メルセデス・ベンツ、「Sクラス」にハイブリッドモデル 輸入車初のエコカー減税対象車。そのほかのモデルも改良 |
メルセデス・ベンツ日本は、メルセデス・ベンツ・ブランドのフラッグシップサルーン「Sクラス」をマイナーチェンジし、9月3日に発売した。価格は次のとおり。
モデル | エンジン | ステアリング | 価格 |
S 350 | 3.5リッター V型6気筒 | 左/右 | 1050万円 |
S 550 | 5.5リッター V型8気筒 | 左/右 | 1360万円 |
HYBRID ロング | 3.5リッター V型6気筒 ハイブリッド | 左 | 1405万円 |
S 550 ロング | 5.5リッター V型8気筒 | 左/右 | 1510万円 |
S 550 4MATIC ロング | 5.5リッター V型8気筒 | 左 | 1570万円 |
S 600 ロング | 5.5リッター V型12気筒 ツインターボ | 左 | 2050万円 |
S 63 AMG ロング | 6.3リッター V型8気筒 | 左/右 | 2230万円 |
S 65 AMG ロング | 6.0リッター V型12気筒 ツインターボ | 左 | 3040万円 |
新たに「HYBRID ロング」がラインアップに加わり、「S 550 4MATIC」がロングボディーになった。
S 65 AMG | ||
S 63 AMG | ||
S 600 | 青、オレンジ、白に切り替えられるアンビエントライトを備える | |
S 500 4MATIC |
Sクラス HYBRID |
■輸入車初のエコカー減税対象車「S クラス HYBRID ロング」
「HYBRID ロング」は独では「S 400 HYBRID」として発表されており、リアには「S 400」「HYBRID」のエンブレムが付く。
ハイブリッドシステムは、V型6気筒 DOHC 3.5リッターのガソリンエンジンと7速ATの間に、駆動電圧120Vのディスク型電気モーターを挟み込んだもの。エンジンはアトキンソンサイクルを採用する。モーターは常時エンジンをアシストし、モーターのみでの走行モードはない。ブレーキング時にはモーターがジェネレーターとなってエネルギーを回生し、エンジン始動時にはスターターの役目も果たす。
モーター駆動用のリチウムイオンバッテリーはエンジンルーム内に置かれる | ハイブリッドシステムの動作はメーターパネル内のエナジーフローディスプレイに表示される | |
モーターはエンジンとトランスミッションの間に置かれる |
「ECOスタートストップ機能」と呼ばれるアイドリング・ストップ機構も備えているが、左右折時や後退時には自動的にオフになる仕組みも備える。アイドリング・ストップ機構とハイブリッド機構は、すべて動作が自動化され、ドライバーにその存在を感じさせないようにしているが、メーターパネル中央のエナジーフローディスプレイで、ハイブリッドシステムのエネルギーの流れやバッテリーの充電状態を確認できる。
最大の特長はモーター用バッテリーに、ハイブリッド車としては世界で初めてリチウムイオン充電池を採用したこと。大容量・高出力かつ小型軽量であることを活かし、エンジンルームの従来は鉛バッテリーが置かれていたところに設置。このため、トランクルームの容量などを犠牲にすることなく、ハイブリッドシステムを搭載できた。なお12Vの鉛バッテリーもほかのSクラス同様に後席とトランクルームの間に備える。
モーターのための電気系統は120Vと高電圧になるため、専用の冷却回路を備え、バッテリーセルをジェルに埋め込み揺れや衝撃の影響を受けないようにするなど、さまざまな安全対策が施されている。
エンジンの最高出力は205kW(279PS)/6000rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/3000~5500rpm。これにモーターの15kW(20PS)、160Nmが加わり、合計で220kW(299PS)、385Nmを得る。一方で10・15モード燃費は11.2km/Lとなり、3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載するS 350より30%改善された。
エンジンには新設計のシリンダーヘッドとピストンを採用し、トランスミッションにも高効率化のためのチューニングが施されているほか、電動パワーステアリングポンプや専用モーターを持つエアコンコンプレッサー、オンデマンド型フューエルポンプなどの採用により、省燃費が図られている。
これによりSクラス HYBRID ロングは2010年燃費基準を+25%達成し、SULEV(4つ星)の低排出ガス認定を取得。輸入車では初のエコカー減税対象車となり、自動車取得税と重量税が免除され、自動車税が50%減免される。
■デザインと装備を変更
このほかのSクラス各モデルは、外観や装備の変更を受けている。
外観は、ヘッドライトやバンパーのデザインを変更し、白色LEDのナイトドライビングライトなどが新たに採用された。リアは、エキゾーストパイプ一体型のバンパーや、52個のLEDで形作られたテールランプを備える。
走行機構には、舵角によってギア比が変わるダイレクトステアリングを全車に採用。HYBRID以外のモデルには各ブレーキを制御することでコーナーリングを安定させるトルクベクトリングブレーキを搭載した。
また車線逸脱時にステアリングを振動させて警告するレーンキーピングアシスト、前走車や対向車を認識するとヘッドランプの配光を変えるアダプティブハイビームアシスト、長時間走行時のドライバーの疲労を検知して警告するアテンションアシストといった安全装備を備える。なおHYBRID ロングにはトルクベクトリングブレーキは装備されない。
さらにS 600 ロング、S 63 AMG ロング、S 65 AMG ロングには、高速走行時の横風の影響を低減する横風制御機能と、夜間に赤外線カメラで前方の画像を映し出すナイトビューアシストプラスを追加している。
このほかAV、カーナビ、ハンズフリー通話などの機能を備えるCOMANDシステムは、新たに地デジチューナーを採用。さらにFOMA用の携帯電話接続ケーブルを装備する。
(編集部:田中真一郎)
2009年 9月 3日