首都高、大橋JCTと山手トンネルの初走行会
大橋JCTと山手トンネルの走行画像も掲載

3月28日16時に開通する山手トンネルの初走行会

2010年1月31日開催



 首都高速道路は1月31日、3月28日16時に開通する中央環状山手トンネルと大橋JCT(ジャンクション)で、イメージキャラクターを務める近藤真彦氏や報道関係者らを招いての初走行会を行った。大橋JCT~西新宿JCT間の内回り、外回り各走行画像もあわせて掲載する

 大橋JCT内に用意された壇上には、首都高速道路の代表取締役会長である長谷川康司氏と、同社東京建設局長 飯島啓秀氏が登壇し、挨拶と山手トンネル3号~4号線間の開通について解説した。

 開通するのは約4.3kmの区間で、途中富ヶ谷出入口と初台南出入口の2つの出入口を持つ。4号新宿線につながる西新宿JCTは、4号新宿線の新宿出入口と初台出入口の間に接続され、初台出入口方向(中央道方向)とのアクセスのみ可能。つまり、都心方向とのアクセスはできない構造。一方の3号渋谷線と繋がる大橋JCTは、都心方向、東名方向どちらともアクセスできる。接続されるのは3号渋谷線の渋谷出入口と池尻出入口の間だ。

 長谷川会長によれば、大橋JCTは、双方向に繋がるJCTとしながらも、住宅の密集している地域に作るため、コンパクトな設計とした上で、地域住民との協力も重要だったと言う。そこで、東京都の進める再開発事業とリンクし、大橋JCT建設地域に元々住んでいた世帯には、大橋JCTに隣接して建てられる再開発ビルに新居を用意したと言う。また、近隣住民への理解を深めるためにも、大橋JCTの屋上を目黒区が管理する公園にすると言い、現在公園内には田んぼを作る予定だとした。

 今回の山手トンネルの開通により、東名 用賀IC(インターチェンジ)を起点に、東北道 川口ICまでで18分の短縮、常磐道 三郷ICまでで15分の短縮になると言う。これにより渋滞は約3割減り、CO2の年間排出量は約3万4000tの削減になると言う。

首都高速道路代表取締役会長の長谷川康司氏首都高速道路 東京建設局長 飯島啓秀氏
今回開通するのは、中央環状線の西新宿JCT~大橋JCT間4.3km。内回りには初台東入口と富ヶ谷出口、外回りには富ヶ谷入口と初台東出口が設けられる
大橋JCTができた大橋地区の変遷。1947年には国道246号線と玉川電鉄が通り、1974年には玉川電鉄は廃線となって首都高速3号線が開通していた。再開発直前の1989年には住宅が密集していることが分かる
大橋JCTの脇には再開発ビルが2棟建ち、元々の住民が住むと言う東名方面から東北道方面に抜ける場合で、18分の短縮。さらに都心環状線の渋滞も減るため、都心環状線経由でも6分の短縮になると言う
山手トンネル西新宿JCT~大橋JCT間の開通により、渋滞が約3割減少するとのこと首都高速の渋滞緩和により一般道の渋滞も減り、結果的に約3万4000tのCO2削減になると言うすでに開通している山手トンネル西新宿JCT~熊野町JCT間の開通前後では、4号新宿線の渋滞が最大6割減少した
工期の短縮と予算削減のため、世界初のシールド切開き工法を採用。5つのシールド機で掘削した大橋JCT鳥瞰図。使用する土地を最小限に抑えるため、内回り、外回りを縦に重ねた構造とした一般的なJCTである川口JCTとの使用面積の比較

 続いて、日産「GT-R」に乗って近藤真彦氏が登場。近藤氏は自身が大橋JCTの近所に住んでおり、大橋JCTができあがっていく様を日々見ていたと言う。「サーキットは郊外にあるので、東名方向から埼玉や茨城に抜けるのに、渋滞しているのが分かっている都心環状線を通って行かなければならなかったのがつらかったので、便利になって本当に感謝している」と述べた。

 また、近所に公園ができたこともうれしいと言い、「子供を連れて遊びに来たい」と述べていた。

 初走行会は、近藤氏や長谷川会長の乗ったBMW650iカブリオレを先頭に、報道陣を乗せたバスが続くという形。大橋JCTから山手トンネルをとおり、4号新宿線につながる西新宿JCTの分岐を過ぎたところでUターン。内回りをとおって戻るというもの。当確区間はすべて舗装を終え、一部車線が引かれていない部分があったものの、ほぼ完成に近い状態となっていた。

