フォルクスワーゲン、新型「シャラン」をワールドプレミア
ディーゼルエンジンながら、世界一クリーンなMPV

ジュネーブショーで世界初公開された新型「シャラン」

2010年3月2日発表



 フォルクスワーゲンは、スイスで開催中の「第80回 ジュネーブ国際自動車ショー(80th International Motor Show)」(プレスデー:3月2日、3日、一般公開日:3月4日~14日)で、フルモデルチェンジした新型「シャラン」を世界初公開した。

 シャランは60万台以上の販売を記録した5人~7人乗りのMPV(Multi Purpose Vehicle)。ベースの「トレンドライン」、中間の「コンフォートライン」、トップモデルの「ハイライン」の3つのグレードを用意し、ボディーカラーは9タイプを設定する。

新型シャラン

エンジン
 エンジンには、110kW(150PS)と147kW(200PS)を発生する2タイプの直噴ターボガソリンエンジンと、103kW(140PS)と125kW(170PS)を発生する2タイプのターボディーゼルエンジンの、計4つのエンジンを用意する。先代モデルと比べ、最大で21%燃費を改善したと言う。

 147kW仕様のガソリンエンジン以外には、アイドリングストップと回生ブレーキシステムを採用。103kW仕様のディーゼルエンジンは、平均5.4L/100km(CO2排出量143g/km)の燃費を記録し、このセグメントのベンチマークとなっている。また、新型シャランのディーゼルエンジンには、SCR触媒コンバーター(選択触媒還元方式=窒素酸化物だけ選り分けて除去)を装着しており、ターボディーゼルでありながら、現時点で世界一クリーンなMPVだとしている。

エクステリア
 エクステリアデザインも一新している。ボディーサイズは4850×1900×1720mm(全長×全幅×全高)。これは先代と比べ220mm長く92mm広く12mm低くなっている。フロントエンドはフォルクスワーゲンの新デザインを踏襲したもので、水平ラインと明確な輪郭線で形成されたフォルクスワーゲンらしいフロントエンドに表れている。ボンネットのV型の抑揚と一体化したダブルヘッドライトは、標準タイプとバイキセノンの2タイプを用意。さらに、シャランとしては初めて、自動ハイビーム制御(ハイビームアシスト)も設定している。これは、カメラで対向車や前方を走るクルマを察知して、ハイビームの角度を自動調整するというもの。また、バイキセノンヘッドライトを装着した場合には、新設計のLEDデイタイムランニングライトとポジションライトがヘッドライトモジュールに内蔵されるほか、オプション(一部グレードは標準)でウィンカー連動のスタティックコーナリングライトが用意される。

 サイドでは、リアスライドドアを採用。Bピラーのすぐ横にドアハンドルを配置することで、ドライバーもしくは乗員が、体の位置を動かすことなく、腕の操作だけでドアの開閉を完了できるようにしている。ドアの開口面積も大きくとれ、リアシートへの乗降性を向上している。サイドグラスは、ウインドー下端を低くすることでキャビンの開放感を演出するとともに、AピラーとDピラーの近くで大きくせり上げることで、アピアランスに個性を与えている。

 リアビューで特徴的なのは、コンパクトなルーフエンドスポイラーと、低い位置まで開くテールゲート、そしてヘッドライトの造形に対応したテールライト。テールゲートのシルの高さは地上670mmで、オプションで電動開閉機構も選択できる。

インテリア
 シャランには2列シートの5人乗りと、3列シートの6人乗り、7人乗りが設定される。新しい「イージーフォールド」シートコンセプトでは、2列目と3列目のシートは簡単に折りたたんで、床下に収納できるようになった。2列目のシートは前後スライドが可能で、また背もたれも20度の角度で調整できる。後席のヘッドレストは再設計され、使わないときには背もたれの内部に収納することもできる。

 シートは人間工学的に望ましい着座位置、ドライビング姿勢を取れるように設計されているという。また、先代同様、2列目シートは、チャイルドシート内蔵型のものが選択できるようになっている。

 2列目シートや3列目シートを収納すれば、フラットなフロアのラゲッジスペースが生まれる。3列目シートを折りたたむことで、奥行きは1.3mとなり、ウインドー下端まででも711Lの積載スペースを確保。防護ネットを付ければ安全に天井まで荷物を積載することができ、その場合の容量は1167Lとなる。さらに2列目シートも収納すれば、奥行きは2.1mとなり、積載量は最大2297Lになる。サイドウォールに固定できる2本の可動式テレスコピックレールとネットで構成された、新開発の「カーゴマネージメントシステム」を使えば、荷物の固定もしっかりとすることができる。

 ダッシュボードまわりのレイアウトは、ライトスイッチや空調コントロールといった主要な操作類の位置は動かすことなく、さらに見やすく使いやすくなるよう工夫。エア吹き出し口やスイッチなどにクロームのアクセントを加えることで高級感を演出する。ハザードスイッチなど使用頻度の高いスイッチは手の届きやすい場所に、EPSのカットスイッチなど使用頻度の低いスイッチはセンターコンソール下などにレイアウト。パーキングブレーキは従来どおりフロントシートの間に置かれるが、電子式パーキングブレーキとなったため、レバーではなくスイッチに変わっている。そのほか、メーター類などは、ほかのフォルクスワーゲンの乗用車に近いものにしていると言う。

【お詫びと訂正】記事初出時、ボディーサイズに誤りがありました。正しくは4850×1900×1720mm(全長×全幅×全高)になります。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。

(瀬戸 学)
2010年 3月 3日