フィアット グループ オートモービルズ ジャパンは、アルファ ロメオ「ミト」に、1.4リッターインタークーラー付きターボの「マルチ エアエンジン」、6速乾式デュアルクラッチAT「Alfa TCT」、アイドリングストップ機能「スタート＆ストップ」を搭載した「Sprint（スプリント）」と「Competizione（コンペティツィオーネ）」を設定し、3月27日より先行予約を開始する。価格はスプリントが288万円、コンペティツィオーネが305万円で、ハンドルは右のみ。先行予約受付分については、7月より納車開始の予定。

　アルファ ロメオ ミトは、2009年5月16日より国内で発売されたコンパクトカー。これまで6速MTの「1.4Tスポーツ」のみの設定だったが、今回新たに6速デュアルクラッチATモデルを導入する。

アルファ ロメオ ミト。写真は本国仕様

　搭載されるATは、6速乾式デュアルクラッチ機構を採用したAlfa TCT。アルファ ツイン クラッチ テクノロジーの略で、FPT（フィアット パワートレイン テクノロジーズ）の設計・開発によるもの。2系統の動力伝達経路を2つのクラッチにより選択するため、変速時に駆動力が途切れることがない。Alfa TCTではクラッチを乾式にすることでトランスミッションを軽量・小型化した。MT車のダイレクトな感覚や燃費経済性と、AT車同様のシームレスな自動変速を実現し、電子制御による半クラッチ機能により、クリープでの微速走行も可能としている。

6速デュアルクラッチATのAlfa TCT。クラッチには乾式を採用

　組み合わせるエンジンは、新開発のマルチエア エンジンで、最高出力99kW（135PS）/5000rpm、最大トルク190Nm（19.4kgm）/4500rpmを発生。マルチエア方式では、スロットルバルブではなく、電子制御油圧システムによる吸気バルブの開弁時期やリフト量の制御によって吸気量を制御する。吸気バルブの開閉時期、リフト量に対し、自由な制御が可能となるため、最高出力が10％、トルクが約15％向上するほか、低回転域でのアクセルレスポンスも向上。また、ポンピングロスを排除することで、燃料消費量とCO₂排出量を約10％、HCとCOを最大40％、NOxを最大60％低減などのメリットが得られると言う。

　アイドリングストップ機能のスタート＆ストップシステムもアルファ ロメオとして初採用。信号待ちなどで停車すると自動的にエンジンを止め、その後ブレーキペダルを放すなど発進するための動作を感知すると、即座に自動でエンジンを始動するというもの。状況に応じてアイドリングストップすべきかは自動で判断されるほか、マニュアルで機能を解除することもできる。

エンジンは直列4気筒マルチエア16バルブのインタークーラー付きターボエンジン
アイドリングストップ機能のスタート＆ストップも搭載。Alfa TCTとの組み合わせは世界初

　そのほか、乗車定員を5人とした6：4分割可倒式リアシートや、電動格納式ドアミラーの採用により、利便性を向上。スプリントでは価格を抑えながらも、デュアルゾーン式フルオートエアコンやリア・パーキングセンサーなど装備を充実し、コンペティツィオーネでは、さらにバイキセノンヘッドライトや17インチアルミホイール、レッド仕上げキャリパー、ステアリングのパドル式スイッチを装備するなどスポーティーな仕上げとしている。

シフトレバー脇のスイッチで走行モードを切り替えられるアルファ ロメオ D.N.A.システム

　1.4Tスポーツ同様アルファ ロメオ D.N.A.システムも搭載。シフトレバー近くにあるスイッチを操作することでエンジンやパワーステアリングの特性を変更し、ダイナミック/ノーマル/オールウェザーの3つ走行モードを選ぶことができる。ダイナミックモードでは、オーバーブーストにより、エンジントルクを230Nm（23.5kgm）/1750rpmまで増大させる。

　サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームのレイアウトを採用しながら、4輪にリバウンドスプリング内蔵ダンパーを装備し、快適性とドライビングプレジャーを両立する。

　安全面においても、デュアルステージ型のフロントデュアルエアバッグを含む計7つのエアバッグ、前席にはダブルプリテンショナー付3点式シートベルト、ロードリミッター、アクティブヘッドレスト（むち打ち防止機構）などを装備。さらに、衝撃作用を考えて設計されたボディー構造やコンポーネントパーツなども乗員の保護効果を高めている。これらにより、ミトはEuro NCAP衝突安全（乗員保護）テストにおいて、最高ランクである5つ星を獲得している。