NEXCO中日本、「圏央道」海老名JCT~海老名ICの見学会 |
NEXCO中日本(中日本高速道路)は、2010年2月27日15時に圏央道(首都圏中央連絡自動車道)海老名JCT(ジャンクション)~海老名IC(インターチェンジ)間を開通するが、これに先駆け、報道関係者向けに現場見学会を開催した。
■さまざまな取り組みがされた工事
集合場所で大型のバスに乗り、高速道路を使って移動。下り方面ということもあり、バスは快調に走っていく。とりあえずの行き先は海老名ICだが、ICの周辺道路の整備も行われているのが印象的だった。ICへの流出入をスムーズにし、周辺の渋滞を緩和するのが目的だろう。
今回開通するのは、海老名JCT(神奈川県海老名市社家)から海老名IC(神奈川県海老名市中新田)までの圏央道本線1.9kmの区間と、厚木IC(神奈川県厚木市岡田)から海老名JCTまでの連絡路1.1kmの計3kmの区間だ。
海老名ICに到着すると、料金所でバスを降りてマイクロバスに乗り換える。車内では工事についての解説が行われた。配られた資料をチェックしながら話を聞く。少々長いが今回のポイントなので以下にまとめてみた。今回開通する区間の工事の特色として、下記のようなことがあると言う。
(1)短期間で橋梁を架設
厚木ICでは東名高速上の4橋を1夜間で架設。海老名JCTでは東名高速上の2橋を2夜間で架設した。JR相模線上の3橋は5夜間で架設したとのこと。
(2)東名高速隣接個所かつ狭小ヤードの中で専用連絡路工事を実施
厚木IC周辺の専用連絡路の整備では、隣接する民地との非常に狭い空間で作業したと言う。
(3)開通区間における環境への取り組み
建物収去後の家屋基礎コンクリートを現地でクラッシング(粉砕)し、橋梁基礎材などとして再利用。この建設リサイクルの実施によって、約3000m3を有効利用できたと言う。
また、海老名JCTのある相模川上に架かる橋梁を施工する前に、河川区域内の動植物の状況を調査。「タコノアシ」や「カワラノギク」など、絶滅が危惧される植物の表土をいったん剥き取り、工事完了後に復元するといった保護を行ったとのこと。
さらに、省エネルギーに優れたLED照明器具を、海老名JCTの低位置照明や料金所照明に採用し、海老名IC料金所の駐車場には、CO2を排出しないハイブリッド照明を設置。これは風力発電機、太陽電池パネルを備え、自然エネルギーを積極的に採用している。
最後に、料金所などの屋根材に遮熱鋼板を採用。建物内部の温度上昇を抑えることで空調コストを下げ、省エネルギー化を図ったと言う。
■とりあえずは近隣の渋滞緩和のために
マイクロバスは圏央道へ入り、東名高速への分岐を過ぎたあたりで停車。圏央道本線は開通がまだ先のため未舗装。バスはアスファルト舗装が済んでいるところまでしか入れず、そこからは歩いて東名高速の上(陸橋)まで移動することに。安全のため、参加者にはヘルメットが貸し出された。
開通区間の安全対策の説明もあった。圏央道本線は本来片側2車線の計4車線だが、前後区間が開通するまでは、片側1車線で暫定的に運用される。これは今回開通する区間で、上限の100km/hを出す区間が短いためだと言う。IC、JCTでは、速度超過、脇見運転などに配慮した反射板や路面塗装などが数多く設置され、注意を喚起するように対策されている。
なお、2月27日の開通後から3月31日(24時までに出口料金所を通過)まで、圏央道「海老名インターチェンジ開通記念割引」が実施される。割引対象区間は、海老名IC~厚木IC、海老名IC~横浜町田IC。割引額は100円(軽・普通・中型)、150円(大型)、200円(特大)で、時間帯割引との重複適用はない。割り引きはETC搭載の有無に関わらず全車が適用になる。
その後バスに戻ってUターン。東名高速へ合流する分岐へ入り、海老名JCTで一番高い場所へ。そこは海老名JCT全体を一望できる場所。晴れていれば富士山が見えると言うが、あいにくの天気で、富士山を見ることはできなかった。そして海老名ICに戻って終了となった。帰りのバスは、東名高速上りの渋滞に巻き込まれ、予定の時間を大幅に超過して出発地に戻ってきた。
27日まで半月に迫ったが、まだまだ工事は続いている。料金所周囲の植え込みの作業や、ガードレール敷設などが目に入った。一気に仕上げに入るのだろう。今回開通するのは短い区間だが、これによって周辺道路の渋滞が解消するとのこと。確かに海老名IC周辺の道路は道幅も狭く、交通量も多かった。海老名ICオープンにより、この混雑が解消されればよいのだが。
海老名JCTに設置された高輝度LED採用の低位置照明。高輝度LEDは明るく、ドライバーが眩惑しないように配慮したとのこと | 料金所に設置されているLED照明 |
速度超過対策として施された海老名JCT内の路面塗装 | 海老名ICの駐車場にある、風力発電機と太陽電池パネルを備えたハイブリッド照明 |
海老名JCT、圏央道本線から東名高速へ合流するルート上からのパノラマ写真。天気がよければ富士山が見えると言う |
(政木 桂)
2010年 2月 12日