富士スピードウェイ、F1日本GP開催中止記者会見 2010年のF1日本GP開催は宙に浮いた状態に |
富士スピードウェイは、2010年以降隔年で開催を予定していた富士スピードウェイでのF1日本GPの開催を中止するとして、記者会見を行った。会場には、新聞放送各社、モータースポーツ媒体など多数のメディアがつめ掛け、その注目度が伺えた。
会見には、富士スピードウェイの代表取締役社長の加藤裕明氏と、代表取締役副社長の高瀬由紀夫氏が出席した。加藤社長は、「本日は申し訳ないご報告になる」と切り出し、「2010年以降隔年で開催を予定していたF1日本GPの富士スピードウェイでの開催を断念した」という報告を行った。
代表取締役社長の加藤裕明氏 | 代表取締役副社長の高瀬由紀夫氏 | 会見会場には非常に多くの報道陣が集まった |
その理由として「昨年10月に端を発した世界的な経済不況は弊社にもきわめて厳しい経営環境をもたらすことになった。私どもとしては、なんとしても開催を継続したいという思いで、過去2年の経験を踏まえて、よりお客様に楽しんでいただける企画や経営方法など、さまざまな改善策を鋭意検討してきた。さらにF1の開催権利等を管理するFOAとも何度も協議を重ねてきたが、お客様に満足いただけるイベント開催の継続は、企業存続の観点からもきわめて困難という結論に達した」と、まさに苦渋の決断だったことを語った。
「今後の開催を楽しみにしていただいたお客様、多大なご支援をいただいていた地元、関係者の皆様、本日お集まりいただいたメディアの皆様にはご期待に添えない結果になったことを深くお詫びすると共にコレまでのご厚情に対し厚く感謝いたします」「今後も国内のフォーミュラーニッポンやSUPER GTといった国内レースをさらに盛り上げていくべく努力すると共に、お客様に楽しんでいただける新たなレースやイベントを企画、開催することにより、モータースポーツ発展のためにいっそう努力してまいる所存ですので、なにとぞご理解を賜りますようよろしくお願いします」と今後の方針について述べた。
記者からは、具体的にF1開催にかかる予算や不足額について質問があったが、「具体的な金額は言えない」とした。
また、5月の時点で朝日新聞に報道があったが、なぜ正式発表にこれほど時間がかかったのか、といった質問があったが、これに対し加藤社長は、「5月の報道の時点では、私どもはまだ何とかしたいと務めていたタイミング」で、あくまで報道は先走ったものだとした。具体的に開催断念を決定したのは「昨日の臨時取締役会で決定し、社員には今朝報告した」とし、鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの大島裕志社長には今日電話で報告したと述べた。
さらに新聞報道であったように、開催中止はトヨタ自動車の意向で決まったのかという質問に対し、「我々は1つの会社であり、トヨタ自動車の100%出資の子会社でもない。あくまで我々が決めたこと」と述べた。
今後F1日本GPを再度開催する見込みについての質問に対しては、景気がどれくらいで回復するのかが見えないとしながらも、「3年はかかるだろう」とし、また、F1が全世界18カ国程度しか開催できず、さらに韓国など、F1を新たに誘致したい国もたくさんある中で「環境がよくなれば手を上げさせてもらうこともあるだろうが、そんなに簡単にいくかは分からない」と述べた。
2010年の日本GPが宙に浮いた形となったことで、2011年以降の鈴鹿での開催に関してなにか影響があるのかという質問に対しては、「我々はモビリティランド(鈴鹿)にF1開催を辞めるということを報告しただけ。鈴鹿のことはモビリティランドとFOAで決めることで、我々には分からない」とした。
(瀬戸 学)
2009年 7月 7日