2010-2011日本カー・オブ・ザ・イヤー最終選考会リポート
ポロとの一騎打ちを制したのはCR-Z

2010-2011日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝きトロフィーを掲げる本田技研工業 CR-Z開発責任者の友部了夫氏

2010年11月9日開催



今年は早稲田大学 大隈記念講堂でカー・オブ・ザ・イヤー最終選考会が行われた

 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は11月9日、今年のカー・オブ・ザ・イヤーモデルを決める最終選考会を、東京 早稲田大学の大隈記念講堂で開催した。

 カー・オブ・ザ・イヤーは、日本国内で年間販売台数600台以上が見込まれる乗用車の中から、同委員会が選出する60名の選考委員が年間を通じてもっとも優秀なモデルを選定する企画。日本カー・オブ・ザ・イヤーの称号を与えることで、性能、品質、安全の向上を促すとともに、業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与するのを目的に毎年行われており、今回で31回目を数える。

 今年は、9月7日に国産車・輸入車を含めて44台がノミネートされ、一次選考で上位10台(10ベストカー)を選出。今回行われた最終選考会では、その10台の中から日本カー・オブ・ザ・イヤーモデルを決定するとともに、輸入車でもっとも投票数の高かったモデルに贈られる「インポートカー・オブ・ザ・イヤー」、上記2モデルをのぞいた中から「今年記録しておくべきモデル」として実行委員会34名が選出する「実行委員会特別賞」の2賞も用意された。

 今年選ばれた10ベストカーは以下のとおりで、最終選考会では始めにこの10モデルの表彰が行われた。

トヨタ「マークX」
日産「マーチ」
ホンダ「CR-Z」
マツダ「プレマシー」
スズキ「スイフト」
フォルクスワーゲン「ポロ」
メルセデス・ベンツ「Eクラス・セダン(E350 BlueTEC アバンギャルド)」
BMW「5シリーズ セダン/ツーリング」
プジョー「RCZ」
ジャガー「XJ」

 そして最終選考会が始まった。選考委員は1人当たり25票を持ち、その票を10ベストカーに割り振る。1モデル当たり最低1票(最大10票)を入れることが可能で、最終選考会では選考委員の五十音順に投票結果が読み上げられていった。

 選考委員1人1人の投票結果を読み上げられていく中、序盤戦は「あいつあのクルマに投票したか」「あの人はデザイン重視だからな」「おっ、今日誕生日じゃんおめでとう」などなと、選考委員の意見やヤジ(?)が飛びながら、和やかな雰囲気で進む。

 20名の投票結果が終わった時点で1回目の中間発表が行われ、1位はフォルクスワーゲン「ポロ」の154票。2位はホンダ「CR-Z」で122票、3位はスズキ「スイフト」で84票だった。そして40名の投票を終えて2回目の中間発表。1位は296票でポロ、2位は250票でCR-Z、3位は152票でスイフト。特に上位2モデルは他モデルとの差をかなり広げており、実質この2台の一騎打ちとなった。

 そしていよいよ終盤。51人目の投票者からは、総得票数も平行して表示されるようになる。ここまで約50票をつけられていた2位のCR-Zは、1人あたりの得票数がポロを上まわるようになり、残り3名の段階でわずか2票差まで詰め寄る。そして58人目のCR-Zの得票数は10、ポロは6となり、CR-Zがついに逆転。最終的な総得票数はCR-Zが406、ポロが397とわずか9票差でCR-Zが今年のカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。

これが各選考委員の配点表。左から本誌でおなじみの岡本幸一郎氏、日下部保雄氏、諸星陽一氏のもの
中間発表1回目(20人目終了)。ポロとCR-Zがやや抜け出している中間発表2回目(40人目終了)。ポロ、CR-Zの一騎打ち結果発表。ポロとCR-Zの得票数はわずかに9票と、稀に見る接戦だった

