タカタ、横転や転覆を体験できる「ロールオーバーシミュレーター」
パシフィコ横浜で開催している「キッズエンジニア2010」で展示

キッズエンジニア2010のタカタブースで展示されているロールオーバーシミュレーター

2010年7月30日、31日開催
入場料無料



10時の開場前にすでに多くの親子連れで賑わっていた

 タカタは、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい)で開催している「キッズエンジニア2010」(会期:7月30日、31日、開催時間:10時~17時)において、実車を使って横転や転覆を体験できる「ロールオーバーシミュレーター」を展示している。キッズエンジニア2010の入場料は無料。

 キッズエンジニア2010は、自動車分野を中心に科学技術やものづくりに興味を持ってもらうための子供向けの体験型学習イベント。

 タカタはシートベルト、エアバッグ、チャイルドシートなど自動車用安全システムを提供しているメーカーで、キッズエンジニア2010ではロールオーバーシミュレーターを使って、シートベルトのロック機能や正しいシートベルトの着用方法についてレクチャーしている。

ボディーとシミュレーターのフレームは溶接固定される

 シミュレーターに使われる車体は先代マーチ(K12)で、ボディーとシミュレーターのフレームを溶接固定し、電動モーターを使って車体を回転させる。シミュレーターには1回につき4名が乗車することができ、前席のみならず後席でのシートベルトの重要性の理解度を高められる。

 体験時は、インストラクターの指示を受けながらしっかりシートベルトで身体を固定する。そしてドアが閉められると、クルマが徐々に傾きだす。45度の時点で一度しっかりシートベルトで身体が固定されているか確認し、問題なければ90度(横倒し)、さらに180度回転(転覆)する。


ロールオーバーシミュレーターは90度(横倒し)、さらに180度回転(転覆)する
車体を正面から。分度器によって現在の角度を確認できる

 記者もせっかくの機会なので体験させてもらったのだが、45度の時点でクルマがかなり傾いていることが分かる。そして90度になると、手を使ってなんとか踏ん張ろうとするのだがほとんど意味がなく、すでに身体をシートベルトにゆだねている状態となる。そして180度ともなると、もはや何もできない。腰ベルトが切れないことをただただ祈るばかりで、脳に血が上っていくのが明確に分かる。このシミュレーターを体験するまでは横倒し事故や横転事故など意識したことがなく、「なんとなく法律で決められているからシートベルトをしているだけ」だったが、実際にこうした事故に遭った場合、どれだけシートベルトが有効なのかということを理解することができた。以下の動画は、室内から撮影したもの。




ロールオーバーシミュレーターの動作を室内から

 また、このシミュレーターを使った体験会とともに、インストラクターによるシートベルトの正しい装着方法や、横転時の脱出方法のデモを行っていた。

 それによると、まず腰とシートバックの間にすき間ができないよう深く座り、下半身を支える腰ベルトがしっかり腰の上を通るように装着する。また、上半身を支える肩ベルトは首にあたっていると事故の際に負傷する可能性があるので、高さ調整を使って肩の中央を通るようにする。そして最後にベルト全体が身体にしっかり沿うように指で締める。このように装着することで、シートベルトの機能がしっかり働き、万が一の場合でも乗員の安全性を高めてくれるというわけだ。

腰とシートバックの間にすき間ができないように座り、腰ベルトがしっかり腰の上を通るように装着する肩ベルトは首にあたっていると事故の際に負傷する可能性も
高さ調整を使って肩の中央を通るように装着する写真のように指でつまんでシートベルトが緩んでしまわないように装着することを心がける

 横転時の脱出方法については、まずダッシュボードに足を置くとともに両手を天井につける。そしてお尻を脱出する方向(運転席からなら助手席に)に向けながら片手でシートベルトのロックを外し、コロンと転がるように移動する。これで脱出する体勢が整ったわけだが、最後に気をつけたいのはいきなり飛び出さないこと。横転時はクルマが左右逆になっている、あるいは前後が逆になっているケースもあるので、ゆっくり気をつけてドアを開けながら、左右からクルマが来ていないことを確認してから出るようにとのことだった。

 こうした状態になったとき、果たして左右の確認をできるほど冷静でいられるか分からないが、今回のレクチャーを聞いただけでも頭の片隅に情報を蓄積することができた。この話を聞いていなければ、横転時にあわててベルトを外し、首の骨を折っているかもしれない。はたまた脱出するときに飛び出してしまうかもしれない。

 ロールオーバーシミュレーターは子供は無論のこと、同伴する大人も体験することができるので、ぜひ親子で体験してみてはいかがだろうか。30日は多くの来場者が並んでいたため、待ち時間が発生していた。31日に行かれるようなら、早めに行くことをお勧めする。

横転時の脱出方法。ダッシュボードに足を置き、両手を天井につけるお尻を脱出方向に向けてシートベルトのロックを外す
コロンと助手席に脱出できたクルマから脱出する際は左右確認を忘れずに

 なお、8月21日、22日に鈴鹿サーキットで行われるSUPER GT第6戦「第39回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」でも、ロールオーバーシミュレーターが展示される予定。関西圏の方はレースを楽しむとともに安全についても学んでみてはいかがだろう。

そのほかのキッズエンジニア2010での展示車両など

JAF(日本自動車連盟)のブースでは5km/hの衝突時におけるシートベルトの働きを体験できる「シートベルトコンビンサー」を展示している。エアバッグが飛び出したりもする
スバル(富士重工業)ブースでは運転支援システム「EyeSight(アイサイト)Ver.2」を搭載するレガシィが展示されていた。室内および室外に設置されるモニターでEyeSightが人を認識している状況を見学できる
三菱自動車工業のブースには電気自動車「i-MiEV」を展示するほか、電気自動車の仕組みを学べる教室が開かれていた日野自動車のブースでは大型トラクターヘッドの実車が展示されており、乗車することもできる
屋外展示場には横浜市消防局の消防車が展示されていた

(編集部:小林 隆)
2010年 7月 30日