スーパー耐久シリーズ第8戦を前に松浦孝亮選手が来社
「オーバルを走る以上はプライドがある」


編集部を訪れていただいた松浦選手。松浦選手の両脇でもてぎスーパー耐久オーバルバトルのポスターを持つのは、もてぎエンジェルの吉浦遙さん(左)と五十嵐明恵さん(右)

 11月28日に開催される「スーパー耐久シリーズ第8戦 もてぎスーパー耐久オーバルバトル」。その開催を前にインディジャパンに参戦し、スーパー耐久シリーズに参戦中の松浦孝亮選手が編集部を訪ねてくれた。インディジャパンを振り返っての感想と、もてぎスーパー耐久オーバルバトルに対する意気込みを聞いてみた。

インディジャパンはマシンの煮詰め不足
 インディジャパンでは、17位完走という成績に終わった松浦選手。この成績について松浦選手は「インディジャパンの出走までにいろいろ準備しなければならないこともあって、基本的なセッティングの面において煮詰まっていなかった」と言う。具体的には、「去年のセッティングデータがあり、それは使えたのだけれど、今年はチームが変わってしまったことが大きい。ダンパーが去年と異なり、それがセッティング不足につながった」のだと言う。とくにインディカーにおいては、車高のセッティングが大切とのことで、「走り出しの車高が低すぎてしまった。車体下部がコースに接触することが多く、この部分では計算違いとなってしまった」と語る。

 オーバルコースを高速で走り抜けるインディカーは、ダウンフォースのセッティングが特に大切で、その鍵を握っているのがマシンの車高。車体下部の空気の流速をできるだけ速くし、車体上部との流速差を大きくすることで強大なダウンフォースを発生させている。そのため、車高の変動が少なく、効率よくダウンフォースを得られるセッティングが重要になるのだ。

 松浦選手は、「もうちょっとレースがしたかった。ちょっとやそっとの準備では戦えなかった。ただ、完走できたのは自分としてもよかった。トップクラスのドライバーであるトニー・カナーンですら、11位という結果に終わっていることを考えると、これでよかったのかなとも思っている。来年につながるレースはできたのではないだろうか」と、他チームとの現時点での差や、今後戦って行くために必要なものなどがつかめているようだった。

 今後のインディ参戦に関して、「来年(2010年シーズン)は、インディ500と、インディジャパンは出たいと思っている。現時点では、インディのシーズンフル参戦は考えていない」と言い、ターゲットとするレースを絞っての参戦になるようだ。

インディジャパンにはコンクエスト・レーシングからスポット参戦した松浦選手。「クリック証券」という文字はとても目立つものだった

 ところで、インディジャパンを見た人の中には気がついた人もいるだろうが、松浦選手のマシンには「クリック証券」のロゴが付いている。これは、スポットで松浦選手をサポートしたもので、いろいろインディの話をしている中で決まったと言う。できれば、来シーズンのインディ500やインディジャパンも一緒にやってきたいと語っていた。

 インタビューに同席したモビリティランド広報の上野一郎氏によると、「漢字のロゴは国際レースではとくに目立つようです。海外のニュースサイトでインディジャパンが紹介されるときに、好んで漢字のスポンサーの付いているマシンが掲載されることが多いのです」とのこと。実際、インディジャパンにおいても、街中でよく見かけるマクドナルドがスポンサーに付いたマシン(ニューマン・ハース・ラニガン・レーシング)と並び、漢字ロゴの松浦選手のマシンは子供にも覚えやすいためか多くの声援が飛んでいた。

マシンには自信がないがバトルに自信を持つ松浦選手
 松浦選手は、スーパー耐久シリーズのST-3クラスにも参戦中で、松浦選手の駆る5ZIGEN NSXは第6戦岡山終了時点でクラスランキングのトップに位置している。スーパー耐久シリーズは、10月11日の第7戦仙台ハイランド、11月28日の第8戦ツインリンクもてぎ スーパースピードウェイ(オーバルコース)と、後2戦を残すのみだが、とくに期待されるのは松浦選手の豊富なオーバル経験の活きるツインリンクもてぎ戦だろう。

 このツインリンクもてぎ戦は、50周の2ヒート制で争われ、第1ターンと第3ターンのところにシケインが設置される。松浦選手は昨年開催されたオーバル戦には参加しておらず、初めての参戦になると言う。

 松浦選手に自信のほどをうかかがうと、「正直、オーバルかどうかは関係ないかもしれないです。今年はかなりクルマが遅いので苦労しています。ストレートでしか勝負をかけられないコースだと苦しいと思います。実際勝ったのも雨の富士ですし」語り、オーバルコースが得意の松浦選手といえども、クルマのパフォーマンス的に苦しいものがあるようだ。しかしながら、「ターン1とターン3にシケインが設定されるそうですが、もっとたくさん設置してほしいですね(笑)。 コーナーがたくさんあれば、勝てると思います」と笑わせつつ、「たしかにマシン的には厳しいのですが、オーバルを走る以上はプライドがあるのでがんばります」と言い、松浦選手のドライビングテクニックを存分に見ることができそうだ。

(編集部:谷川 潔)
2009年 10月 6日