ルノー、仏大使公邸でゴーン会長が新型「メガーヌ ルノー・スポール」をお披露目
ゴーン会長「メガーヌ R.S.はアライアンスの活動のシンボル」

ルノー・日産のゴーン会長(左)とルノー・ジャポンの大極COO

2010年12月16日開催



 12月16日、東京 南麻布のフランス大使公邸で、新型「メガーヌ ルノー・スポール」の発表会が、ルノー・日産アライアンスのカルロス・ゴーン会長兼CEO列席のもと、開催された。

 この発表会は、フィリップ・フォール駐日フランス大使が主催したもの。発表会で最初に挨拶に立った大使は「F1以前のラリーの時代から、ルノーとスポーツカーの関係は密接だった」と、フランスにおけるルノーのスポーツモデルのイメージを語った。

 「古いものではゴルディーニやアルピーヌといった車種が思い起こされるが、通常、ルノーのスポーツカーはブルーで、たいへんにスピードが出て、どちらかと言えばナーバスな、しかしとても運転しやすいというイメージがある。新型メガーヌ ルノー・スポールは、おそらくその伝統を受け継いでいるものと考えている。だからこそ多くの日本の皆様に愛され、また日本でも深く浸透し、成功することを祈っている」。

フォール駐日フランス大使大使(左)とゴーン会長

 

大使公邸の玄関前広場に展示された2台のメガーヌ ルノー・スポール

ルノー・スポールの、さらにスパルタンな仕様
 新型メガーヌ ルノー・スポール(以下、メガーヌR.S.)は、3代目メガーヌの3ドアモデルをベースとした高性能スポーツモデル。詳細は関連記事を参照されたいが、184kW(250PS)/5500rpm、340Nm(34.7kgm)/3000rpmを発生する2リッター4気筒DOHC 16バルブ ツインスクロールターボエンジンをフロントに横置きし、前輪を駆動する。

 日本に導入されるのは、左ハンドル、6速MT、LSD、レカロ製バケットシートなどを備え、足まわりがより固められたシャシー・カップセッティングが施された仕様で、スポーティーかつスパルタンなカー・エンスージアスト向けとなっている。

黄色いメガーヌR.S.は標準の18インチホイール仕様。リア・ディフューザーと1本出しのセンターマフラーが、新しいルノー・スポールのシンボルとのこと
白いほうは受注生産の19インチ仕様。18インチに対して12万円高となる
18インチ(左)はミシュラン、19インチはコンチネンタルを履く直列4気筒ツインスクロールターボエンジン
レカロのバケットシートに黄色いシートベルトなどでスポーティーに仕上げたインテリア
メガーヌR.S.のステアリングホイールにも黄色いセンターポイントが入るノーマルのデジタルメーターをアナログメーターに変更。レブカウンターは黄色い盤面になるトランスミッションは6速MTのみ
ペダルは3本ダッシュボードのディスプレイは各種車輌情報を表示するRSモニター。詳細は後述

日本市場はルノー・スポールの“ベンチマーク”
 日本でのルノー・スポールの販売台数は世界で9位、ルーテシア ルノー・スポールだけ見れば3位。ルノー・スポール専門ディーラーの数も17にのぼり、英国の11、ベルギーの15を上回る。

 3代目メガーヌが、日本ではまずルノー・スポール仕様から登場した背景には、ルノー・スポールにとって日本が無視できないどころか、もはや英仏と並ぶ「ベンチマーク」市場として重視されていることにあるようだ。

メガーヌR.S.の詳細を説明するルノー・ジャポン商品企画・広報のフレデリック・ブレン氏日本のルノー・スポール スペシャリストディーラーの数は英国を上回る

 メガーヌR.S.が属する欧州Cセグメントのスポーティーモデル市場は、欧州での販売が2001年には1万7000台だったのが、2009年には3万2000台まで拡大したという激戦区。

 欧州ではフォーカスRSやアストラOPC、レオン クープラR、マツダ3MPSなどさまざまなコンペティターがいるが、日本での仮想敵はゴルフR、シロッコR、TT S、S3といった、フォルクスワーゲングループPQ35プラットフォームのスポーツモデル達。加えて、ルーテシア ルノー・スポールのセールスでの経験から、ケイマンやボクスターのユーザーもターゲットに入ると言う。

