環境省、被災した自動車の処理方法
所有者等に引き渡しできない場合は使用済み自動車として処理

使用済自動車として処理される被災自動車の保管方法



 環境省は、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で被災した自動車の処理方法を発表した。

 東日本大震災では、地震や津波によって多くの車両が被災した。冠水または大規模な破損が認められるなど、外形上から判断して自走不可能と考えられる自動車は「被災自動車」と定義づけ、以下のステップを経て処理されることになる。

第1ステップ:自治体が集めて保管
 被災自動車の処分には、原則として、所有者等の意思確認が必要となる。そのため、被災自動車は所有者等による保管が可能な場合を除き、ひとまず各自治体が集めて保管することになる。

第2ステップ:所有車等を探す努力
 次に自治体は、保管した車両のナンバーをリスト化し、可能な範囲で所有者等を捜す。所有者の割り出しは、国土交通省(本省自動車情報課または運輸支局)や軽自動車検査協会(本部または各地の事務所)に問い合わせて行うが、被災によりナンバーが外れている場合もあるので、その際はダッシュボードなどに保管されている車検証を確認するか、車体番号を運輸支局などに問い合わせる。

 なお、損傷の程度が小さく、自走可能と考えられる自動車も、必要に応じて保管場所に運搬することが可能で、この場合もナンバーから所有者を割り出し、所有者が引き渡しを求める場合は引き渡される。

第3ステップ:使用済自動車を引取業者に引き渡し
 自治体は保管された自動車の所有者等と連絡を取るよう努め、連絡が取れた場合は処分を委ねるか、自ら引き取るか、所有者等の意思を確認する。

 自動車リサイクル法に基づくと、自動車を処理する際には所有者が引取業者に引き渡すことが原則となっているが、処理の迅速化を図るため自治体が被災自動車の処分を委ねられた場合は、業者に引き渡す事務を代行することも可能と言う。この場合、自動車重量税や自賠責保険料の還付が生じる場合もあるため、各種書類の記入は所有者が行う。

 所有者等と連絡が取れない場合は、自治体が使用済自動車として被災自動車を業者に引き渡す。また、被災による損壊などによって所有者等が確認できない場合も、自治体が被災自動車を業者に引き渡す。

第4ステップ:引き渡した自動車に関する情報提供
 業者に引き渡したあとは抹消登録手続きが必要になるため、被災自動車のナンバー情報を国土交通省や軽自動車検査協会に提供する。なお、大部分の車両はすでにリサイクル料金を預託しているので、引き渡し時に処理料金は不要としている。

(編集部:小林 隆)
2011年 3月 30日