「フォルクスワーゲン ポロTSI」長期レビュー
第4回:涼しくなって燃費が絶賛改善中


秋の夜長にナイトドライブ。ライト点灯による燃費の影響は感じられない

 ポロがやってきて3カ月がたった。大きなトラブルなく順調そのもの。最大の懸案だった燃費だが、エアコンを使わない季節になったことと、走り方に気をつけたことで、大きく改善しはじめている。

ポジションライトは内側のハイビームの根元にあるヘッドライトは外側が点灯。ハロゲンでも十分な光量があり不満はなし特徴的なテールライト。このテールを見たらポロと思え

涼しくなって燃費は改善傾向
 この1カ月、燃費の改善傾向が著しい。9月は100kmを超えるような遠出もしなかったのだが、燃費は大きく改善している。

給油日走行距離(km)給油量(L)燃費(km/L)
2010/8/2147139.811.83
2010/9/936634.710.54
2010/10/1151735.314.64

 燃費がよかったのと、あまり乗っていないこともあってこの1カ月間で1回しか給油していない。35Lの給油だったから、まだまだ走れる感じだったのだが、満タン法の燃費を算出するために給油した。

 振り返れば、改善した理由の1番はあまりエアコンを使わなかったこと。2番めは走る時間帯や経路を注意したこと。エアコンを使わないことにより、信号待ち中のガソリン消費を抑え、走行経路を工夫することで信号待ちや渋滞といった無駄なガソリンを消費する場面を少なくした結果だろう。

 エアコンは、9月に入って涼しくなったことで、使用頻度が激減した。8月は記録的な猛暑だったせいか暑さに慣れ、少し涼しくなるだけでもエアコンなしで十分乗れるようになった。

 アイドリング時のエンジンの回転数は、エアコンの有無で150rpmほどしか変わらない。それでも、エアコンOFFのアイドリングは非常に静かで負荷がない約600rpmだが、エアコンのコンプレッサーONのときは少し負荷がかかって一生懸命回っている約750rpmといった感じで、回転数の差以上に燃料消費に差があるようだ。

 また、エアコンのコンプレッサーの負荷がないことにより、惰性での走行距離が伸びている。前方に赤信号が見えたとき、アクセルから足を離してもほとんど速度低下なく進んでいく。エアコン有りなら少し踏み足す必要が多く、この差も燃費に響いてくるのだろう。

 一方、走行経路の工夫は、事前に渋滞情報をよく確認して走行経路を最適化した。家のPCでリアルタイムなVICS情報を確認できるNAVITIMEを使うことで、出発前から空いた道を選べるようになったことも大きい。本当に混んだ場所なら“行かない”という選択もあった。もっとも、これはポロとは直接関係のない燃費改善法ではあるが。

燃費計の値は満タン法とほぼ同じ。今回はプラス方向の誤差だがマイナス方向ということもあるエアコンOFFのときのアイドリング。約600rpmで車内にいるとかなり静かだエアコンONのときには約750rpmに上がる。エンジン音はだいぶ変わる印象だ
ガソリンキャップに4方向の切り欠きがある給油時は切り欠きでフューエルリッドに引っ掛ける。外側に傷がつかないか心配だが、今のところ大丈夫そうだ

高速燃費は悪いのか?
 燃費については、もっと検証を重ねなければならないが、ポロは高速道路を走っても燃費の伸びはそれほどでもない。

 一般的に高速道路を巡行した場合の燃費は、発進や停車がないので良好な値を出しがちだが、TSIエンジンのポロに限って言えば、100km/h走行時よりも80km/h、さらに60km/hのほうが瞬間燃費でよい値を示すことが多い印象だ。

 これは、7速に入って低い回転数でエンジンを回していることと合致する。7速に入る最低速度が60km/hほどなので、まさにそこが低燃費の頂点。回転を上げればすぐにターボが効き、100km/hなら過給中で、アクセルを踏めば燃費悪化が顕著になってくるという点もそのまま現れている。

 実際の瞬間燃費の値では、100km/hの道路を巡行すると20~25km/Lだが、郊外のバイパス道を60km/hで走ったり80km/hの有料道路だと25~30km/L程度。坂道の有無もあって条件は一緒でないが、区間燃費でも高速道路で行った場合と、渋滞がない一般道で戻ってきた場合の比較では、一般道のほうが若干燃費がよいこともあった。

