SUPER GT第3戦富士、エヴァンゲリオンレーシング登場
綾波レイ&式波・アスカ・ラングレー的レースクィーンも初披露

エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ

2010年5月1日、2日開催



 5月1日、2日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されたSUPER GT第3戦で、以前よりCar Watchでもお伝えしていたエヴァンゲリオンレーシングがデビューした。マシンはエヴァンゲリオン初号機をモチーフにした「エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ」。それを駆るのは碇シンジのプラグスーツ風レーシングスーツをまとった嵯峨宏紀選手と、松浦孝亮選手。さらに綾波レイと式波・アスカ・ラングレーに扮したレースクィーン2人がチームを彩った。

 カーナンバー31を与えられたエヴァンゲリオンレーシング。ベースとなるのはaprというSUPRE GTでの経験も豊富なレーシングチームで、第2戦岡山では5位に入るなど、十分に勝てる戦闘力を持っている。エヴァンゲリオンレーシングは、このaprとラナ エンタテインメントがタッグを組んで実現したチームだが、この2者がタッグを組むのはこれが初ではない。2006年、2007年には「トイ・ストーリーレーシングチーム」として参戦し、2007年にはシリーズチャンピオンを獲得。2008年には、同じく、Disney/Pixarアニメーションの「カーズ」とタイアップしての「カーズレーシングチーム」として参戦している。

 ではなぜ今回エヴァンゲリオンをキャラクターに起用し参戦することになったのか。ラナ エンタテインメント代表取締役の鈴見純孝氏によれば、エヴァンゲリオンとそのパイロット、それらを支える特務機関NERV(ネルフ)が、SUPER GTに参戦するマシンやドライバー、チームの世界観に通じるものを感じたからだと言う。もちろん、5月26日に発売される「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のBlu-rayとDVDのプロモーションとしての意味も持つが、それはあくまで副産物的なものであり、企画自体はDVDの発売とは関係なく立ち上げたものだと言う。そのため、Blu-ray&DVD発売後の次戦以降も、チームは存続する。

 これまでにもキャラクターを使ったレーシングチームを企画してきた鈴見氏だが、レースというエンターテイメントと、アニメというエンターテイメントをクロスさせることで、それまでアニメにしか興味のなかった人へレースの楽しさを知ってもらい、逆にレースにしか興味のなかった人に、アニメを知ってもらう機会を作りたいと言う。そうした思いを実現する上で、ネルフのチーム体制で動くエヴァンゲリオンが、レースの世界にぴったりフィットしたのだ。

 実際、マシンのカラーリングは、エヴァンゲリオン初号機がクルマの形にトランスフォームしたような意匠に彩られる。ヘッドライトの部分が目であり、ルーフには角を想わせるエアインテーク、ダクト部分のカラーリングやリアのサイドディフューザー部分のテクスチャーなど、エヴァンゲリオン好きが見ればニヤリとするカラーリングになっている。また、ドライバーのレーシングスーツが劇中に登場するプラグスーツ風に仕立てられているところも注目だ。一方、綾波レイと式波・アスカ・ラングレーをモチーフにしたレースクィーンのコスチュームは、単なるコスプレにはせず、作品を知らない人でも楽しめるような、おしゃれな衣装にするなど、どちらのファンからも受け入れられる工夫が見受けられる。

エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラレースクィーンもエヴァンゲリオンの世界観を表現
マシンのカラーリングはエヴァンゲリオン初号機をモチーフにしたものヘッドライトが目のモチーフだホイールまでも初号期のカラーをあしらう
フロントフェンダー上部には「EVANGELION-01 TEST TYPE」の文字ルーフ上部はエヴァンゲリオンを上から見たようなデザイン。エアインテークが角のイメージだリアフェンダー後部のディフューザー部のテクスチャーはエヴァンゲリオンのすねの部分の模様
ダクト部分も内側が赤く彩られ、初号期らしいカラーリングだ後部にはエヴァンゲリオンの背中に見立てたカラーリングエヴァンゲリオンレーシングのエンブレム
NERVのエンブレムも刻まれる個人スポンサーに配られるカードも貼られていたドライバーを務めるのは嵯峨宏紀選手と松浦孝亮選手
マシンはカローラアクシオベースだが、エンジンはミッドシップに搭載され後輪を駆動する本来エンジンルームである場所には、ラジエターとステアリングラック、サスペンションなどだけが収まる
エンジンはミッドシップに搭載。ノーマルのカローラアクシオの面影はまったくと言っていいほどない
ブレーキは前後ともにAPレーシング製エキゾーストパイプはセンターの1本出しだ
コクピット。いやエントリープラグと言うべきかシートはレカロ製。後方視界は皆無だドライバーを冷やすために電動ファンが取り付けられる
ピットボードもNERVのエンブレム。世界観はエヴァンゲリオンそのままだピット内もヱヴァンゲリヲン新劇場版に登場するキャラクターなどが描かれたボードが設置される
エヴァンゲリオン初号機の頭部も置かれていたピット入り口に掲げられるエヴァンゲリオンレーシングのエンブレム

 また、チームでは「EVA RACING SUPPORTERS」という個人スポンサーの募集もしている。シルバー(1万2000円)、ゴールド(3万円)、ブラック(5万円)の3コースが用意され、コースによってキャップやTシャツ、ピンバッヂ、チームのレースクィーンコスチュームを着た綾波レイと式波・アスカ・ラングレーのフィギュア、リストウォッチなどの特典が用意される。また、レース日にはインターネットを通じて、レース中の順位やラップタイム、チームコメント、走行ポジションといった情報を配信するサービスが行われるのも興味深い。

 エヴァンゲリオンレーシングとしては初戦となった富士スピードウェイは、ハイスピードコースであり、コーナリングを得意とするエヴァンゲリオンRT初号機aprカローラにとってはあまり得意なコースではないとのことであったが、決勝では9位にランキングし、ポイントを獲得している。続く第4戦セパンや第5戦SUGOはコーナリングの特異なマシンに有利なコースであり、その活躍には期待が持てそうだ。

エヴァンゲリオンレーシングフォトギャラリー

エヴァンゲリオンレーシングのレースクィーン。綾波レイ風の白いコスチュームを着るのは水谷望愛さん。式波・アスカ・ラングレー風の赤いコスチュームは千葉悠凪さん
コスチュームの背中には綾波に“0”、アスカに“2”のナンバリングがされるドライバーのレーシングスーツは碇シンジ風。背中には“1”のナンバリングがされる。写真左が嵯峨宏紀選手、右が松浦孝亮選手だ
キッズウォークではエヴァンゲリオンキャラクターのキーホルダーも配られたアスカ vs. シンジの図

(鈴木賢二)
2010年 5月 6日