SUPER GT参戦ドライバー、静岡県小山町の復興支援イベントを開催
六本木、横浜両会場をリポート

2010年9月12日開催



 SUPER GTに参戦するドライバーらは9月12日、F1 PIT STOP CAFE(東京都港区六本木)と日産グローバル本社ギャラリー(神奈川県横浜市西区高島)で、富士スピードウェイのある静岡県小山町の復興支援を目的としたチャリティイベントを開催した。

F1 PIT STOP CAFE六本木店に集った20名のドライバー

#SAVEOYAMA SUPER GT Drivers AID
 本来であれば、この日は「2010 AUTOBACS SUPER GT 第7戦 FUJI GT 300km RACE」が富士スピードウェイで開催される予定だった。しかし、台風9号による影響で富士スピードウェイ周辺の道路が陥没するなど、想像以上の被害があったことからSUPER GTを主催するGTアソシエイションはレースを中止した。

 そこで、小山町を助けたいとの気持ちからSUPER GTのRACING PROJECT BANDOHチームでドライバーを務める片岡龍也選手が中心となって、SUPER GTドライバーらによるチャリティイベント「#SAVEOYAMA SUPER GT Drivers AID」を開催することとなった。

 しかし、GTアソシエイションからSUPER GT第7戦富士の中止が発表されたのは9月9日。そこからイベントの内容を考えるとともに、ドライバーやメーカーへの協力要請など、たった2日間で準備を進めなければならなかったのは、さぞかし大変だったに違いない。

 今回のイベントへの参加呼びかけは、SUPER GTの公式サイトやF1 PIT STOP CAFEのイベント情報ページ、各ドライバーらのブログ、Twitter(ツイッター)などを通じて行われ、イベント2日前の呼びかけだったにも関わらず、約600人もの来場者がF1 PIT STOP CAFE六本木店に訪れた。

 この日、F1 PIT STOP CAFEに登場したドライバーは、脇坂寿一選手、伊藤大輔選手、井出有治選手、塚越広大選手、小暮卓史選手、道上龍選手、中山友貴選手、石浦宏明選手、大嶋和也選手、立川祐路選手、伊沢拓也選手、山本尚貴選手、谷口信輝選手、折目遼選手、織戸学選手、片岡龍也選手、土屋武士選手、松浦孝亮選手、服部尚貴選手、井口卓人選手。メーカー、チームの枠を越えて20名のドライバーが参加した。

会場には約600人もの来場者が集まったイベント名の入った看板も突貫工事で作られたイベント開始と同時にドライバーが勢揃い

発起人の片岡選手

 イベントの冒頭で、発起人の片岡選手は「小山町では橋が流されるなどの被害があり、東京にいたら被害の大きさが分からなかった。住民の方には早く普段の生活に戻って欲しいと思う」と述べ、小山町の被害の深刻さと一刻も早い復興を願っていることを来場者に伝えていた。

 この日行われたイベントは、入場時に手渡しされた抽選券をもとにドライバーの私物などが当たるプレゼント抽選会、協賛メーカーの商品が多数詰め込まれた福袋販売、JRPA(日本レース写真家協会)所属のカメラマンによる記念撮影会などのほか、ドライバーが募金箱を直接持って会場内を周回するなど、終始和やかな雰囲気のなかで行われた。

 また、イベントの途中に日産グローバル本社ギャラリーと動画共有サービス「USTREAM」を使ったライブ中継も行われ、脇坂選手や松浦選手、石浦選手らが安田裕信選手をイジる一幕(というか終始?)によって、両会場に一体感が生まれていた。

 イベントの最後に、片岡選手は「こんなに多くの方が来てくれるとは思わなかった。後輩の声かけに応じてくれた先輩方、メーカー、ドライバー、暑いなか集まってくれた皆さんに感謝している」と謝辞を述べるとともに、山本尚貴選手が小山町の復興と発展を願う1本締めを行いイベントは終了した。

