで、調子に乗ってトリガーを引くと(アクセルを踏むと)すぐにスピードが出てスロットカーがコースアウト。コーナーの手前できちんと減速しないと、とてもコーナーをクリアできない。ということで、初心者には難しすぎたので、初心者向けの「KIDS LOOP CIRCUIT」へ。

初心者向けのKIDS LOOP CIRCUIT。高低差は60cmもあるが、コーナーは一定の曲率でレイアウトされているので、見た目よりやさしいサーキット。初心者は、まずこのサーキットから始めよう

 KIDS LOOP CIRCUITは、コースアウトしづらい設定になっているサーキットで、初心者でも比較的周回を重ねられると言うレイアウト。確かにCIRCUIT de MONACOよりも比較的満足に走らせることができたが、思いどおりに走らせるには、やはり練習は必要。操作は簡単だが、奥の深いホビーということを実感した。

 ちなみにスロットカーズ・ヨコハマでは、一定時間ごとに、すべてのサーキットの電源がいったん落ちる(1分未満)ようになっている。これは、同じサーキットやレーンを占有することなく、さまざまなサーキットを遊んでもらうためのローテーションタイムで、このローテーションタイムが来たら、別のサーキットやレーンに移動してほしいとのこと。KIDS LOOP CIRCUITを走らせていたら、このローテンションタイムが来たので、スロットカーズ・ヨコハマの目玉とも言えるFUJI SPPEDWAYに移動した。

 FUJI SPPEDWAYは、全長44m、直線部分だけでも12.8mある巨大なサーキット。富士スピードウェイの協力を得てデザインされたと言うだけあり、長い直線の後の第1コーナーやコカ・コーラコーナー、ネッツコーナーなどが見事に再現されている。実際に走らせてみても、富士ならではの直線をトリガー全開で駆け抜けるのは快感で、非常に楽しいサーキット。しかし、油断すると1コーナーでスロットカーがコースアウトして転がっていき、巨大なサーキットだけにスロットカーを復旧させに行くのが大変だ(コースアウトした場合は、自分でレーンに戻す)。

 1時間という時間は、スロットカーを走らせて楽しむには十分な時間で、もの足りなさを感じることはないだろう。サーキットも6つあり、1つのサーキットに飽きたら、次のサーキットを楽しめばよいので、スロットカーの楽しさをたっぷり味わえる。

 スロットカーズ・ヨコハマでは、各種スロットカーやチューンアップパーツ、トリガーの引き具合による速度変化を調整可能な高機能コントローラーなども販売されているので、自分のお気に入りのスロットカーを購入して楽しむのもよいだろう。誰もが気軽に楽しめるホビーのため、友人や親子でレースを開催すると、より楽しめるのは間違いない。

受付の近辺には、さまざまなスロットカーやチューンアップパーツが並ぶ輸入物のスロットカーも取りそろえられている。1/32スケールは国際的なミニカースケールでもあるので、ミニカーコレクションとして購入していく人もいるそうだ可動式ウイングを装備するレーシングカー「シャパラル 2F」のスロットカーも売られていた
実車と異なりリアタイヤを駆動する「ヴィッツ」(写真左)と「フィット」のスロットカーミニ四駆を改造したレンタルスロットカー。実車(?)と同様に、4WDで走る。4WDのせいか、コントロールは楽だった
サーキットの近くに置かれていた粘着テープ。タイヤにゴミが付いて滑りやすくなると、車体の姿勢が乱れるため、この粘着テープを使って掃除するタイヤを削るサンダーも置かれていた。サンダーでタイヤを削るとグリップが向上するほか、タイヤ径を調整して車高調整を行うスロットカーズ・ヨコハマのフロアスタッフ森本幸枝さん。「スロットカーは誰にでも楽しめるので、ぜひ遊びに来てください」とのこと

【お詫びと訂正】記事初出時、ヴィッツとフィットのスロットカーを前輪駆動と記述しましたが、誤りでした。お詫びして訂正させていただきます。

(編集部:谷川 潔)
2009年 6月 24日