インディジャパンを前に武藤英紀選手が母校に凱旋
中央区立豊海小学校にインディカーが

母校の東京都中央区立豊海小学校で講演を行う武藤英紀選手

2009年9月2日開催



 9月19日に決勝レースがツインリンクもてぎで開催される「インディカー・シリーズ 第16戦 ブリヂストン インディジャパン 300 マイル」。そのインディカー・シリーズに日本人として唯一参戦しているのがアンドレッティ・グリーン・レーシングの武藤英紀選手。フル参戦初年度の2008年には日本人として初めて2位を獲得するなど大活躍。シリーズランキングも10位となり、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。今シーズンは15戦を終えて、現在のところ、ポイントランキングは11位。母国開催での活躍に期待がかかるところだ。

 その武藤選手は、東京都中央区出身。通っていた小学校も築地市場にほど近い東京都中央区立豊海小学校で、東京の中央にある小学校と言ってもよいだろう。その母校にかねてからの約束どおりインディマシンが持ち込まれ、武藤選手が朝礼の特別ゲストとして招かれた。

トランスポーターから降ろされ、小学校へ持ち込まれようとするインディマシン通学途中の小学生も興味深そうに見守るフロントノーズやフロントウイングを地面に擦らないよう、前輪を乗せるための木のスロープが敷かれていた
無事フロント部分をクリア。作業スタッフが右手でステアリングをコントロールし、インディマシンを進めていく豊海小学校の正門を入るインディマシン。普段なかなか見られない風景校庭へと進んでいく
豊海小学校の校庭にはトラックが刻まれている。それを見たスタッフが「ここオーバルになってるなぁ。このまま走れるじゃないか」と(インディジャパンはツインリンクもてぎのオーバルコース「スーパースピードウェイ」で開催される)テントを張って、設置の準備ステアリングだと旋回半径が大きくなってしまうので、ジャッキをかけて小回りをさせる
朝礼台の横にインディマシンを設置朝礼台の横には、武藤選手の等身大パネルも置かれていたインディマシンの設置を興味深く見守る矢田美英中央区長
「これは今も走っているの?」と質問する矢田中央区長。スタッフが「今は走っていないマシンです」と説明生徒が朝礼のために、校庭に並び始めた。インディマシンに興味津々

武藤選手は「優勝します!」と朝礼で宣言
 朝礼は、河合美津江校長の挨拶から始まった。河合校長は「今日は皆さんの先輩である武藤選手が来てくれました。武藤選手が母校である豊海小学校に来るのは3度目で、前回約束したとおりインディマシンも持ってきてくれました」と紹介。武藤選手の戦績を紹介した後、9月19日のインディジャパンに、3年生から6年生の希望者60名が招待されることを明かした。

 これは、武藤選手や中央区、そしてホンダの計らいによるもので、自分の戦う姿を後輩に見てほしいという武藤選手の希望とのこと。昨年のインディジャパンでも同様な催しが行われており、昨年は雨だったが、「今年は晴れるといいですね」と結んだ。

 次に朝礼台に立ったのは矢田美英中央区長。矢田区長は「夢に向かって挑戦する武藤選手のように、みなさんも日々目標を持って努力してほしい」と挨拶を行い、武藤選手を紹介した。

 区長に紹介され壇上に立った武藤選手は、「2週間後の9月19日に大会があります。僕のやっているレースはとても危険です。レース前は正直こわいです。最高速も350km/hくらい出ます。でも、みんなと同じくらいの年にゴーカートに乗ってレースの楽しさを知りました。その楽しさがあるのでがんばっています。みんなも好きなことや夢を見つけて、一所懸命がんばってみてください」と、レースに対する不安とともに、その楽しさを語った。また、「去年は雨の中、応援に来てくれた人もいると思いますが、ありがとうございました。本当はベストを尽くしますと挨拶をして終わりにするつもりでしたが、こうしてみんなの顔を見て元気をもらったので、9月19日は絶対優勝します」と言い、母校の後輩に優勝を誓った。

 生徒からの質問コーナーもあり、「好きな食べ物は?」という質問には「何でも好きですけど、ところてんだけが嫌いかな」と笑いを誘っていた武藤選手だが、「武藤選手は何度くらい1位になったことがありますか?」という質問には、まだインディでの勝利のない武藤選手はちょっと困った顔をしつつ「いろいろなレースをしてきて何度も優勝してきましたが、インディカーのレースではまだ優勝できていません。でも、2週間後のレースには優勝したいと思っています」と再度の優勝宣言を行った。

 武藤選手も参加しての朝礼は、学年ごとに記念写真を撮影して終了。武藤選手は、後輩との約束を胸に秘め、9月19日のインディジャパンの決勝に臨む。

冒頭の挨拶を行う河合美津江校長。武藤選手が約束どおりインディマシンを持ってきてくれたことと、60名の生徒が招待されることに触れた続いて挨拶に立った矢田美英中央区長。武藤選手のように夢を持ってがんばってくださいと語った母校の後輩を前に優勝宣言を行った武藤選手。9月19日は、招待した後輩を前にしての活躍に期待したい
生徒との質問コーナーも設けられていた。かわいい質問から、ちょっと厳しい質問までなされていた記念写真撮影のため、インディマシンを校庭中央に移動1年生との記念撮影。生徒にとってはよい思い出になるだろう
矢田区長とも記念撮影。武藤選手の左に立つのは、武藤選手のお母さん武藤選手の小学校時代の同級生で、今は同校の教員となっている友人がインディマシンに乗ってみたいとリクエスト「狭いねぇ」と語る友人に、「乗車賃は同窓会のときによろしく」と返す武藤選手
「区長も乗ってみますか?」という武藤選手の誘いで、矢田区長もインディマシンに試乗「この狭さはなんだか風呂にでも入ってるようだ」と矢田区長豊海小学校は、豊海幼稚園と校舎を共用している。そのため、幼稚園生もインディマシンを見るために集まってきた。武藤選手は一人一人丁寧に応対していた

(編集部:谷川 潔)
2009年 9月 2日