メガーヌR.S.のコンセプトは「デザイン&パフォーマンス」
最高出力は250PS、最大トルクは340Nm。可変バルブタイミング機構やタンブル式ピストンなど採用。エンジンのパーツの25%が新設計されたトランスミッションは6速MTのみ。日産が開発したPK4を搭載する
フロントサスペンションはルーテシアR.S.と同じくダブルアクスルストラット。ノーマルよりもオフセットを減らし、トルクステアを軽減。また、アンチロールバーやダンパーなどをより固めたシャシー・カップ セッティングを採用
GKNドライブラインのヘリカルLSDを採用。「コーナーで早くアクセルを開けられる」(ブレン氏)リアはトレーリングアーム。こちらもシャシー・スポールより固いシャシー・カップ セッティング
ブレーキはブレンボ製(リアキャリパーのみTRW)パワーウエイトレシオは5.7kg/PS。「この価格帯で6を下回るのは珍しい」(ブレン氏)。また0-100km/hは6.1秒で、360PSのレーシングカー「メガーヌ トロフィー」の5.9秒に遅れることわずか0.2秒という性能仏ポールリカール・サーキットでメガーヌR.S.のシャシー・スポール仕様とシャシー・カップ仕様を走らせたときのデータをプロットしたCG。先行しているのがシャシー・カップで、LSDとシャシーセッティングだけでこれだけの差がつく
RSモニターの表示。加給圧、スロットル開度、トルク、パワーをリアルタイムで表示しているところ。右に表示されているのは、最もパフォーマンスを出せるギアポジション加給圧、油温、水温、出力のリアルタイム表示前後左右の加速度。右側のグラフは加速度の履歴
RSモニターでスロットルマッピングを変更できる。全部で5つのスロットルマッピングが用意される。左から「ノーマル」「スポーツ」「エクストリーム」
0-100km/h計測ラップタイムESPモードは3つ。スロットルマッピングも合わせて変更される
ユーロNCAP満点のボディー。ユーロNCAPにない後方からの追突もテストしている製造はルノー・スポールの本拠地ディエップでなく、近代的なスペインのパレンシア工場
ゴーン会長

 

メガーヌR.S.はルノー・日産のシンボル
 ゴーン会長は「日本で最も有名なフランス人。フランスでも企業の代表として最も有名な顔の1人」とフォール大使に紹介されて登場した。

 ゴーン会長はルノー・日産アライアンスを「日仏両国の間で結ばれたいろいろな関係の中で、最も大きなプラス効果を出した例」とアピール。その特徴を「(ルノーと日産の)違いを“制約”と捉えず、また、両者の企業文化がそれぞれ持っているものを足して2で割るような、平準化も図らない。お互いの、違うアイデンティティを尊重するということを、大きな柱に掲げている」とし、「ルノー・日産アライアンスは世界的な地理的相互補完性を持ち、協調して国際展開し、研究開発費や部品、車台、購買の共通化によってシナジーを出している。このシナジーを持ってして、最低限必要な競争力を保つための最小限のサイズを確保している。現在、ルノー・日産アライアンスは世界第3位のカー・メーカー・グループとなっており、1500億ドルを売り上げ、35万人の従業員を擁する」とその戦略と規模を紹介した。

 その中で「メガーヌR.S.は間違いなく典型的なルノーだが、その車台は日産と共通化している。また、ルノー・スポールの販売網は独自のものだが、バックオフィスは共通化している」と述べ、メガーヌR.S.を日本で販売することは「アライアンスの活動のシンボル的存在」と位置づけた。

大極COO

 また、ルノー・ジャポンの大極司COOはメガーヌR.S.を「ルノーの100年以上にわたるモータースポーツへの情熱を継承し、進化させた本格的なモータースポーツモデル。シックさと力強さを合わせ持つデザインに、250PSのエンジンを備え、そのパワーをしっかりと路面に伝える特別なシャシーを備えている。どんなエンスージアストにも満足していただけると確信している」と紹介。

 また、“フレンチタッチ”“トレンディ”“スポーティー”の3つのエレメントでブランドを特徴付ける「FTS戦略」を説明し、「メガーヌR.S.は3つのエレメントを合わせ持つ、FTS戦略のシンボルとなるモデル」とした。


(編集部:田中真一郎)
2010年 12月 17日