国民生活センター、フロアマットのアクセルペダル等への影響に関する調査結果
小売店は市販フロアマット使用の注意喚起へ

自動車用品小売業協会の作成したフロアマット注意喚起ポスター

2010年3月30日公表



 国民生活センターは3月30日、「乗用車用フロアマットのアクセルペダル等への影響に関する調査結果」を公表した。

 この調査は、米国トヨタ自動車販売のフロアマットに関するセーフティ・キャンペーンの改善措置や、日本においても、自動車のフロアマットに起因すると推定される事故が過去1年間に13件発生していると国土交通省が公開していることなどから、消費者庁が国民生活センターに依頼したもの。

 国民生活センターでは、国交省に寄せられた情報のうち比較的販売時期が新しい車両と、比較的販売台数の多い車両の中から、入手可能な26車種をテスト対象とした。26車種のアクセルペダルの構造内訳は、ペダルの支点が上部にあるつり下げ式が24車種、ペダルの支点がフロアにあるオルガン式が2車種。

 フロアマットについては、純正フロアマットのほか、米国で問題となった全天候型フロアマット(雨水を車内にこぼれにくくした縁の高いフロアマット)と同様な、大手カー用品店で販売されていた3社4銘柄の国内市販品フロアマットを用いてテストを行っている。

 テスト結果については、吊り下げ式アクセルペダルでは「固定していない純正マットや市販マットがずれた場合には、アクセルペダルがマットに干渉することがあった」とし、オルガン式アクセルペダルでは「市販マットでは、ずれるとアクセルペダルが戻りにくくなったり、意図せずにアクセルペダルが押し込まれることがあった」としている。

 再現テストについては、「アクセルペダルがマットに引っ掛かると外れることもあるが、引っかかったままだと加速することがあった」としながらも、「アクセルペダルが全開の状態でもブレーキを強く踏めば5車種中4車種は停止した」と言う。

固定していない純正マットがずれて、マットの端部がアクセルペダルに干渉した例市販フロアマット表面の溝がアクセルペダルに干渉した例

 国民生活センターではこの結果をもとに、純正マットでは固定フックが外れてマットがずれてないか十分確認することや、4銘柄中3銘柄について固定する構造の市販マットについては、車両の形状にあったものを選択し、ペダルに干渉しないことを十分に確認して使用することを消費者へのアドバイスとしている。

 また、消費者に対しては、アクセルペダルが引っ掛かり、戻らなくなったときには、ブレーキを十分に強く踏んで停止させること、停止できない場合には、シフトレンジをニュートラルにしてブレーキペダルを踏むことをアドバイスしている。

 業界に対しては、市販マットは、ずれないよう必ず固定フックなどをつけること、消費者へ正しいフロアマットの使用方法を引き続き啓発することを求めており、アクセルよりもブレーキを優先させる機能(ブレーキオーバーライドシステム)の搭載を要望している。

 この要望を受けて、APARA(自動車用品小売業協会)とJAAMA(全国自動車用品工業界)は、市販フロアマットを販売する小売店店頭において注意喚起するとともに「市販フロアマットに関する検討委員会」を設置する。

 店頭における注意喚起については、APARA加盟の1300店舗に、“クルマに合ったものを選ぶ”“運転前のフロアマットのズレに関する確認”“フロアマットがアクセルペダルに干渉しないことの確認”を記載したフロアマット注意喚起ポスターを3月30日から配布し掲示。

 検討委員会に関しては、4月上旬に設置し、固定フックをつけることなどが求められていることから、販売店や製造メーカーとともにずれ防止や形状に対する改善を話し合っていく。

 なお、APARAとJAAMAは、今回の国民生活センターの調査結果は商品の欠陥を指摘されたものではないことから、使用上の注意喚起を強化することで、フロアマットの販売を継続していく。

(編集部:谷川 潔)
2010年 3月 30日