JATMA、低燃費タイヤのラベリング制度を発表 2010年1月より国内タイヤメーカー5社が運用を段階的に開始 |
JATMA(日本自動車タイヤ協会)は12月17日、業界自主基準の「低燃費タイヤ等普及促進に関する表示ガイドライン(ラベリング制度)」を制定し、2010年1月より運用を開始すると発表した。
経済産業省と国土交通省の主導による「低燃費タイヤ等普及促進協議会」で取りまとめられた制度で、適用されるタイヤは、消費者が交換用に購入する、乗用車用サマータイヤの全モデル。低燃費タイヤに対しては2010年12月末までに運用を開始し、そのほかのモデルについては、2011年12月末までの運用開始を目標とする。今回の発表は、日本自動車タイヤ協会 常任理事 事務局長 篠原亘氏と日本自動車タイヤ協会 協議会 代表委員 比留間雅人氏によって行われた。
日本自動車タイヤ協会 常任理事 事務局長 篠原亘氏 | 日本自動車タイヤ協会 協議会 代表委員 比留間雅人氏 |
ラベリング制度は、転がり抵抗の低い低燃費タイヤ、いわゆる「エコタイヤ」について消費者に対して適切な情報を提供することで低燃費タイヤの普及促進を図り、空気圧管理の重要性の啓発と、さらなる温室効果ガス(CO2)の削減を目標としている。当面はJATMA会員のブリヂストン、ダンロップファルケンタイヤ、横浜ゴム、トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)、ミシュランの5社で導入する。
タイヤの転がり抵抗性能とウェットグリップ性能それぞれにグレーディングシステム(等級制度)が設けられるので、どのタイヤがどのくらいの性能(低燃費)なのかが一目で分かるものとしている。転がり抵抗性能だけでなく、技術的に相反するウェットグリップ性能を評価基準に盛り込んだのは、環境への配慮のみならず安全性も考慮したためだ。
転がり抵抗性能における等級分けは、転がり抵抗係数(RRC)に応じてグレードAAA、AA、A、B、Cの5等級に分類し、JATMAではA、AA、AAAを低燃費タイヤと位置づけている。転がり抵抗係数の試験方法は、JIS D4234(乗用車、トラック及びバス用タイヤ ‐ 転がり抵抗試験方法 ‐ 単一条件試験及び測定結果の相関)を持って行われる。これまでメーカー各社は異なる測定方法や試験機を使用してきたため、今回の制度導入により基準を合わせる必要があったが、新たに基準試験機を設けることで、「結果を横並びに見られるようになる」と比留間氏は言う。
ウェットグリップ性能(G)はa、b、c、dの4等級に分類し、EU規則 Wet Gripグレーディング試験法により行われるものとしている。
転がり抵抗係数(RRC) | 等級 |
RRC≦6.5 | AAA |
6.6≦RRC≦7.7 | AA |
7.8≦RRC≦9.0 | A |
9.1≦RRC≦10.5 | B |
10.6≦RRC≦12.0 | C |
ウェットグリップ性能(G) | 等級 |
155≦G | a |
140≦G≦154 | b |
125≦G≦139 | c |
110≦G≦124 | d |
低燃費タイヤを表すラベリング方法(表示方法)は、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能のそれぞれのグレードが表示されるとともに、地球に優しいタイヤを表現した統一マークが入る。また、低燃費タイヤでないものについては、この統一マークは入らない。これらのマークはタイヤラベル内に入るほか、カタログ、タイヤメーカー各社の公式サイトでも情報提供を行っていくと言う。
(編集部:小林 隆)
2009年 12月 17日