佐藤琢磨のマシンを英国の自動車博物館に展示
3位入賞の「BARホンダ006」アメリカGP仕様

佐藤琢磨氏(左)とモンタギュー卿

2009年7月3日(現地時間)



 レーサーの佐藤琢磨氏がドライブしたF1マシン「BARホンダ006」が、英国ビューリューのナショナル・モーター・ミュージアムで展示される。7月3日(現地時間)、これを記念したセレモニーが同博物館で開催され、佐藤氏も出席した。

 BARホンダ006は、2004年のBARホンダチーム(当時。現在はブロウンGP)のマシン。佐藤氏にとっては、予選日本人最高位(2位)や3位入賞を果たした記念すべきマシンである。

 展示されるマシンは、チームから佐藤氏に贈られたもの。F1マシンはラウンドごとに仕様が異なるが、展示車は3位入賞を果たした2004年のアメリカGP仕様に仕上げられた。アメリカGP仕様のポイントは、サイドポンツーンの外側の整流板と、リアウイングのガーニーフラップの幅など。佐藤氏が直々にディテールの再現を監修し、シートとベルトは実際に佐藤氏が使ったものが装着されている。

 セレモニーには、佐藤氏とナショナル・モーター・ミュージアムの創設者で、同博物館があるビューリューの領主であるエドワード・ダグラス・スコット・モンタギュー卿が出席し、2人で除幕した。

「僕のマシンが展示されるのはとても光栄」と挨拶する佐藤氏セレモニー後、詰めかけたファンとサインや記念撮影に気さくに応じていた
展示されているBARホンダ006カメラポッドの位置や整流板がアメリカGP仕様のポイント
もちろん佐藤氏の名前がプリントされている佐藤氏がアメリカGPで使用したヘルメットやスーツも一緒に展示される

 佐藤氏はCar Watchの取材に対し、「BAR006は初めて乗ったときから、開幕戦からプッシュできそうな感触があった」と語った。

 BAR006の開発には、BAR005に006のリアセクション(エンジン、トランスミッション、リアサスペンションなど)をつけたマシンを使用した。マシンだけでなくタイヤの変更も重なったため、非常に多くのデータを取らなければならなかったが、こうしてやっと006が完成したときには「前の車から何ステップも前進した車ができた」と感じたと言う。

 「006以前の車は回頭性がよくても、リアが追従せず流れてしまいました。006はリアの収束が非常に速く、その結果、リアの安定感が高かったので、ブレーキングポイントが奥になって、コーナーリングスピードが上がりました」。

 ビューリューはロンドンの南方、約130kmに位置するのどかな村。英国に来た際には、ぜひビューリューをルートに組み込んで、歴史に残る名マシンをご覧いただきたい。

 なお佐藤氏は、同日グッドウッドで開幕したモータースポーツイベント「フェスティバル・オブ・スピード」に出場し、2台のマシンをドライブする。こちらも追ってリポートする。

ナショナル・モーター・ミュージアムは250台以上の車両と資料を収蔵する広大な自動車博物館。1956年にモンタギュー卿が設立し、現在はナショナル・モーター・ミュージアム・トラストが運営している
展示車の中にはこんな車もモーター・ミュージアムはビューリュー卿の屋敷の敷地内にある。同じ敷地に城や修道院、イングリッシュガーデンなどがあり、モノレールが走る

(編集部:田中真一郎)
2009年 7月 6日