首都高、埼玉与野JCTに与野利便増進施設をオープン

与野利便増進施設

2010年9月18日オープン



場内に設置された与野利便増進施設内マップ。さいたまハウジングパークを駐車場が取り囲むようなレイアウトになっている

 首都高速道路は9月18日、埼玉大宮線与野JCT(ジャンクション)に与野利便増進施設をオープンし、オープニングセレモニーを開催した。

 同施設はJCTの建設予定地にあるため、施設への入場は一般道から行うこととなり、大型の駐車場、休憩施設やトイレ、コンビニエンスストアと地域特産物などの販売コーナー、イベントスペースが設置される。イベントスペースには当初は住宅展示場として「さいたまハウジングパーク」が設営されていた。

 首都高速与野JCTは、埼玉大宮線と埼玉新都心線の分岐部にあるものの、埼玉大宮線が与野までしかないため、建設予定地だけが確保された状態となっている。そうした状況の中、埼玉大宮線には休憩施設が存在しないため、高速道路利用者からトイレなどの休憩施設がないことについて苦情が来たこともあると言う。

 また、地方自治体であり、埼玉大宮線の道路管理者でもあるさいたま市からは、現地が人気の少ない土地であり、防犯、防犯上の観点からも適切に管理すること、また近隣の住民の利用の憩いの場として、緑地帯、無料休憩所、会議室の活用などへの配慮が求められていたと言い、そうした経緯から、高速道路利用者の一時休憩、疲労回復、食事および、高速道路情報の取得などの要望、ニーズに応え、今回の与野利便増進施設が設置された。

 利便増進施設は、ハウジングパークのあるイベントスペースの周辺を駐車場が取り囲むようなレイアウト。駐車場は、身体障害者対応駐車施設などを含む普通車238台、大型車5台が用意されており、敷地北端には近くに喫煙スペースも設けたエアコン完備のトイレ棟と、地元の物産などを発売する小型の首都高イベントブースが用意される。また、南端にはコンビニエンスストアとしてローソンがあるほか、住宅展示場の案内や首都高速道路の状況が閲覧可能で、トイレや会議室なども備えたインフォメーションセンターが用意される。


同日オープンした、敷地内北端に位置するコンビニエンスストアのローソンこちらは南端にある首都高イベントブース。地元の特産品などが販売される

 ハウジングパーク内には、噴水や木などを通常の住宅展示場より多く配置、中央広場などイベントスペースも用意した。また、場内には風力発電や太陽光発電を利用した時計塔のほか、LED照明などを使って環境対応を行っているほか、24時間利用できるということもあり、警備員を配置し、場内はカメラを使った監視なども行われる。

ハウジングパークの案内も兼ねるインフォメーションセンター。1階にはトイレ、2階には地元自治体が使用できる会議室が設けられているこちらは南端にあるトイレ。室内にはエアコンも完備される
首都高イベントブース裏にある塩化カルシウムの貯蔵施設。凍結防止剤として使用する。散布車両なども置かれていたローソン駐車場側から見たイベントスペース。看板ではここが首都高の施設とは分からないさまざまな住宅が建ち並ぶ、ハウジングパーク
場内には噴水や芝生、ベンチなども多く設置される
場内に設置されたLED照明(上)と監視カメラ(下)。24時間体制で警備員が常駐する風力発電と太陽光発電を組み合わせた時計オープン日にはバルーンアーティストが登場。子供が怯えて泣いてしまうワンシーンも

現状では、首都高から直接利用できない利便増進施設
 ただし、この施設は首都高から直接入れる構造にはなっておらず、一般道路に隣接した立地になる。施設の外観は「さいたまハウジングパーク」の看板が目立ち、場内に入っても案内看板などで首都高速道路サービスなどの名前があるだけで、この施設が首都高の施設と分かる人は少ないだろう。

 首都高の渋滞情報を示すインフォメーションセンターも、住宅展示場のインフォメーションセンターにしか見えず、高速道路利用者が使いやすいとは言い難い。今後は、施設事態に首都高関連の設備であることをアピールするための案内板などの表示が課題になりそうだ。

 なお、この与野利便増進施設はスマートPA計画に参加しており、将来的には、一度高速を降りて与野利便増進施設を利用して、ふたたび高速道路に乗る場合でも、二重に課金されることはないようになると言う。

オープニングセレモニーを開催
 オープン日となる9月18日には、オープニングセレモニーが開催され、首都高高速サービスの野口秀昭代表取締役社長や、住宅生産振興団の高橋進会長が主催者として挨拶を行った。

首都高速サービス 野口秀昭代表取締役社長住宅生産振興団 高橋進会長

 首都高速サービスの野口秀昭代表取締役社長は、「この施設が首都高速の埼玉与野JCTの道路建設予定地であり、道路建設が始まるまで、この予定地をいかに有効利用するかを考え、首都高速や周辺道路を利用者や、地域住民の憩いの場として利用されることを目的として整備した。その構想については、平成17年(2005年)の首都高速道路公団の民営化直前から計画されており、以来5年間進めてきたもの。施設内には、インフォメーションセンターや、無料休憩施設、無料駐車場、トイレ、コンビニエンス施設、大部分を占めているイベントスペースにはさいたまハウジングパークを整備してきた。あわせて、この施設から高速道路の情報や、地元埼玉の地域情報を発信したい」と述べた。

 また、埼玉大宮線にはPAがなく、与野ICに出入りする方の休憩、憩いの場としてぜひ利用してほしいとし、「今日のオープンはスタートラインであり、今日からこの施設の本番。ドライバーや地元の皆様にかわいがっていただき、多くの人が集う活気あふれる施設を運営していくのが我々の使命である」(野口氏)と締めくくった。

 企画運営を行う住宅生産振興団の高橋進会長は、「住宅生産振興財団は良好な住まいと街並みの普及を推進することを目的に、昭和54年(1979年)に設立された財団法人。総合住宅展示場の企画運営については、昭和56年以来11カ所に携わり、現在千葉県内で幕張ハウジングパーク、茨城県内でつくばハウジングパークの2カ所で行っている。今回、通算12カ所目、実施中のものとしては3カ所目としてさいたまハウジングパークの企画運営に携わる。このさいたまハウジングパークでも、長期優良住宅が並ぶ街並みや、次世代に受け継ぐエコ住宅の提案をコンセプトに、環境や景観に配慮した住宅や良好な街並みを形成するように、植栽などさまざま工夫をこらして計画、整備してきた。今後の運営に主催者である首都高速サービスと十分な連携を図り、出典されるみなさまのご意向を伺いながら、消費者の方々がこの展示場に足を運び、さまざまな住まいや住宅情報に接していただけるよう、がんばっていきたい」と語った。

 その後、来賓として、さいたま市長代理のさいたま市建設局長の松沢雅巳氏、さいたまハウジングパークにも出品している積水ハウスの取締役常務執行役員本部長内田隆氏、首都高速道路の橋本圭一郎代表取締役会長兼社長などが祝辞を述べた。最後に、埼玉県立大宮光陵高校吹奏楽部による演奏が行われ、オープニングセレモニーは幕を閉じた。

さいたま市長代理 さいたま市建設局長の松沢雅巳氏積水ハウス 取締役常務執行役員本部長 内田隆氏首都高速道路 橋本圭一郎代表取締役会長兼社長
祝辞の後は主催者と来賓によるテープカットが行われた最後は音楽科も併設した埼玉県立大宮光陵高校吹奏楽部による演奏が行われた

(平 雅彦(WINDY Co.))
2010年 9月 21日