 また、高速道路では上り坂があったとしても速度を一定にするのがマナーだが、一般道なら信号もあるので速度には波があり、上り坂の減速も許容されることが多い。こういった条件の違いも高速道路の燃費があまり伸びない原因だろう。エコカーは登坂車線を使えという意見もあるが、燃費を改善するには周囲の迷惑にならない範囲で低速車線の活用もありかもしれない。

GTIの足まわりが欲しい ~GTIとTSIコンフォートラインの差
 9月末にポロGTIがデビューした。GTIにも乗ってみたのでTSIとの比較をしてみたい。GTIの特徴といえばツインチャージャーの1.4リッターエンジンによる高出力だが、個人的にはエンジンよりもGTIの足まわりが非常に気に入った点だ。

 前回指摘した、左右の後輪に別々の凸凹が加わった場合の挙動の乱れだが、GTIでは皆無になっているように感じた。カーブの荒れた路面でもリアの接地感は別物で、どんな速度でも不安になることが全くなかった。フロントも含めて全体的に足まわりは固く、走りだした瞬間にその差が分かる程だが、リアに限っていえば不快感は全くなく、全体的な接地感の向上によってフロントの固さも気にならないほどだ。

 足まわりだけならGTI用のコイルやダンパーを組んでしまえば近づくかもしれないが、電子制御デフロック「XDS」の効果もあるので、GTIの足まわりを実現するなら、クルマごとGTIに交換したほうが近道かもしれない。

 GTIの最大の特徴でもあるエンジンは、全体的にトルク感がアップして乗りやすくなっている半面、エンジン音が少し派手になる。走り始めから控えめだがブルブルと重いエンジン音を響かせるため、とにかく静かなTSIに比べると身軽なクルマという印象は失われる。

 また、GTIはインパネ内のディスプレイがドットマトリクス表示に変わっている。TSIでは半ドア警告灯はあるものの、どのドアが半ドアなのか分からないが、GTIはどのドアなのか図示される。ほかにも水温計と燃料計のアナログメーターが付いている。

 なお、前々回に「温度表示が常時表示ではない」と書いたが、これは「独立した外気温表示がない」ということで、メーターパネル中央のディスプレイの表示を外気温に切り替えておけば、常時表示させられる。混乱を招いたことをお詫びする。

 これはGTIでも同じで、これから寒くなる季節、できれば燃費表示などとは別に、独立した表示しっぱなしの外気温度計があるとありがたい。

デビューしたGTIパワーアップした1.4リッターエンジン。下からトルク感がモリモリブレーキもホイールもショックもコイルも違うGTIの足まわり
チェック柄のシートもなかなかよいGTIはスペアタイヤの下にバッテリーがあるため、収納場所スペースが減ってしまうライン装着のHDDナビ「RNS510」。バックカメラはないが障害物の位置がわかる表示のバックソナーが便利そうで欲しい
GTIのHIDと白色LEDのポジションランプ。できればこれに交換したい赤いGTIだとうちのポロとあまり見た目が変わらない。ホイールとグリルを変えれば“GTIルック”に変身できるかもTSIの半ドア警告。針の下でわかりにくいが、左側のドアが開いているという警告にも見えるが、実はどのドアが開いてもこの表示。GTIならどのドアか図示される

3カ月を過ぎるが、まだまだピカピカ
 納車から3カ月を過ぎるが、外装のメンテナンスといえば基本的に水洗いのみ。ソリッドペイントゆえに色あせが気になるところだが、まだ3カ月ということもあり、特に変化は見られない。まだ表面も艶を維持しており、汚れも水をかければすぐに落ちる。

 塗装の仕上がり状態もまあまあで、ゆず肌となるような場所もない。ただ、気のせいかもしれないが、2ランクほど高級なクルマとは表面の艶が何か違うようで、ベーシックカーなりの仕上がりなのかもしれない。もっとも、一切のコーティングなどをしていないので、腕のよい磨き職人の手を借りれば、高級車並みの瑞々しい艶に変化するかもしれない。

