NEXCO中日本、「外部電源式アイドリングストップ給電スタンド」運用開始
完成式ではエコツアーも実施

給電スタンドで給電するトラック

2009年7月17日開催



 NEXCO中日本(中日本高速道路)は、中央自動車道 談合坂SA(サービスエリア)(上り)と、新名神高速道路 土山SA(上り、下り)に、外部からエアコンなど冷暖房装置に給電をすることで、停車中のアイドリングを排することを目的とした「外部電源式アイドリングストップ給電スタンド」を設置し、7月17日15時より運用を開始した。それに伴い、同日談合坂SAと土山SA(上り)にて、完成式を開催した。

 談合坂SAの完成式には、NEXCO中日本 八王子支社長の黒田孝次氏らが訪れた。開会の挨拶として黒田支社長は、「高速道路で初めて完成の運びとなったアイドリングストップ給電スタンドにつきましては弊社の重点課題のひとつであるECOサービスエリアの一環として実施しました。今後利用状況を見ながら順次展開を図っていきたい」と述べた。

 続いてテープカットには、黒田支社長のほか、同八王子支社 経営企画部長 小室俊二氏 同八王子支社 大月保全・サービスセンター所長 大窪克己氏、東京電力 山梨支店長 小野勝氏、山梨県警察本部高速道路交通警察隊 清水素幸氏、山梨県トラック協会副会長 佐藤喜夫氏が登壇し、テープカットを行った。

開会の挨拶を行う黒田孝次支社長テープカットも行われた

 テープカットに続いて、東京電力環境部の小島広之氏によって、給電スタンドの使い方が説明された。まず給電スタンドを利用したい事業者は申請をし、認証カードを持ってもらう必要がある。給電スタンドはふたをされた最大8つのコンセントボックスとそのブレーカー、そして1つの操作パネルからなり、利用者は使いたいコンセントボックスの番号を選択して、非接触式の認証カードをタッチすることで、コンセント部のふたを開錠することができる。単相100Vと単相200Vのコンセント口が用意され、両方、あるいは片方を車両と接続したら、ふたを閉めることでランプがグリーンからレッドに変わり通電が開始される。これは雨天時などでも感電をしないための配慮によるもの。

給電スタンドの使い方を説明する東京電力の小島広之氏使いたいコンセントボックスの番号を押してから認証カードをタッチするコンセントボックスのふたが開錠される。コンセントは単相100V(左)と単相200V(右)がある
車両側の外部電源用コンセントと給電スタンドのコンセントを接続ケーブルでつなぐ。なおコンセントボックスの上のボックスにはブレーカーが内蔵されるふたを閉めると上部のランプが左の写真の緑から赤に変わり給電が開始される

 単相の200Vは外部電源式のクーラー用として、100Vは車内のコンセントや低価格なスポットクーラーなどに利用できる。なお、この外部電源式クーラーやスポットクーラーは現在モニターを募集しており、15万円の助成が行われている。また、電気の利用料は、どれだけの電気を使ったかにかかわらず、1時間あたり58円(2010年度以降は72円/時間)となっている。

給電スタンドの200Vで動く外部電源式のクーラー車内コンセントは給電スタンドの100Vをつないで利用できる給電スタンドにはブレーカーが付いており、容量を超えた場合や漏電した場合にはブレーカーが落ちる

 なお、利用するには登録が必要となるが、現在のところ事業者のみを対象に認証カードの発行を行っており、現時点で二十数社、100台程度の登録がされているとのこと。個人トラックであっても緑ナンバーであれば発行できると言う。

談合坂SAの環境への取り組みを知るECOツアーも開催
 完成式の後には、談合坂SAの環境に対する取り組みを紹介する「サービスエリアECOツアー」も行われた。解説をしてくれたのは、大月保全・サービスセンターの大窪所長。

 まず紹介されたのが、給電スタンドエリアにも使われていた遮熱舗装。一般車両の駐車エリアにも施されているもので、駐車している車両から発生する熱を反射することで、熱を貯めず、特に夜間の周辺温度の低減を図ることができると言う。続いて、トイレの出入口付近や休憩スペースに設けられた噴霧装置。装置からは非常に細かい霧が噴霧され、その気化熱で、局所的に気温を下げることができる。実際に噴霧されているエリアに行くと涼しさが感じられ、また、霧は非常に細かいので、服がぬれるようなことはなかった。その他にも、利用者へのサービス向上として、敷地内の清掃をする「エリアキャスト」や、床に付いたガムをすばやく除去する「ガムバスター」の紹介が行われた。

給電スタンドエリアの緑色の舗装や、一般駐車エリアのオレンジ色の舗装が熱を反射する舗装多くの人が利用するトイレなどの周辺に設置された噴霧装置。下に入ると涼しい
エリアキャストと呼ばれる清掃員。ユニフォームをカジュアルなものに変更したガムバスターによるガムの撤去を実演。スチームで温めた後洗浄液できれいにするのだと言う

 ECO関連としては、談合坂SAで利用する水は河川水を使い、不足分は浄化した再生水でまかなっていると言う。また、24.8×4.5mのソーラーパネルによって太陽光発電を行い、これにより駐車スペースの照明の約30%分の電力をまかなっているほか、歩行者用通路の照明も今後LED化する予定とのこと。これにより6割の電力カットと照明の長寿命化が図れると言う。

談合坂SAの出口付近にある施設にソーラーパネルが設置されているSA内に設けられたパネルで発電状況を見ることができるコリドールと呼ばれる歩行者用通路の照明を今後LEDに変更する

 また、大月保全センターが管理する区間で発生する刈草や剪定した枝は、河口湖にあるリサイクルプラントで堆肥にすることで、現在建設中の「新東名高速道路」などで利用しているとのこと。そのほか、温暖化対策の一環として、SA内も積極的に緑化を進めている。

高速道路で発生した草や剪定枝などは、焼却するのではなく、河口湖プラントで堆肥として再生している再生した堆肥は新東名で利用されるほか、SAで配布もされている

 普段なにげなく利用しているSAにも、随所に環境や利用者に対する配慮がされている。SAに寄った際には、給電スタンドをはじめ、進化しているSAの設備に注意を払ってみてはいかがだろうか。

(瀬戸 学)
2009年 7月 21日