ジャガー、新型「XJ」国内発表会開催
デザイナーのイアン・カラム氏「21世紀を象徴するジャガー」

新型XJを挟んで左がジャガー・ランドローバー・ジャパンのデービッド・ブルーム社長、右が英Jaguar Carsのデザイン・ディレクター、イアン・カラム氏

2009年9月30日開催



 ジャガー・ランドローバー・ジャパンは30日、新型ジャガー「XJ」の発表会を都内で開催した。XJはジャガーのフラッグシップサルーン。英国では7月に発表された。

 先代(X350)から6年ぶりにフルモデルチェンジされた4代目(X351)の最大の変更点は、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのデービッド・ブルーム社長が「旧モデルとの連続性を直感的に感じるのが難しい」と表現するほど大きく変わったスタイリング。発表会には英国Jaguar Carsからデザインディレクターのイアン・カラム氏が来場し、そのスタイリングを“解題”した。

ジャガーの考える“Beautiful Fast Car”を具現
 カラム氏に先立ってブルーム社長が新型XJの実車をお披露目した。

 ステージ上に置かれていたのは、アッパーミドルモデルとなる「Portfolio」のロングホイールベースモデル。新型XJでは14の外装色と内装色を組み合わせることができるが、お披露目された車両は外装が「キャビア」、内装のフェイシアが「トリュフ」、シートトリムが「アイボリー」、ウッドパネルが「グロスリッチオーク」となる。

 記事末の一覧にあるとおり、Portfolioはハイエンドモデルの「Supersport」に次ぐモデル。ショートホイールベース(SWB)版が自然吸気の5リッター V型8気筒エンジンを搭載するのに対し、ロングホイールベース(LWB)版はスーパーチャージャー付きとなる。Supersportも同様のエンジンを積むが、Supersportが375kW/510PSの出力を得るのに対し、Portfolio LWBは346kW/470PSにデチューンされる。

 ブルーム社長は新型XJを「私たちの“Beautiful Fast Car”を具現化したモデル」と紹介。またこのフルモデルチェンジを、初代以来のXJがジャガーのアイコンであったことから、「アイコンとは何かを考え直す機会」とした。

イアン・カラム氏

ジャガーのアイコンの再構築
 続いてブルーム社長は「彼以上に、新型XJの背景にあるジャガーのデザイン哲学をきちんと語れる人はいない」と、イアン・カラム氏を紹介した。

 冒頭のブルーム社長の発言にあるように、X351は、X350まで引き継がれてきた2分割グリルや丸目の4灯ヘッドライト、水平基調でリアに向かって絞られるボディーラインといったディテールを捨て去り、シングルフレームのグリル、異型のヘッドライトカバ-、ティアドロップ型のウインドウグラフィックなどをまとい、まったく異なるスタイルになったように見える。

 しかし、カラム氏が目指したのは「象徴の再構築」「初代XJの大胆な精神はそのままに、それを現代風に解釈し直す」こと。特にティアドロップ型のサイドウインドーと、縦長のテールランプで車体を長く見せることは、「パワフルな低い胴体がスリムなルーフラインとピラーによって引き立っている」というジャガーのデザインの伝統を踏まえたものだ。

引き延ばされたティアドロップ型のサイドウインドーグラフィックが新型XJのスタイリングのポイント。車体を長く、グリーンハウスを薄く見せると同時に、下半身の力強さも強調される
イアン氏によると新型XJのリアは「まっさらなキャンバス」。シンプルなパネルにアイキャッチとなるジャガーのシンボル「リーパー」が置かれることで、自信を表す
トランクは奥行きがあるパノラマ・ガラス・ルーフは2分割されているウインカーと足下を照らすホームライトが内蔵されたドアミラー
豊富な内外装のバリエーション

 一方インテリアは、伝統を踏まえてウッドとレザーを多用したものだが、フェイシアの上からドアトリム上端に沿ったラインが、キャビン全体を取り囲む意匠を取り入れ、奥行き感と居心地のよさを醸し出す。

 10代の頃に発表された初代XJを見て、イアン少年はいつかジャガーの設計に携わろうと決めたのだと言う。カラム氏がジャガーに入って10年、XKに始まり、XFを経て、XJに至って「私たちのデザインビジョンが実を結ぼうとしている。ジャガーの意図するところを余すところなく示している3つの車が揃った」とし、「私たちは21世紀を象徴するジャガーを作った」と締めくくった。

ウッドとレザーのラグジュアリーなインテリア。Bowers&Wilkinsの1200Wオーディオシステムを備える
アナログメーターはなく、プラズマディスプレイにバーチャルメーターが表示される

 発表会の最後に、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマーケティング・広報部ディレクター赤尾譲一氏が、新型XJの概要を説明した。これによると、新型XJは進歩的スタイリングとスポーティーなキャラクターを持つ車。内装は豊富なカラートリムと素材や仕上げ、Bowers&Wilkinsの1200Wオーディオシステムなどで、「五感に訴えかける」ことをテーマとしている。

 さらに「パノラマ・ガラス・ルーフ」「アナログメーターを廃し、プラズマ・スクリーンに映し出されるバーチャル・インストルメントパネルとしたこと」「ドライバーと助手席に同時に違う映像を表示できるデュアルビュースクリーン」といった、ハイテクデバイスも装備。これらを総じて同社は「ハイテク・クチュール」と称する。

 また航空宇宙技術から得た、アルミとマグネシウムによるボディーは、軽量高剛性で、重いV8エンジンを積むにもかかわらず51:49の前後重量配分を実現している。

 新型XJの日本での発売は、2010年3月。価格は1000万円~1755万円。

モデル名ホイールベースエンジン変速機価格
LuxurySWB5リッター V型8気筒
(283kW/385PS)
6速AT1000万円
Premium LuxurySWB1150万円
PortfolioSWB1320万円
LWB5リッター V型8気筒
スーパーチャージャー
(346kW/470PS)
1600万円
SupersportSWB5リッター V型8気筒
スーパーチャージャー
(375kW/510PS)
1655万円
LWB1755万円

(編集部:田中真一郎)
2009年 9月 30日