 ポロの外装メンテナンスはやりやすいほうで、サイドモールがないので洗いやすくワックスをかける際も簡単。サイドシルは別パーツでなくボディ一体なので、汚れがたまる場所も少ない。洗う際に面倒な所はフロントグリルとバンパー側のグリル風のハニカム模様。黒樹脂の無塗装部分は劣化しやすいため、模様がないほうがよかった。

 メンテナンスが面倒な個所では、ワイパーもある。ワイパーをそのまま持ち上げるとボンネット側に傷がつく。ワイパーを上げる場合はエンジンを切ってすぐにワイパーレバーを下に下げてワイパーをメンテナンス位置に移動させる必要がある。ちょっと面倒であると同時に、ガソリンスタンドなどで傷を付けられないか心配な部分でもある。

 ホイールはスチール+キャップだが、開口部が少ないせいかブレーキダストがほとんど目立たない。ドイツ車は鉄粉汚れでホイールが真っ黒になっているクルマをよく見るが、スチールホイールのポロなら、放っておいても汚れは目立たないと思われる。

 メンテナンスの話はここまでだが、最近、傷をつけてしまったところがある。それはバンパー下にある突起である。空力的にも必要な突起なのだろうが、オーバーハングが長い上に出っ張ってるため、下り坂から平面になる瞬間で地面をこするのだ。

 近所の大手スーパーの駐車場では、道路に出る最後のところを少し勢いを付けて通過すると擦る。また、少し離れたショッピングセンターの立体駐車場では、階を移動する螺旋へ合流するところで擦ることがある。

 まだ大きなダメージになっていないが、もう少し角度が急な場所ではバンパー全体にダメージがないとも限らない。今後、フロントのショックが柔らかくなってくれば、もっと擦りやすくなるかもれない。運転上の留意点である。

撥水性もまだまだあるボンネットワイパーはボンネットに隠れており、持ち上げるとボンネットに当たるキーをOFFにした後、ワイパーレバーを一瞬下げるとこの位置まで移動する。これでやっとワイパーを上げることができる
まだまだきれいなホイールキャップ。タイヤも水洗いはしても自分ではタイヤワックスはかけていないホイールキャップを外した状態のホイール。シルバーに塗ってしまって鉄っちんホイールを楽しみたいと思ったが、このホイールデザインはちょっといただけないリアウインドーのウォッシャーは、なぜか洗浄液が漏れるようで、使った記憶がないのに垂れた跡がついている
フロントバンパーの下に突起があり、よく当たる空力にも関係しそうだが、下端は擦った跡がいくつかある

CAR NAVITIMEは金具を自作して設置
 前回、CAR NAVITIMEを導入したが、吸盤取り付けでは視界を遮るので、固定金具を自作して設置場所を変更した。オーディオ取り付けスペースの上下を入れ替え、小物入れにアルミ板を固定、CAR NAVITIMEのクレードルをガッチリと固定できるようにした。

 2DINスペースのすぐ上にハザードスイッチなどがあるため、ボタンが隠れてしまうが、上から押せば操作可能。できれば固定金具を作り直し、もう少し位置を下にしたいところだが、あまり下げると下のCDプレーヤーのCDの出し入れに影響が出る。

 GPSは、この位置に設置しても受信していたが、思い切ってCAR NAVITIME推奨のGPSアンテナを装着してみた。その結果、電源ONからGPS捕捉開始までの時間が少し短くなり、自車位置のロストも若干少なくなったように思える。

 ここ最近、CAR NAVITIMEのライバルとなるような通信ナビやスマートフォンのカーナビが一気に登場してきたが、CAR NAVITIMEは普段使いのできるナビタイムとデータ共有ができて便利。ナビとしての性能に至らない点もあるが、渋滞回避、低燃費化へも活用しているので、しばらくはポロと一緒に使っていこうと思う。

オーディオの上に設置したCAR NAVITIMEアルミ板でクレードルを固定できる金具を自作した。ケーブルは電源と外部GPSアンテナ。電源はACC連動で5Vが出力されるようにしたクレードルをハメ込んだところ。GPSアンテナは本体に直接接続する
取り付けた状態。GPSアンテナコネクターの後ろがECSのスイッチに当たりそうだが、なんとか逃がした外部GPSアンテナはダッシュボードの前方に設置した

(正田拓也)
2010年 10月 18日