日産、燃費19.0km/Lの「フーガ ハイブリッド」
1モーター2クラッチのパラレルハイブリッド搭載

フーガ ハイブリッド

2010年11月2日発売
フーガ ハイブリッド:577万5000円
フーガ ハイブリッド VIPパッケージ:630万円



 日産自動車は、フラッグシップセダン「フーガ」に、ハイブリッドシステムを搭載した「フーガ ハイブリッド」を追加し、11月2日に発売する。価格は、フーガ ハイブリッドが577万5000円、後席パワーリクライニングシートやリアサンシェードなど専用装備を採用したフーガ ハイブリッド VIPパッケージが630万円。ハイブリッド車のため、エコカー減税(環境対応車普及促進税制)対象車となり、自動車取得税と自動車重量税が免税(100%減税)となる。

フーガ ハイブリッド

 フーガ ハイブリッドは、2009年の「東京モーターショー」で参考出品されるなど、その発売がかねてから予告されていたモデル。駆動用と回生用を兼ねる1つのモーターと、エンジン・トランスミッションを2つのクラッチで接続する1モーター2クラッチのパラレルハイブリッドシステム「PURE DRIVE HYBRID(ピュア ドライブ ハイブリッド)」を搭載。モーターのみによる走行を行えるため、車両接近通報装置を装備する。

 フーガ ハイブリッドでは、最高出力225kW(306PS)6800rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/5000rpmのV型6気筒 DOHC 3.5リッターガソリンエンジンと、最高出力50kW(68PS)、最大トルク270Nm(27.5kgm)の交流同期式電動モーターを搭載。バッテリーにはリチウムイオン電池を用いる。

 このピュア ドライブ ハイブリッドは、車体前方からエンジン、クラッチ1、モーター、7速ギヤ、クラッチ2と配置され、2つのクラッチを制御することで、エンジンとモーターの動力を後輪へと伝える。これにより、停車・発進時はモーターのみで、一般道のクルージングはエンジンとモーターを効率よく使い、登坂・フル加速時はモーターアシストを行なう。モーターによるアシスト走行は、140km/hの高速域まで行われる。これらの制御により、10・15モード燃費で、19.0km/L(最高出力245kW[333PS]を発生するV型6気筒 DOHCエンジン搭載の370GTは10.0km/L)を実現する。

 搭載されるモーターは、クラッチ断続やエンジン始動・停止時のショックを吸収する役目も負っており、クラッチを採用することでパワートレーンのダイレクトなレスポンスを高めつつ、リニアな過減速を両立している。これは、モーターの高速な制御と、やはり高速に充放電ができかつ高出力なリチウムイオンバッテリーによって実現できたとしている。

フーガ ハイブリッドが搭載するピュア ドライブ ハイブリッドシステム。エンジンと2つのクラッチ、7速ギヤが一体となって動作するモーター部リチウムイオンバッテリーを使用。345V、96セルを後輪車軸上に搭載する
セダンとして大切なトランクルームは、9インチゴルフバッグ4個、または特Aサイズのトランク2個を収納できるサイズを確保している停車・発進時のパワーフロー。クラッチ2が接続され、モーターのみで走行
登坂・フル加速時のパワーフロー。クラッチ1と2を接続、エンジンの駆動力をモーターがアシスト高速クルージング時のパワーフロー。クラッチ1と2を接続、エンジンの効率のよい部分を使用し、同時にモーターで発電。アクセルOFFで高速域までモーター走行ができる減速時のパワーフロー。クラッチ2を接続。減速制動時の運動エネルギーを、電気エネルギーに変換し充電を行う

 エクステリアについては、大きな変更はないものの、ボディーカラーに新色のエターナルスノーホワイトを追加し、全7色を設定。前後とも245/50 R18のタイヤに、ハイブリッド専用にデザインされたクロームカラーコート18インチアルミホイールが組み合わされるほか、「HYBRID」エンブレムと、「PURE DRIVE」エンブレムをリアに装備する。

新色のエターナルスノーホワイトクリスタルホワイトパールブリリアントシルバー
スーパーブラックブレードシルバーディープブロンズ
ガーネットブラックリアには「HYBRID」エンブレムを装着

 インテリアでは、メーターパネルがフーガ ハイブリッド専用のものになり、バッテリーの使用状態を示すアシスト/チャージゲージが加わるほか、モーターのみの走行を示すEVランプを追加。スピードメーターとタコメーター間に位置するマルチインフォメーションディスプレイには、現在のエネルギーフローを示すエネルギーモニターや、モーターのみでの走行距離を示すEVオド/トリップメーター表示が加わった。

 また、カーナビ画面では、エネルギーフロー、瞬間燃費、地図の同時表示が可能で、これは世界初だと言う。

 そのほか、吹き出し風量をランダムに制御することで自然なそよ風を再現し、湿度制御などの機能を持つ「フォレストエアコン」、エンジンの回転数に同調して発生する不快なこもり音を低減する「アクティブ・ノイズ・コントロール」など、現行フーガで搭載された快適な空間を実現する機能も搭載。とくに、モーター走行時は、現行フーガよりも静かな室内空間となっている。

フーガ ハイブリッドのインテリア。ハイブリッド関連の表示が追加されているタコメーター左下にアシスト/チャージゲージを装備カーナビ画面では、エネルギーフロー、瞬間燃費、地図の同時表示を実現
エネルギーモニターのみの画面にもできる燃費・充電履歴画面世界初搭載の高速道路逆走警告。GPS、地図、車速などを元にして判断
内装色ブラウン、セミアリニン本革のインテリア内装色ブラック、本革/ファブリック内装色ベージュ、本革/ファブリック
ドライブモードセレクターも搭載。ECOやSPORTのほか、SNOWを選択でき、パワートレイン、4WAS(4 Wheel Active Steering:4輪アクティブ操舵)、コーナリングスタビリティアシストなどの制御を切り替えるバックビューモニターはステアリング連動タイプ。ステアリングの操舵角に応じて、ガイドラインが変化する
左側のサイドミラー下部にはサイドブラインドモニターを装備

 銀粉本木目フィニッシャー(インストルメントパネル、センタークラスター、センターコンソール、ドアトリム)やセミアリニン本革シートなどを組み合わせたプレミアムインテリアパッケージのメーカーオプションも用意される。

メーカーオプションの銀粉本木目フィニッシャーなどがセットとなったプレミアムインテリアパッケージ同じくメーカーオプションのBOSEサラウンド・サウンドシステム。16スピーカー、14パワーアンプシステムにより、5.1chのサラウンド空間を実現

 フーガ ハイブリッドのボディーサイズは、4945×1845×1500mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2900mm。これは、370GTと同様のサイズになる。

(編集部:谷川 潔)
2010年 10月 26日