首都高、川崎線の交通量は日曜・休日で2倍に 1月の定例記者会見 |
首都高速道路は1月26日、本社ビル内で1月の定例記者会見を開催した。同社社長 橋本圭一郎氏より、首都高の現況についての説明が行われた。
橋本社長は首都高の直近の通行台数について触れ、2010年8月~2011年1月(1月は20日までの速報値)の通行台数がすべての月で前年を上回っていることを紹介。前年同月比で101.0%~102.2%の数値で推移していると言う。
その上で、2010年10月20日に開通した神奈川6号川崎線 殿町~大師JCT(ジャンクション)間の開通効果について語り、新規開通区間の殿町~大師JCT間では平日3000台/日、日曜・休日4000台/日となり、すでに開通していた殿町~川崎浮島JCT間は、平日3100台/日→5300台/日へ、日曜・休日2900台/日→6000台/日に増加した。
とくに正月三が日では5400台/日(殿町~大師JCT)、7800台/日(殿町~川崎浮島JCT)となり、既開通区間では交通量が倍増。湾岸線の迂回ルートとして十分な効果を発揮するとともに、川崎駅から羽田空港へと向かうバスの時間短縮や定時性の向上に寄与し、期待したとおりの効果が出ていると言う。
神奈川6号川崎線(殿町~大師JCT)開通後の交通状況 | 川崎駅から羽田空港までの所要時間が減少し、定時性も向上している |
■新たな取り組みについて
首都高は、海外事業展開や賃貸住宅事業など新たな事業への取り組みを進めている。
海外事業については、首都高の強みである「都市内高速道路であるということ」を活かし、コンサルタント事業や投資事業などで収益事業の参画を図ること、道路事業にかかわる国際貢献を推進することを基本方針として展開していくと言う。
同社は、NEXCO 3社(東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路)と共同で海外事情新会社を設立するが、それに向けた準備室を2月1日に開設すると言う。この新会社とは当面並行して海外事業を進めていくものとした。
また、神奈川県川崎市の新百合ヶ丘で行っている賃貸住宅事業に関しては、CO2排出量の低減に配慮した設計を行い、低炭素社会に向けた社会貢献を打ち出していくものだと言う。この賃貸住宅は、同社社宅の跡地を利用したもので、6棟(12世帯)のメゾネットタイプ。2011年2月に完成し、4月の入居開始を予定している。
同様の案件については、用地取得の兼ね合いもあり未定とのことだが、新たな取り組みとして注目に値するものだろう。
海外展開について | 新百合ヶ丘で賃貸住宅事業を開始 | 住宅はCO2排出量の低減に配慮したものとなる |
■「改善」の取り組み
本業である道路サービスの改善についての説明も行われた。同社は、Webサイトに設置した「グリーンポスト」や、電話での問い合わせ窓口「首都高お客様センター」によって利用者の意見を吸い上げ、サービスの改善を行っている。
2010年4月~12月では、利用者の意見を元に154件の改善を行ったと言い、常務執行役員の道家孝之氏よりその一部が紹介された。
例として紹介されたのは、中央環状線(内回り)→3号渋谷線 大橋JCT合流地点の改善で、合流区間で早めに車線変更をしてしまう車がないようラバーポールを設置。そのほか、6号三郷線(上り)→中央環状線(内回り)小菅JCT合流地点では、道路の優先状態が分かりやすいように看板を設置。いずれも利用者の声に応えたものとなる。
また、従来から取り組んでいる交通安全プロジェクト「東京スマートドライバー」の取り組みが地方にも広がっており、「愛知スマートドライバー」や「千葉スマートドライバー」など、市民の自発的な活動が増えていることが紹介された。
常務執行役員 道家孝之氏 | 利用者の声により、道路を改善 | 東京スマートドライバーの取り組みは、全国に広がりつつある |
なお、渋滞解消に関する取り組みについては、5号池袋線 熊野町JCTで車線ペイントの変更による効果が紹介されたものの、大橋JCTから3号渋谷線への合流渋滞については、現状改善の妙手がないと言う。都心環状線の浜崎橋JCTも渋滞の名所となっているが、これについては2013年度に完成を予定している中央環状品川線により、改善する見込みであると述べた。
(編集部:谷川 潔)
2011年 1月 26日