F1日本GP、参戦マシンが日本上陸
セントレアに到着、29日中に鈴鹿へ

セントレアに到着したチャーター機。手前は下ろされたフェラーリのマシン

2009年9月28日到着



 今週末、10月2~4日にかけてF1GP第15戦 日本グランプリに参戦するマシンが28日深夜、セントレア(中部国際空港)に到着した。

 10チーム20台のマシンは、5機のチャーター便で第14戦の舞台シンガポールから、約6時間のフライトを経て日本にやって来る。

 5機のチャーター便にはマシンのほか、パーツや工具、ピットに備え付ける機器、さらにはホスピタリティ用の什器まで、F1チームが必要とする機材一切が積み込まれる。その重量は、5機合計で500tに及ぶ。

 5機は28日夕方に順次シンガポールを離陸、1機目は21時40分頃、日本に到着した。

 Car Watchが貨物を下ろす作業を取材できたのは、23時に到着した2機目。この便にはフェラーリとBMWザウバーのマシンと機材が積まれていた。1便には最大3チームのマシンが積まれるという。ちなみに1機目にはマシンは積まれていなかったそうだ。

 23時8分、小雨の降る貨物スポットにタキシングしてきたシンガポール航空の貨物機は、エンジンを停めると、すぐさま前部と左右の3つのハッチを開けた。すると空港の車両がわらわらと駆け寄り、次々に積荷を下ろし始めた。

 ほとんどの貨物の形状は直方体の一辺を切り欠いた、一般的な航空貨物用コンテナだが、フェラーリの貨物は赤の、BMWザウバーの貨物は青のシートでくるまれ、貨物の内容が書かれているとおぼしき紙が貼ってあった。また、コンテナでなく、いくつかの輸送ケースをパレットに乗せ、シートをかぶせたものもあった。さらに、ルノーのマークが付いたコンテナも1つ確認できた。

23時過ぎ、F1GPがチャーターしたシンガポール航空のボーイング747貨物型がセントレアの貨物用スポットにやってきた。航空会社は入札で決まるが、5便それぞれに違う会社が担当していると言う
まずノーズカーゴドアが開いた。中にはフェラーリレッドのシートをかぶった貨物が見える同時に機体左右のドアが開き、荷下ろしが始まった
青いシートでくるまれたコンテナはBMWザウバーのものこちらはフェラーリのコンテナフェラーリの貨物は赤いシートと、貼られた跳ね馬のマークですぐに分かる
コンテナだけでなく、さまざまな形状の貨物が下ろされる

 

F1マシンは機体左右のドアから下ろされる。まず左ドアからフェラーリの赤いシートにくるまれたマシンが現れた

 いくつかのコンテナが運ばれると、いよいよマシンが下ろされる。まずフェラーリが機体左側のハッチからリフトカーに載せられた。2台のマシンを1つのパレットに重ねて積載しており、1台ずつフェラーリレッドのシートでくるまれていた。

 これに続き、BMWザウバーのマシンが右側のハッチから出てきた。こちらは1つのパレットに1台ずつ載せていた。マシンは紺のシートでくるまれていた。

 貨物機から下ろされた荷物は、トレーラーで貨物を一時保管する建物「上屋」(うわや)に入れられ、ここで税関を通過する。

 通関後、500tの貨物は90台のトラックで鈴鹿サーキットに運ばれる。最後の荷物が鈴鹿に着くのは29日夕方になるという。日曜日にレースを終えると荷物をまとめ、月曜日の夕方には飛行機に積み込み、火曜日に次戦のサーキットに到着。金曜日のフリー走行までに残された時間は、サーキット到着後すぐに作業を始めても、約2日強ということになる。F1サーカスのスケジュールのタイトさと、それをこなせるだけのシステムが整えられているのがうかがえるだろう。

機内からリフトカーに移され、リフトカーからトレーラーに慎重に移されるトレーラーで上屋の中へ運ばれていくフェラーリのマシン
続いて紺色のシートに包まれたBMWザウバーのマシンが登場、こちらもトレーラーで上屋へ

 世界不況の波はセントレアにも及んでおり、セントレアの収益を牽引してきた貨物も減ったのだが、ここのところ回復傾向にあると言う。一方で航空会社は不況期に空港内施設と荷さばき能力を絞り込んだ。そのため、F1サーカスのように大規模な輸送案件があると、、駐機スポットとその周辺での荷さばき作業は混雑を極める。Car Watchが取材した2機目の作業も、すぐ後に別な貨物機が控えているために迅速が要求された。荷下ろしは約1時間で終了した。

 29日には各所でF1ドライバーの参加するイベントも行われている。F1マシンの到着とともに、いよいよ日本GPウイークが始まった。

(編集部:田中真一郎)
2009年 9月 29日