GT-Rに乗って近藤真彦氏が登場報道陣の前をBMWに乗ってスタート

大橋JCT&山手トンネル内画像(外回り)

3号渋谷線の用賀方面から大橋JCTに入ったところ。入口部は屋根がルーバー状になっているが、これはドライバーの目を暗さに慣れさせるための工夫大橋JCT内。都心方面からの車線と合流し2車線になる
約800m、2周回って地下の山手トンネルの高さまで降りる天井の形状が丸くなるところからがシールド工法で掘られたトンネルだ。ここで1車線に絞られる1車線になった。このトンネルの右側では、将来品川方面に繋がる中央環状線の切削が進められている
本線となる山手トンネルに合流する合流。将来的には右側に品川方面から来たクルマが流れるが、現在は1車線となっている山手トンネル内で2車線に変わる
じきに中央道方面は右に寄るよう案内標が出るトンネルの形状にあわせて天部が丸くなった案内看板トンネルの右手が切り開かれているが、ここが富ヶ谷入口の合流部となる
白線がまだ引かれていないが、富ヶ谷入口の合流。すぐ先には初台南出口の分岐が見える初台南出口の案内看板右手の分岐が初台南出口
続いて中央道への分岐の案内看板が現れる西新宿JCT。右手の分岐が4号新宿線に繋がり中央道方面に向かうそのまま進むとすでに開通済みの熊野町JCT方面へと繋がる

山手トンネル内&大橋JCT画像(内回り)

山手トンネルを熊野町JCT方面から来たところ。右手から4号新宿線からの車線が合流する続いて初台東入口の合流初台東の合流が終わるとすぐに富ヶ谷出口になる
富ヶ谷出口。まだ白線や標識ができあがっていない制限速度は60km/hだコーナーの前には赤いゼブラパターンと壁面の矢印で告知
壁面の白いペイントに先行するBMWのブレーキランプが映りこむ大橋JCTに近づくと1車線に絞られる大橋JCTの案内看板が現れる
左手の壁が、将来品川方面へと続く本線との分岐になる3号渋谷線の案内看板。大橋JCTからは都心方面にも進むことができる天井の形が四角くなったところからが大橋JCTだ。カーブと坂道の警告が出る
大橋JCT内は3車線強の車幅があるが、使うのは外側2車線のみ。JCT内にパトロール隊と警察車両の待機所があるので、それらの通行帯として利用されるのだろう分岐まで400mの看板。これでちょうど1周回ったことになるまもなく分岐
大橋JCTで初採用した色分けによる方面案内。赤が都心方向、青が東名方向になる分岐地点。3号渋谷線へと繋がる屋上から3号線都心方面との接続を見る。大橋JCTからの流出路が上段、流入路が下段の2段構造になっているのが分かる

 近藤氏は、走った感想について、「やっぱり新しい道はよい。アスファルトもよいし走りやすい」と述べ、路面の色を使った案内などが、分かりやすいとした。また、道路の見どころについては、「とにかく非常口や非常電話などの安全装備が、説明されなくても分かりやすい場所にある」と述べ、「宣伝をするのが僕の仕事だが、宣伝をしなくてもきっとみんな使うでしょう。だって便利だから」と言い、3月28日になるのが楽しみだと述べた。

そのほかの見どころ

新採用の色つき路面カーブの続く大橋JCT内はグリップの高い目の細かな舗装を使用している屋上から見た大橋JCTの換気所。最上部の屋根の上に排気口があり、壁面の柵の内側に吸気口がある
屋上は公園になる建設中の再開発ビルへと直結する再開発ビル建設中。今まで大橋JCT建設の資材置き場として使用していたエリアだ
すでに建設済みの再開発ビル「プリズムタワー」3号線に繋がる直近までが公園になる。さらに下を渡る歩道橋とも直結する予定とのこと公園予定地から首都高を見上げる。奥に見える歩道橋が移設され、将来的に直結する
大橋JCT換気所。トンネル内の送気、排気に加え、出口付近からも吸気することで、クルマの流出によってトンネル内の空気が外部へ拡散することを防いでいる空気を送る送風機。全3基ある空気を排出する排風機3基に加え、出口付近の吸気用に3基ある

(瀬戸 学)
2010年 2月 2日