 投票結果は次のとおり(敬称略)。

 ABCDEFGHIJ
青山尚暉110473
家村浩明115108
石井昌道732103
石川真禧照165103
石川芳雄624103
岩貞るみこ531106
岡崎五朗381013
岡本幸一郎210634
小沢コージ527101
片岡英明105811
桂伸一510523
金子浩久103228
川上完210355
川上浩平631015
河口まなぶ371023
川島茂夫392110
川端由美831022
河村康彦331063
木下隆之310255
日下部保雄110563
九島辰也322810
国沢光宏210481
熊野学172105
五味康隆106333
菰田潔421063
斎藤聡621061
佐藤久実631033
島崎七生人182104
島下泰久126106
清水和夫106351
瀬在仁志172510
竹岡圭511081
竹平素信110374
舘内端104821
田畑修103552
千葉匠722104
津々見友彦221029
長嶋達人310633
中谷明彦351025
西川淳821032
西村直人210724
萩原秀輝210355
服部尚貴103912
ピーター・ライオン621052
ピストン西沢103246
平田勝210328
藤島知子521044
ボブ・スリーヴァ101491
松下宏343510
松田秀士225106
松任谷正隆229102
まるも亜希子101761
御堀直嗣210346
三好秀昌262510
森口将之121057
森野恭行104911
諸星陽一210922
山内一典210463
横越光廣610432
吉田匠104911
266740651228397196219054


A:トヨタ マークX
B:日産 マーチ
C:ホンダ CR-Z
D:マツダ プレマシー
E:スズキ スイフト
F:フォルクスワーゲン ポロ
G:メルセデス・ベンツ Eクラスセダン(E 350 BlueTECアバンギャルド)
H:BMW 5シリーズ セダン/ツーリング
I:プジョー RCZ
J:ジャガー XJ

 受賞式では、CR-Zの開発責任者を務めた友部了夫氏が「受賞できたことに非常に感動している。CR-Zはホンダを、そしてクルマ社会そのものを元気にしていきたいという願いを含め、運転してワクワクするような、そういうクルマを作りたかった。今日は開発スタッフ、広報、営業が会場に来ているが、皆が“新しいクルマを作るんだ”という気持ちを持ってCR-Zを開発した」と述べるとともに、今後もワクワクするようなクルマを作っていきたいとし、挨拶を締めくくった。

 また、ホンダの四輪事業本部で開発・技術主幹を務める繁浩太郎氏は「今回CR-Zが受賞できて大変嬉しく思う。エポックメイキングな点が評価されたのだと思う。まだまだエコとスポーツを完全に両立できたとは考えていない。これを糧に今後もさらなる努力をしていきたい」と述べていた。また、先のSEMAショーで展示したCR-Zターボの国内販売について伺ってみたところ、「CR-Zターボは開発段階からあった話。今すぐ販売できるかどうかは分からない」としながらも、検討材料であることを明かしてくれた。

 会場にいた選考委員の岡本幸一郎氏に今回の結果を伺ったところ、「今回選ばれた10ベストカーはみんなよいクルマだった。しかし、その中でもCR-Zは他モデルにはない“プラスα”の要素を持っていた。スポーツとエコを両立するという、新しいジャンルを開拓したホンダに拍手を送りたい」とコメントしていた。

CR-Z 開発責任者 友部了夫氏ホンダ 四輪事業本部で開発・技術主幹を務める繁浩太郎氏選考委員を務めた岡本幸一郎氏

日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会 実行委員長の三好正巳氏

 選考会の最後に、三好正巳実行委員長より挨拶が行われ、「1位と2位の差が1桁という接戦は、カー・オブ・ザ・イヤー史上ない。今年で日本カー・オブ・ザ・イヤーは31年目。本当に驚きの結果となったが、32年目、33年目と自動車社会は大きく変わっていくと思う。その中で日本カー・オブ・ザ・イヤーがクルマのプライズを決められる賞典であり続けられるように、我々も頑張っていきたい」との総評が述べられた。

 なお、インポートカー・オブ・ザ・イヤーはポロが、実行委員会特別賞はプジョー「RCZ」が受賞している。

日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したホンダのスタッフ
インポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したフォルクスワーゲンのスタッフ
実行委員会特別賞を受賞したプジョーのスタッフ

(編集部:小林 隆)
2010年 11月 10日