NEXCO中日本とスバル、「サービスエリア清掃ロボットシステム」発表 2010年9月を目処に実証実験を完了、本格導入に向けて検討 |
NEXCO中日本(中日本高速道路)とスバル(富士重工業)は3月30日、高速道路のSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の休憩施設を自動で掃除する「サービスエリア清掃ロボットシステム」を発表した。2010年9月まで実証実験を行い、その後本格導入に向けて検討していく。
発表会に出席した中日本高速道路 企画本部 技術開発部 部長 猪熊康夫氏(左)、富士重工業 戦略本部 クリーンロボット部 部長 青山元氏から、清掃ロボットの概要説明が行われた |
現在、NEXCO中日本では、SA/PAの「美しいお手洗い」の実現に向けて、清掃員の作業軽減や清掃レベルの向上・均質化など多くの課題に取り組んでいる。清掃ロボットはこれらの課題解決に寄与するものとして開発されたもので、トイレ用として開発。トイレ用としたのは、一番過酷な清掃現場で機能すれば、ほかの場所での応用が容易になるからだと言う。
清掃ロボットを導入することで、床面の清掃をロボットが、便器など複雑な形状のものを人間が清掃することで、人間にかかる負担が軽減されるとともに、作業時間の短縮にもなるメリットがあると言う。
清掃ロボットのサイズは500×450×800mm(全長×全幅×全高)で、本体重量は95kg。走行駆動方式はDCサーボモーター×2で、鉛バッテリー(24V)を電源としている。連続作業時間は1充電につき約2.5時間で、走行速度は最大で20m/min。障害物センサー(レーザー測域センサー)を搭載し、周囲4m以内の人や障害物を検知、30cm以内まで近づくと自動停止する仕組みを持つ。
迅速かつ容易な清掃を可能にするため、「薬品などを使用しても変化しない」「濡れても滑らない」「湿式清掃により汚れが落ちるもの」などを条件に、床材の選定を行っている。また、床面に付着している汚れの分析や、どういった場所に汚れがたまりやすいかなどといった調査も同時進行で行っていると言う。
清掃方式は、バキュームで吸引する「乾式清掃」と、サイドブラシと洗浄液を含ませたモップ(材質はマイクロファイバー特殊繊維)で拭き上げていく「湿式清掃」の2種類の作業を可能とする。はじめにトイレ内の床面に落ちている砂などを乾式清掃で除去し、さらに湿式清掃で仕上げるイメージだが、バキューム作業とモップ作業は同時に行うことができる。
また、プラズマ(放電)とオゾンによる脱臭・除菌機能も搭載する。オゾンは強力な酸化力を持ち、悪臭のもとになる物質を酸化させることで臭気を弱めるほか、細胞壁またはDNAを直接攻撃することで、細胞の活動を停止させ、最終的に無公害にすると言う。
床面を清掃するデモを行う清掃ロボット | モップ上部に洗浄液を入れるタンクを設け、タンクにあけられた穴から洗浄液がにじみ出る仕組み | |
電源に鉛バッテリーを2個使用。バッテリーの重量は約22kg/個 | 吸い取ったゴミは特殊布を使ったゴミ袋に回収される。このゴミ袋は水分にも対応すると言う | ゴミ袋は本体上部の蓋を開くと取り出せるようになっている |
今後は東名高速道路 海老名SAや日本平PAなどで実証実験を行う予定で、トレイのほかレストランなど営業施設内への導入も視野に入れていると言う。中日本高速道路 企画本部 技術開発部 部長 猪熊康夫氏は、「今後もNEXCO中日本、スバル、そして実際の作業を担う中日本ハイウェイ・メンテナンス東名の3社でサービスエリア清掃ロボットシステムを活用して得られる省力化、清掃コストの削減効果などを確認するほか、さらなる改良に取り組んで行きたい」と述べた。
なお、サービスエリア清掃ロボットシステムは、上海国際博覧会の「日本館ロボットステージ」(期間は5月17日~23日)に出展される予定。
清掃ロボットを導入することで得られるメリット | 清掃方法は乾式清掃と湿式清掃が可能で、男子小便器周辺の拭き取りにも一役買う | NEXCO中日本とスバルの役割分担 |
清掃方法の紹介 | オゾンの性質について | プラズマ(放電)と脱臭の仕組み。プラズマを臭いの元になる物質を含む空気に当てることで無臭化すると言う |
洗浄剤は残留毒性がなく、環境に優しいものを使うと言う | 清掃ロボットのスペック表 |
(編集部:小林 隆)
2010年 3月 30日