米国トヨタ、実車を使った再現デモを実施
電子制御スロットルの不具合についての報道を否定

2010年3月8日(現地時間)実施



 米国トヨタ自動車販売(TMS)は3月8日(現地時間)、一部のトヨタ車が突然急加速するとされる問題で、電子制御スロットルへの指摘に対し、実車を使った再現デモンストレーションを報道関係者に向けて実施した。これは、2月22日(現地時間)にABCニュースで放映された米国・南イリノイ大学のデイビッド・ギルバート教授によるトヨタ車の“意図せぬ加速”の実証に関するデモが、非現実的であり信頼性に乏しいとの懸念を表明するもの。

 今回行われた再現デモは、トヨタ車のほかに他社の車両も使って実施。再現デモの結果と、エンジニアリング・コンサルティング会社を運営する米エキスポーネントに依頼した調査結果を総合的に分析し、以下の3点を結論づけた。

・ギルバート教授のデモは、車の配線に特定の手順を経て大幅な加工を施す必要があり、これらを実際の市場環境において発生させることは事実上不可能である。

・ギルバート教授のデモでは、トヨタ車の電子制御システムがフルスロットル状態となるよう意図的に操作されている。

・今回のTMSのデモでは、他社の車両についても同様の現象が再現できた。

 上記のように、ギルバート教授のデモは人為的に不具合を発生させる手順と内容のもので、市場での再現性に乏しいものだとし、他社の車両を含むトヨタおよびレクサスの車両において固有の欠陥があるという証拠にはならないとした。

 また、トヨタ自動車 取締役副社長の内山田竹志氏も、3月2日(現地時間)の米上院通商・科学・交通委員会の公聴会において「各種の試験を徹底的に行っており、弊社の電子制御スロットル技術によって、意図せぬ加速は一度も発生していないと確信している」と、一連の報道を否定している。同社は、今後もEDR(イベント・データ・レコーダー)などの先進技術を活用し、一層の安全確保に取り組んでいくとしている。

 なお、TMSのWebサイトでは再現デモのほか、ギルバート教授によるデモの詳細も掲載されている。

(編集部:小林 隆)
2010年 3月 9日