ジャガー、新型「XJ」国内発表会開催 デザイナーのイアン・カラム氏「21世紀を象徴するジャガー」 |
ジャガー・ランドローバー・ジャパンは30日、新型ジャガー「XJ」の発表会を都内で開催した。XJはジャガーのフラッグシップサルーン。英国では7月に発表された。
先代(X350)から6年ぶりにフルモデルチェンジされた4代目(X351)の最大の変更点は、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのデービッド・ブルーム社長が「旧モデルとの連続性を直感的に感じるのが難しい」と表現するほど大きく変わったスタイリング。発表会には英国Jaguar Carsからデザインディレクターのイアン・カラム氏が来場し、そのスタイリングを“解題”した。
■ジャガーの考える“Beautiful Fast Car”を具現
カラム氏に先立ってブルーム社長が新型XJの実車をお披露目した。
ステージ上に置かれていたのは、アッパーミドルモデルとなる「Portfolio」のロングホイールベースモデル。新型XJでは14の外装色と内装色を組み合わせることができるが、お披露目された車両は外装が「キャビア」、内装のフェイシアが「トリュフ」、シートトリムが「アイボリー」、ウッドパネルが「グロスリッチオーク」となる。
記事末の一覧にあるとおり、Portfolioはハイエンドモデルの「Supersport」に次ぐモデル。ショートホイールベース(SWB)版が自然吸気の5リッター V型8気筒エンジンを搭載するのに対し、ロングホイールベース(LWB)版はスーパーチャージャー付きとなる。Supersportも同様のエンジンを積むが、Supersportが375kW/510PSの出力を得るのに対し、Portfolio LWBは346kW/470PSにデチューンされる。
ブルーム社長は新型XJを「私たちの“Beautiful Fast Car”を具現化したモデル」と紹介。またこのフルモデルチェンジを、初代以来のXJがジャガーのアイコンであったことから、「アイコンとは何かを考え直す機会」とした。
イアン・カラム氏 |
■ジャガーのアイコンの再構築
続いてブルーム社長は「彼以上に、新型XJの背景にあるジャガーのデザイン哲学をきちんと語れる人はいない」と、イアン・カラム氏を紹介した。
冒頭のブルーム社長の発言にあるように、X351は、X350まで引き継がれてきた2分割グリルや丸目の4灯ヘッドライト、水平基調でリアに向かって絞られるボディーラインといったディテールを捨て去り、シングルフレームのグリル、異型のヘッドライトカバ-、ティアドロップ型のウインドウグラフィックなどをまとい、まったく異なるスタイルになったように見える。
しかし、カラム氏が目指したのは「象徴の再構築」「初代XJの大胆な精神はそのままに、それを現代風に解釈し直す」こと。特にティアドロップ型のサイドウインドーと、縦長のテールランプで車体を長く見せることは、「パワフルな低い胴体がスリムなルーフラインとピラーによって引き立っている」というジャガーのデザインの伝統を踏まえたものだ。
一方インテリアは、伝統を踏まえてウッドとレザーを多用したものだが、フェイシアの上からドアトリム上端に沿ったラインが、キャビン全体を取り囲む意匠を取り入れ、奥行き感と居心地のよさを醸し出す。
10代の頃に発表された初代XJを見て、イアン少年はいつかジャガーの設計に携わろうと決めたのだと言う。カラム氏がジャガーに入って10年、XKに始まり、XFを経て、XJに至って「私たちのデザインビジョンが実を結ぼうとしている。ジャガーの意図するところを余すところなく示している3つの車が揃った」とし、「私たちは21世紀を象徴するジャガーを作った」と締めくくった。
ウッドとレザーのラグジュアリーなインテリア。Bowers&Wilkinsの1200Wオーディオシステムを備える | ||
アナログメーターはなく、プラズマディスプレイにバーチャルメーターが表示される | ||
発表会の最後に、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマーケティング・広報部ディレクター赤尾譲一氏が、新型XJの概要を説明した。これによると、新型XJは進歩的スタイリングとスポーティーなキャラクターを持つ車。内装は豊富なカラートリムと素材や仕上げ、Bowers&Wilkinsの1200Wオーディオシステムなどで、「五感に訴えかける」ことをテーマとしている。
さらに「パノラマ・ガラス・ルーフ」「アナログメーターを廃し、プラズマ・スクリーンに映し出されるバーチャル・インストルメントパネルとしたこと」「ドライバーと助手席に同時に違う映像を表示できるデュアルビュースクリーン」といった、ハイテクデバイスも装備。これらを総じて同社は「ハイテク・クチュール」と称する。
また航空宇宙技術から得た、アルミとマグネシウムによるボディーは、軽量高剛性で、重いV8エンジンを積むにもかかわらず51:49の前後重量配分を実現している。
新型XJの日本での発売は、2010年3月。価格は1000万円~1755万円。
モデル名 | ホイールベース | エンジン | 変速機 | 価格 |
Luxury | SWB | 5リッター V型8気筒 (283kW/385PS) | 6速AT | 1000万円 |
Premium Luxury | SWB | 1150万円 | ||
Portfolio | SWB | 1320万円 | ||
LWB | 5リッター V型8気筒 スーパーチャージャー (346kW/470PS) | 1600万円 | ||
Supersport | SWB | 5リッター V型8気筒 スーパーチャージャー (375kW/510PS) | 1655万円 | |
LWB | 1755万円 |
(編集部:田中真一郎)
2009年 9月 30日