 この会場で集まった義援金は118万2405円。全額GTアソシエイションを通じて小山町に贈られる予定だ。

選手らは募金箱を直接持って会場内を練り歩いていた(写真は伊藤大輔選手)片岡選手はレーシングスーツをプレゼントJRPAのカメラマンによる記念撮影会も(カメラはポラロイド)
USTREAMを使って日産会場とのライブ中継も実施され、両会場に一体感が生まれていた
会場にはスペシャルゲストとして土屋圭一氏(左)、ピストン西沢氏(中)、いとうまい子さん(右)が登場
イベント終盤に松浦選手が発起人である片岡選手を称えて肩車イベントの司会・進行を務めた4名。写真右からピエール北川氏、今井優杏さん、竹澤友美さん、一戸恵梨子さん義援金は118万2405円集まったと言う

 

メインステージに監督とドライバーが勢揃いした

横浜には1000人が来場
 日産本社グローバルギャラリーでのイベントは、NISMOを中心とする日産系チームのメンバーによって企画されたもの。同日はグローバルギャラリーでもPIT STOP CAFE同様に、第7戦のパブリック・ビューイングが予定されていたので、その代替イベントとして開催された形だ。

 イベントが行われたのは、グローバルギャラリー中央のメインステージ。観客はこの前で観るわけだが、当日は朝から場所取りの行列ができ、のべ1000人が訪れたと言う。ステージ前は開幕前から新聞紙などを敷いてじっくりと観ようという人に埋め尽くされ、その様子を近藤真彦監督が「運動会みたい」と表現した。

 ステージには日産系チームを統括する柿本邦彦総監督はじめ5人の監督と、10人のドライバーが登場。監督、GT500ドライバー、GT300ドライバーに分かれてのトークショーのほか、サイン会、チャリティーオークションが行われた。

 チャリティーオークションには監督、ドライバーから、非売品のチームウェアや、優勝時に使用したヘルメットバイザー、キャップ、はてはシャンパンの空き瓶まで、レアなグッズが出品された。入札は投票形式で行われ、すべての品が落札された。

 このほか会場には募金箱が置かれ、募金すると第7戦の“幻のパンフレット”が渡された。800部のパンフレットは1時間ほどで無くなる人気ぶりだった。

 オークションの売り上げと募金はすべて、GTアソシエイションから小山町に寄付されるが、この日は141万6886円が集まった。

開幕直前のメインステージ前。まさに運動会の観客席だが、2階にもたくさんの見物客が。さらにこの後立ち見客が増えた会場に置かれた募金箱。金額を問わず、募金すると第7戦のパンフレットがもらえた募金箱を持って会場を歩く安田裕信選手
オークションに出品されたレアグッズの数々。チームウェアは非売品のもの。金額を書いた用紙を投票する形式で入札したグッズも販売
ドライバーや監督が場内を歩くと、すぐに人だかりが。サインをもらったり記念撮影したりするチャンスもあった
監督のトークショー。「マッチは芸能界よりレースのほうが向いていると思う」という星野監督だが、「代わりに俺がジャニーズに入るよ」発言にはさすがにマッチも「入って何をするんですか?」。柿本総監督は常に「話が長すぎ」と諫められ続けたGT300ドライバーのトークショー。「イイ男選手権」の遺恨トークが繰り広げられた
GT500ドライバーのトークショー。松田選手だけレーシングスーツを脱いでいないのは、違うスポンサーのTシャツを下に着てしまったから。安田選手はオリベイラ選手の通訳を強要され、見事な迷通訳ぶりを発揮GT-R3台の選手権順位予想。全員、自チームを3位に入れたのは謙虚さゆえなのか、ファンのあずかり知らぬ複雑な事情があるのか
サイン会はGT500ドライバー、GT300ドライバー、監督の3カ所に分かれて開催。すべてに長い列ができた
USTREAMで六本木と会話……しかし映像が届くまでのタイムラグが大きく、会話にはならず
4月にNISMOの社長になった宮谷正一氏が登場オークションの結果発表の間、ステージ上のエルグランドで遊ぶドライバー達最後は柿本総監督の音頭で、三三七拍子ならぬ「ゴーゴー日産」コールで締めた

(編集部:田中真一郎/編集部:小林 隆)
2010年 9月 14日