富士経済、燃料電池システム市場調査結果を発表
2025年度に燃料電池自動車市場は9900億円規模に拡大と予測

2010年2月2日発表



 富士経済は2月2日、燃料電池システム市場調査の結果を発表した。

 市場調査は業務・産業分野、住宅分野、自動車分野、携帯機器関連分野、ポータブル分野における2009年度の見込みおよび2025年度の予測を打ち立てており、燃料電池システム、燃料電池システムが消費する水素燃料、燃料電池車に必要な水素インフラの3つを主要市場として取り上げ、燃料電池市場全体の将来を予測した。

 調査結果によると、2018年度までは住宅分野が牽引・拡大するが、その後燃料電池自動車(FCV)が拡大し、2020年度以降は市場全体を牽引していくと言う。

分野2009年度見込2025年度予測2009年度比
業務・産業分野8億円305億円

38倍

住宅分野146億円5070億円

35倍

自動車分野6億円9900億円

1650倍

携帯機器関連分野2.4億円520億円

217倍

ポータブル分野0.13億円338億円

2600倍

合計163億円1兆6133億円

99倍

 自動車分野においてはFCVを対象にメーカー出荷ベースで市場規模をとらえているが、現在のFCVはリースのみとなっているため、推定の車両価格をもとに算出した。

 FCVは、今後の運輸部門の環境負荷低減を進める上で重要な役割を担うとし、自動車メーカーのほかケミカルメーカーや研究機関で開発が進められている。また、FCVはエコカーとして開発が進められており、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)と競合しながら、既存の内燃機関のみの自動車を代替しながら市場を拡大していくと予測している。

 また、FCVの普及に向けて水素ステーションの整備を進める動きも出てきており、自治体での水素ステーションの誘致などが活発化することで、FCVの出荷台数は増加する可能性があると言う。

 さらに、FCVは環境性だけでなくスペック(出力)を変更しやすい点も大きな魅力だとし、スタックの出力調整はセル数の調整だけで可能で、内燃機関のような大きな設計変更を伴わない。このことから小型車や大型車などにも柔軟に対応し、さらに動力系統が機械的な伝達機構を電気信号による伝達に置き換えるバイワイヤー技術であることから、セダン、ミニバン、ワゴンなどさまざまな車に展開しやすい点も大きな魅力だとしている。

 FCVは2015年度以降に本格的に市場導入され、2008年度の出荷実績の10台(2009年度も同程度と予測)から2020年度には10万台に、2025年度には45万台、9900億円の市場に拡大すると予測した。

(編集部:小林 隆)
2010年 2月 3日