トヨタ博物館で「マッハ号」が走った
日産の入門レースマシン「ザウルス」をベースにしたレプリカモデル

博物館入り口脇に展示されたマッハ号

2010年1月9日開催



新館前に移動したマッハ号と説明を聞く観客

 1月9日、トヨタ博物館(愛知県愛知郡長久手町)でマッハ号の走行披露が行われた。トヨタ博物館が開設20周年記念企画展として開催している「マンガとクルマ(あの名車がマンガの世界を飛び出してここに夢の競演!!)」のイベントとして、レプリカモデルが館内の駐車場を疾走し、多くの観客を魅了した。

 マッハ号が登場するアニメ「マッハGoGoGo」(制作:タツノコプロ)は1967年に第1作がフジテレビで、1997年にリメイク版の第2作がテレビ東京で放送された。マッハGoGoGoは海外でも人気が高く、2008年には映画マトリックスの監督であるウォシャウスキー兄弟によって実写映画「スピード・レーサー」を公開した。

 今回走行したマッハ号は、リメイク版であるマッハGoGoGo第2作のPR用に製作したレプリカで、日産の入門レースマシン「ザウルス」をベースにFRP製のボディーを被せたもの。実際に走行するのは1997年以来13年ぶりとのことである。マッハ号は第1作では左ハンドルのツーシーターだったが、第2作はセンターコックピットのスリーシーターとなっていて、レプリカでは左右の助手席は省略される。

 この日、マッハ号はマンガとクルマの展示会場から、本館入り口脇に移動していた。走行披露の時刻になると新館の前に移動し、簡単な説明が行われたのち、駐車場で実走行を行った。走行時間はおよそ5分。レースマシンがベースとなっているので、乗用車とは異なる太いエキゾーストノートを響かせながら観客の前を疾走した。

観客をバックに“GO!”疾走するマッハ号

 走行後にはマシンを間近で見る時間も用意された。このレプリカは1997年のPR後に個人が購入したもので、今回は展示のたのために借りたもの。触れることはできないが、大人も子供もコックピットを覗き込んだり、撮影したりと30分近く人垣に囲まれていた。

走行後は多くの観客が人垣を作ったステアリングのセンターには7つのボタン

 外観は特徴的なフロントデザインがみごとに再現され、第1作を見た父親、第2作を見た子供ともども、世代を越えてインパクトを感じられるものだった。コクピットを覗き込むと、ステアリングのセンターには子供時代に虜になった、あの7つのボタンも再現されていた。残念ながら特殊装備は実装していない。

 ちなみに7つの特殊装備は第1作と第2作では若干異なっている。

ボタン第1作第2作
Aオートジャッキエアロジャッキ
Bベルトタイヤバルーンタイヤ
Cカッター装置カッターブレード
Dディフェンサーディフェンシブシールド
Eイブニングアイエマージェンシーワイヤー
Fフロッグ装置フィッシュダイバ-
Gギズモ号ギャラント号

 Aボタンでジャンプ、Cボタンで木を切るなど、機能的に同じものが多いが、丸ノコがレーザーに変わるなど、時代の変化を反映したものとなっている。Eボタンのように第1作の赤外線ヘッドライトが、第2作では牽引ワイヤーになるといった装備の変更もあるが、ボタンのアルファベットと装備の頭文字(EボタンならEvening eye、Emergency wire)が一致するのは変わっていない。

その勇姿をご覧あれ

 マッハ号の走行披露は1月9日~11日まで行われたのだが、2月20日、21日にも開催される。時刻は11時30分、13時30分、15時30分の3回。写真を見て懐かしく思われた方は、是非その勇姿を生で見に行っていただきたい。

 また、行きたくても行けない方にはマッハGoGoGoの第2作のDVDが2月に発売されるといった朗報も。これにより、すでにDVD化されている第1作の映画「スピード・レーサー」とあわせてマッハ号の映像をすべて見ることが可能となる。親子で新旧の作品を見るもよし、40年前の第1作を「覆面レーサーの声は愛川欽也なのか」と新たな発見をしながら鑑賞するのもよいだろう。



マッハ号の走行シーン

19世紀末から20世紀の自動車の歴史に触れられるトヨタ博物館
 さて、会場であるトヨタ博物館についても簡単に紹介しておこう。場所は東名高速道路と日進JCT(ジャンクション)で接続する名古屋瀬戸道路の長久手IC(インターチェンジ)を降りてすぐ、名古屋ICからでも数分と車でのアクセスは便利だ。公共交通機関で行く場合は、2005年開催の愛知万博で利用されたリニモの芸大通駅のすぐそばだ。入館料は大人1000円、中高生600円、小学生400円などとなっており、公式サイトでは割引優待も用意される。

トヨタ博物館。愛知万博の会場の近くにあるエントランスに飾られたトヨダAA型

 1989年4月にオープンし、ガソリン自動車が誕生した19世紀末から20世紀の自動車の歴史を振り返ることができ、実用車を中心に約120台の車両が展示してある。1階のエントランスではトヨダAA型が来場者を迎えてくれる。2階に海外の歴史的な車が並べられるほか、3階には国内各メーカーの歴史的車種が用意される。

ロールスロイス 40/50HP シルバーゴーストベンツ 14/30HPブガッティ タイプ35B
3階にも色違いのトヨダAA型。観音開きのドアが開けられているトヨタ クラウンRS型三菱 コルトギャラン GTO-MR型
ホンダ S500 AS280型マツダ コスモスポーツL10B型トヨタ スポーツ800 UP15型
トヨタ7プリンス R380
トヨタ2000GT。普段は白い2000GTだが、特別展示室に移動したためレース仕様の車両を展示していた
マンガとクルマ展は3月7日まで開催

 2階の一部は特別展示室になっており、期間限定の展示を行っている。現在は開設20周年記念企画展として「マンガとクルマ」を開催しており、マッハ号も走行日以外はここに展示される。人気マンガの中に登場する車、車をテーマとしたマンガなど計8作品を紹介し、あわせてその実車も展示する。

 特別展示室の入り口には名探偵コナン197話「スーパーカーの罠(前編)」に登場するディーノ206GTが展示され、アニメのそのシーンを繰り返し再生していた。その先にはサーキットの狼に登場するロータスヨーロッパ、頭文字Dのスプリンタートレノ(AE86)、ルパン三世「カリオストロの城」に登場するフィアット500、クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」に登場するトヨタ2000GTなどを展示していた。

ディーノ206GT。ナンバープレートはマンガに合わせてある
タイタンの冒険旅行に登場するシトロエン2CVサーキットの狼に登場するロータスヨーロッパ頭文字Dに登場するハチロク(AE86)
マッハGoGoGoのコーナーにはミニカーも展示巨人の星に出てくるミツル・ハナガタ2000のミニカールパン三世「カリオストロの城」に登場するフィアット500
クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」に登場するトヨタ2000GT。普段は3階に常設展示されるちびまる子ちゃんの花輪くんのヒデじいのトライアンフTR2

 マンガとクルマの展示は3月7日まで。1月31日にはサーキットの狼の作者、池沢早人師氏のトークショーとスーパーカーが集合するイベントも予定している。

【お詫びと訂正】記事初出時、マッハ号の次回走行日を1月20日、21日としておりましたが、正しくは2月20日、21日になります。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。

(奥川浩彦)
2010年 1月 12日