日産、新型「マーチ」発表会開催 新型マーチはエコマーチ、コンパクトカーの最高傑作と紹介 |
日産自動車は7月13日、同日に発売したコンパクトカー「マーチ」の発表会を、日産グローバル本社で開催した。
初代マーチ(K10型)が登場した1982年以降、全世界で累計565万台を販売してきたマーチは、今回のモデルチェンジで4代目となる。
「マーチが街にやってきた。」をキャッチコピーとした初代マーチ(K10型) | CVTなど最新のメカニズムを早くから採用した2代目マーチ(K11型) | 日産車で初めてインテリジェントキーを採用するなど、使い勝手のよさと先進のデザインが特徴となる3代目マーチ(K12型) |
新開発の直列3気筒DOHC 1.2リッター「HR12DE」エンジンに副変速機付きのエクストロニックCVTを組み合わせ、さらにアイドリングストップ機構を備えた。エクステリアデザインのコンセプトは「キビキビ×しっかり」とし、重心を低くするとともにリアトレッドを拡大、さらにシル部を外側に張り出したことで踏ん張りが効くプロポーションとしたほか、ボディーサイドにシリンダーが貫通したかのような断面形状としたことで、先代モデルよりもスポーティ感を高めている。また、丸型のヘッドランプ形状やアーチ型のサイドウインドーなど、従来モデルから採用されてきたデザインも踏襲している。
ボディーサイズは3780×1665×1515(2WD)/1525(4WD)mm(全長×全幅×全高)で、先代モデルより55mm長く、5mm広く、10mm低くなったが、ホイールベースと有効室内長は20mm長くなったことで、特に後席の居住性が高まっている。
インテリアは曲線と曲面で構成されたツインバブル形状とし、やさしく守られるような感覚と運転する楽しさを提供することに主眼が置かれた。メーター内のディスプレイにはタイヤの向きやステアリングの切れ角、進行方向を表示する「タイヤアングルインジケーター」を採用したほか、多彩な収納スペースを設ける。
踏ん張り感のあるデザインとしたエクステリア。ルーフ後端をやや跳ね上がる形状とし、後方へ流れる空気を整流することで空気抵抗を抑えることができたと言う。これも燃費向上技術の1つ |
オプションのカーナビは走行中のエコ運転度のリアルタイム表示や運転シーンごとに得点化するエコスコア表示が可能 |
商品企画本部 商品企画室 チーフプロダクトスペシャリスト 石塚正樹氏 |
商品企画本部 商品企画室 チーフプロダクトスペシャリスト 石塚正樹氏は、新型マーチの商品コンセプトは「フレンドリーエコハッチバック」とし、大きなアピールポイントが2つあると紹介。1つは燃費性能で、クラストップの燃費実現のため、エンジン、トランスミッション、プラットフォームすべてを一新したことで、軽量化、コンパクト化、効率化を徹底的に追求し、「新開発のアイドリングストップ機構を搭載したグレードでは、国内のガソリン車でNo.1となる26km/Lを実現した」と紹介。
もう1つのアピールポイントは「マーチらしさ=フレンドリーさ」をさらに進化させた点で、視界のよいガラスエリア、エンジンフードの先端が見やすいことなど、運転のしやすさに磨きをかけたほか、ステアリングの切れ角/進行方向を表示するタイヤアングルインジケーター、エンジンのスタート/ストップにあわせてあいさつを表示するウェルカム表示、誕生日/記念日などを表示するアニバーサリー表示機能が可能なセンターディスプレイ、ドアロックと連動するドアミラーなど、マーチらしい運転をサポートするさまざまな機能を盛り込んだことを述べた。
新型マーチのキャッチフレーズは“エコマーチ” | 広いガラスエリアや車両感覚のつかみやすいデザインが特徴 | 収納を多数用意したと言う |
メーター内のディスプレイは車両情報やステアリングの切れ角/進行方向など、さまざまな表示が可能 | インテリジェントキーで施錠するとドアミラーは連動して格納する |
PV第一製品開発本部 チーフビークルエンジニア(Vプラットフォーム)小林毅氏 |
PV第一製品開発本部 チーフビークルエンジニア(Vプラットフォーム)の小林毅氏は、新型マーチに搭載された燃費技術を紹介。「もっとも大きなインパクトは車両の質量」とし、パワートレーン、車体、シート、サスペンション、ブレーキ、ステアリング、ガソリンタンク、エキゾーストなど、ほとんどのコンポーネントから無駄を省くとともに新設計とすることで車両重量を従来比で80kg軽量化したと述べる。
エンジンはダウンサイジング戦略を採用したHR12DEで、一般的な内燃機関は「熱損失」「ポンプ損失」などにより約80%のエネルギーロスが生まれることから、燃焼室ボアの真円度を向上させるとともに、シリンダーとクランクシャフトの中心をオフセットしたことなどにより、先代モデルに搭載していたエンジンと比べて20%のフリクション低減に成功したと言う。また、熱効率を2%向上させるなど、徹底した効率化を図っているとした。
副変速機付きのエクストロニックCVTは、変速比幅を従来比で20%増の7.3に拡大し、これは7速AT以上の幅だと言う。さらに約10%の小型化、約13%の軽量化、約30%のフリクション低減に成功したことを紹介。
エンジン自体の出力は先代モデルよりやや異なる数値としながらも、「新型エンジンとワイドレシオのCVTとの組み合わせで、常用領域での加速・トルク感はお客様に満足頂けるチューニングができた」と述べるとともに、アイドリングストップ機構は自然なフィーリングに仕上げることができたと言い、これはCVTの副変速機を利用した内部機構や、高出力・長寿命の新型スターター/バッテリーによるものと紹介した。
こうしたさまざまな燃費改善技術を盛り込んだことで、「新型マーチはコンパクトカーの最高傑作と自負している。ぜひ期待していただきたい」とし、その完成度の高さに自信を覗かせた。
エクストロニックCVTは約10%の小型化、約13%の軽量化、約30%のフリクション低減に成功 | ボディー剛性は10%向上し、車両重量は従来比で80kg軽量化した |
志賀俊之COO |
同社の志賀俊之COOは新型マーチについて、国内市場では手頃な価格とエコカー減税や補助金を追い風に、コンパクトカーは堅調に推移していると述べるとともに、「コンパクトカー市場でリーダーになるためには、常にクラスをリードする新しい提案が必須」とした。新型マーチにおける新しい提案とは、新開発のアイドリングストップ機構を筆頭に、新開発の直列3気筒エンジン、新世代エクストロニックCVTを採用したことによるクラストップクラスの26km/Lという低燃費性能であり、「従来からのフレンドリーさをそのままに、さらに低燃費という価値を加えて皆様にお届けしたい」と述べた。
また、環境問題への取り組みとして、CO2を削減するにはエンジン搭載車でも徹底した燃費改善も重要なテーマとし、「次世代環境技術」を搭載してクラストップレベルの低燃費を実現したモデルをエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE(ピュア ドライブ)」と称し、第一弾となる新型マーチ以降、2010年度に随時投入していくことを紹介し、このことから「2010年度は『技術の日産』を改めて強く感じて頂けると考えている」と述べた。
「エレガント」をテーマに内外装をトータルコーディネートしたマーチ「ボレロ」 | 専用フロントバンパーのほかフロントグリルにメッキ加飾をあしらったメッシュデザインを採用する | 専用アルミホイールを装着 |
インテリアは専用シートのほか本革巻き3本スポークステアリングなどを装備する |
(編集部:小林 隆)
2010年 7月 14日