SUPER GTは、8月20日、21日に鈴鹿サーキットで開催された2010 AUTOBACS SUPER GT第6戦「第39回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」で、シーズン8戦のうち6戦までが終了し、いよいよ残り2戦の終盤戦に突入する。

　9月11日、12日に富士スピードウェイで開催される2010 AUTOBACS SUPER GT 第7戦「FUJI GT 300km RACE」では、ウェイトハンデがこれまでの半分となるポイント等倍になり、10月23日、24日にツインリンクもてぎで開催される最終戦では全車ウェイトハンデなしのガチンコバトルになる。

　この第7戦富士では、9月11日の予選終了後に新日本プロレスのシリーズ戦が開催されるほか、富士スピードウェイ内の指定エリアでキャンプを行えるようになっている。また、予選日、決勝日とも映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」を上映し、メインスタンドから楽しめる。

　今回、Car Watch編集部をSUPER GT300クラスにHASEMI SPORT TOMICA Zで参戦中の柳田真孝選手と、新日本プロレスに所属し、IWGPチャンピオンでもある真壁刀義選手がプロモーションのため訪れ、SUPER GT第7戦富士に対する意気込みなどを語ってくれた。

■チャンピオン獲得に向けての天王山になる第7戦
　SUPER GTでは年間を通してウェイトハンデ制を採用しており、開幕戦を別にすれば、獲得したポイント×2kgのウェイトを搭載し、各車の性能を調整することで、より激しいレースを演出する仕組みを採用している。ただし、以前はこのルールが最終戦まで適用されることになっていたため、最終戦の1つ前のレースで、ウェイトハンデを軽くする目的でわざと低い順位でゴールするなどの例があったため、観客に分かりにくいレースも発生していた。

　そこで、現在では最終戦の1つ前のレースでウェイトハンデがポイント×1kgになり、最終戦では全車がウェイトハンデなしになる。つまり50ポイントを獲得していた車は第6戦では100kgのウェイトハンデを搭載したが、第7戦では50kgになるというわけだ。

　ハンデが半分になるために、ポイント上位車の入賞の可能性が、これまでより高くなる。すでに述べたように最終戦では全車がウェイトハンデがなくなるので、この第7戦で上位に入賞しておくことは、チャンピオンの獲得に大きく近づくことになるため、各チームにとって大きな意味がある一戦となっている。

シリーズチャンピオンを狙える位置にある柳田真孝選手。第7戦富士は大切な1戦となりそうだ

■チャンピオンシップを見据えた堅実な走りをしたいと柳田真孝選手
　柳田真孝選手は、2010年シーズンはハセミモータースポーツへ移籍し、3号車 TOMICA Zを走らせている。車種こそ昨年乗っていたMOLA Zと同じだが、チームは今年GT500からGT300へ移ったばかりなのに、第6戦鈴鹿を迎えるまで全戦でポイント獲得など、初年度とは思えないステディな走りを見せていた。

　残念ながら第6戦ではマシントラブルで惜しくもリタイヤになってしまったものの、依然としてランキングトップからは11点差の4位と、チャンピオンを狙える好位置につけている。

　柳田選手によると「鈴鹿では残念ながらリタイヤに終わってしまったが、マシンという道具を使っている以上、たまにはこういうこともある。しかし、すでにチームでは問題を発見して修復済みで、今後もチーム一丸となって問題をつぶして確実なレースを続けていきたい」と、前戦の問題に関してはすでに修正済みなのだと言う。その上で、「富士はストレートが長く、僕らのマシンに向いていないのは事実。しかし、そうした中でも厳しいなりの戦い方があり、シーズンを通して結果が出せるようにしたい」と述べ、チャンピオンシップを見据えて確実にポイントを取っていきたいと意気込みを語ってくれた。

現IWGPチャンピオンシリーズチャンピオン真壁刀義選手。くさりをジャラジャラさせながら、インタビューに答えてくれた

■予選日に新日本プロレス公式戦を開催
　今回、SUPER GT初めての取り組みとしてプロレスの試合が、富士スピードウェイのイベント広場に設置された特設リングで、予選日（土曜）の16時30分から行われる。

　「Circuit2010 G1 CLIMAX SPECIAL」と名付けられたこのイベントは、日本を代表するプロレス団体の1つである新日本プロレスの公式戦で、新日本プロレスに所属するレスラー30名が迫力ある真剣勝負を繰り広げていく。公式戦だけに、6試合が予定されているほか、SUPER GT開催中の試合とあって、GTドライバー同士が戦うことはさすがにないだろが、サプライズイベントも計画中とのことだ。

　新日本プロレス所属のレスラーを代表するのが、現IWGPヘビー級チャンピオンの真壁刀義選手だ。真壁選手は「プロレスというのは単に戦うだけじゃなく、仲間と協力したり、逆に裏切ったりと、人生の縮図。モータースポーツも1つの優勝を勝ち取るために多くの仲間が協力して切磋琢磨するという意味で同じものだと感じた」と語り、戦う方法こそ違うものの、共通点は多いと話してくれた。

　真壁選手が「プロレスでは戦い方にもいろいろある。例えばベルトがかかっていない試合だと、負けてもいいやと心が折れてしまう選手もいるが、それはよくない負け方。常にお客様の目を意識して戦うことが大事だ」と述べると、柳田選手も「モータースポーツでもそういう面はあると思います。同じ抜かれる時でも、どのように抜かれるかが大事」と言い、2人とも人から注目を浴びる人気商売の難しさという点で一致している部分があったようだ。インタビューの最後には、モータースポーツ界代表の柳田選手とプロレス界代表の真壁選手ががっちり握手し、レースでのロードコース、そしてリングでのそれぞれの戦いにエールを送り合っていた。

　この公式戦をリングサイド席で観戦するには、新日本プロレスの発行する観戦チケット（SUPER GT2日間の観戦券を兼ねる）を購入する必要があり、詳細については新日本プロレスのチケットページを参照してほしい。なお、立ち見席であれば、富士スピードウェイから発行されている通常のSUPER GT観戦チケットがあればOKだ。

真壁選手が持つIWGPチャンピオンベルト。伝統のチャンピオンベルトだけに、ずっしりと重たい	チャンピオンベルトには、歴代のIWGPチャンピオン名が刻まれている。アントニオ猪木選手や、長州力選手の名前が読み取れる	現チャンピオンの名前は中央部に