【2010ロサンゼルスオートショー】海外メーカーの動向 欧州勢、韓国勢も北米向けの新型モデルを登場させる |
RAV4 EV、フィットEV、新型インプレッサ・コンセプトなど日本車メーカーが矢継ぎ早に話題のモデルを公開する中、海外メーカーも多くのモデルのワールドプレミアを行なった。特徴としては、クロスオーバーやプレミアムな特別仕様車などアメリカ市場を意識した発表となっている。
■メルセデス・ベンツ
プレスカンファレンスで2輪メーカー・ドゥカティとの提携を発表したが、その場で公開されたAMGの最新モデルが「CLS 63 AMG」。
エンジンは、「S 63 AMG」にも搭載されている新型のV型8気筒5.5リッターツインターボ。最高出力は518HP(約525.2PS)、最大トルクは516lb-ft(約71.6kgm)。0-60マイルの加速は4秒というスペックを持つ。
これでも十分にハイパワーだが、オプションとして用意されるAMGパフォーマンスパッケージを選択すると、550HP(約557.6PS)/590lb-ft(約81.5kgm)にアップするのだから驚きだ。このパッケージには、LSDやスポーツサスペンション、専用ステアリングも含まれている。
トランスミッションは、「AMGスピードシフトと名づけられた7速AT。変速スピードを「エフィシエンシー」「スポーツ」「スポーツ+」の3モードが選ぶことができ、マニュアルモードも付属する。
CLS63 AMG | |
AMGプレミアムレザー内装、アルミニウムシフトパドルなどが装備される |
■ジャガー・ランドローバー
10月に開催されたパリショーで3ドアの「イヴォーク」を発表したランドローバーは、今回、実用的なイヴォークの5ドアモデルを公開した。
3ドアモデルと並べて見ると全長が長いように感じるが全幅、全長ともに同等。全高だけ30mm上げられている。これにより、リアシートの居住性が高まり、ショルダールーム(肩口からの高さ)は3ドアモデルよりも50mmほど改善されている。
搭載されるエンジンは、240PSを発生する2リッターターボで、バルブタイミング機構などを使い省燃費性を向上させている。ハイパワー志向のクルマではないが、軽量でコンパクトな車体のため、0-60マイルの加速は7.1秒と、俊敏性も期待できる。
全米での発売開始は2011年の秋を予定していて、販売価格は4万5000ドルからとアナウンスしている。
イヴォーク5ドアモデル |
横から見ると、3ドアとはウインドーの大きさなどが異なるが、サイドラインなどはほぼ変わらない |
パリショーで発表したジャガー生誕75周年を記念した「C-X75」のコンセプトモデルも北米で初公開された |
■サーブ
GMの手元から離れ復活を期すサーブは、新型のクロスオーバー「9-4X」を世界初公開した。
サーブらしいフロントマスクやサイドラインなどのデザインを踏襲しつつクロスオーバー化した新たな展開の車種となる。
スポーティさも特徴のひとつで、搭載しているエンジンはV型6気筒のターボか自然吸気の2種類。出力は300HP(約304PS)と265HP(約268PS)。トランスミッションは、アクティブコントロールの6速AT。
クロスオーバーモデルには欠かせない収納力だが、シートは6:4の可倒式で、ワンタッチでフルフラットになる。トランクにはオプションでU字レールが付き、荷物の固定に役立つ。
この新型モデルは、北米で来年5月から発売が開始される。
9-4Xに加えて注目したいのが、サーブの新たな試みとしてテスト走行を行なっているEVコンセプトカー「9-3ePOWER」。この車両は、来年スウェーデンで、70台の車両を使って実走実験が開始される。
サーブ9-4X | ||
「9-3ePOWER」はサーブ初のEVコンセプト | ||
■起亜
今年のニューヨークショーでハイブリッドモデルの投入が発表されたミドルサイズセダンのオプティマ。その実車が今回公開された「オプティマ・ハイブリッド」。
バッテリーはリチウムポリマーを使用。バッテリー出力は30kWとなる。エンジンは2.4リッター自然吸気で、モーターと合わせたトータル出力は、206.2HP(約209PS)/195.4lb-ft(約26.9kgm)。組み合わされるトランスミッションは6速AT。
気になる実用燃費だが、シティモードで36mpg(約15.3km/L)、ハイウェイモードで40mpg(約17km/L)とアナウンスされている。車重が約1580kgあるミドルサイズセダンなので、ハイブリッド化した効果はてきめん。オプティマの2.4リッターモデルと比べると燃費性能は50%向上している。
起亜オプティマ・ハイブリッド |
「Kia POP Concept」という小型のEVコンセプト。前2人、後ろ1人の変則的な3人乗りとなる。全長は3mで、バッテリーはリチウムポリマーを使用 |
■ヒュンダイ
韓国国内では、すでに発売されているコンパクトサイズセダン「エラントラ」。ライバルとなるのは、シビックやカローラ、フォーカスやクルーズといったところ。韓国ではハイブリッドモデルもラインナップするが、北米向けはガソリン車のみの発表だった。
特徴はハイブリッドモデルにも負けない燃費性能。実用燃費はシティモードで29mpg(約12.3km/L)ハイウェイモードで40mpg(17km/L)を記録する。
アルミブロック、ヘッド、シャシーの軽量化により車重は1200kg強となる。エンジンは1.8リッターで、最高出力が148HP(約150PS)、最大トルクが131lb-ft(約18.1kgm)。トランスミッションは6速ATとMTから選べる。
アメリカでは、ミドルサイズセダンのソナタが急速にセグメント内のシェアを伸ばし、カムリ、アコードに続く位置まで登りつめているだけに、ワンサイズ小さいエラントラにも期待が掛かる。
(真鍋裕行)
2010年 11月 19日