NEXCO東日本、SA/PAで復興支援への取り組み
5月定例記者会見

NEXCO東日本代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏

2011年5月26日開催



左から、長尾管理事業本部長、佐藤社長、窪寺事業開発本部長、小松技術本部長

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は5月26日、定例記者会見を開催した。同社は4月から本部長制を敷いたこともあり、今回から同社代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏のほか、常務執行役員 管理事業本部長 長尾哲氏、執行役員 事業開発本部長 窪寺克次氏、執行役員 技術本部長 CTO(最高技術責任者) 小松秀樹氏が加わる形での会見となった。

4月の営業概要
 4月の営業概要については、長尾管理事業本部長から発表が行われた。NEXCO東日本の営業延長は、3594km、建設延長は274kmとなり、通行台数は1日平均257万4000台(対前年比104.2%)、料金収入は431億4300万円(対前年比94.5%)。交通量が伸びているのに対し、料金収入が減っているのは、高速道路無料化社会実験の影響のためと言い、これは実験が開始されてから変わらない傾向。

 3月は東日本大震災の発生で、交通量が大きく落ち込んだが、4月になってからは、回復基調になったと言う。

 SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の売上高については、窪寺事業開発本部長が発表を行い、119億5100万円で対前年比113.0%。飲食については0.4%増であったものの、ガソリンスタンドの売上げが50.2%増と大幅に伸びていることが寄与している。これは、ガソリン価格の上昇もあるが、被災地へ向かうトラックなどが増えていることもあり、軽油の売上げが倍増しているためと言う。

 また、SA/PAにおいては、被災地の復興支援として「HEARTLINK NIPPON ~つなごう、こころ。ひろげよう、出会い~」のスローガンのもと、各種の取り組みを開始。東北自動車道 前沢SA、長者原SA、安達太良SAの3個所のインフォメーションコーナーで、被災地へ向かうボランティア向けの情報サービスを行うほか、東北道、常磐自動車道、関越自動車道の主要SAで、震災の被害を受けた地域の物産の販売に力を入れていき、この売上げの一部を義援金として拠出する。

HEARTLINK NIPPONについて語る窪寺事業開発本部長道路がリボン状に結ばれるHEARTLINK NIPPONのデザイン

 この取り組みは、自治体と連携して行うものもあり、常磐道 友部SA(上り)では5月28日、29日、谷田部東SA(上り)では、5月28日に茨城県産野菜などの販売を実施する。

 小松技術本部長からは、同社および同社社員が平成22年度の土木学会賞を5件受賞したことが発表された。

本格復旧工事は2年がかりで
 東日本大震災においては、同社自身も20路線・870km区間が被災。すでに、東京電力 福島第一発電所の事故の関係で立ち入りが制限されている常磐道 広野IC(インターチェンジ)~常磐富岡IC間以外は、仮復旧を終えている。

 5月2日に政府の補正予算が成立し、災害復旧事業費として約490億円がついたことから、今後本復旧工事にとりかかっていく。この本復旧工事は、現在被害の調査や作業の見積もりなどを行っていることから、着手は秋。東北地方などでは冬に工事を行えない状況になることから、今年度と来年度の2カ年にわたって行われる。

 主な工事個所は、被害の大きかった岩手・宮崎・福島・栃木・茨城県内の東北道、常磐道となり、「およそ東北7割、関東3割」(長尾管理事業本部長)と言う。

 また、現在高速道路各社では、新しい高速道路の料金案を発表し、それに関するパブリックコメントを求めている。この料金案が仮に実施された場合の交通量に関して佐藤社長は、「現在コールセンターへの問い合わせの3割~4割が新料金制度に関して」「当初は、料金的に高くなることもあって落ち込むのではないかと思うが、夏のシーズンがあるので(落ち込みは)解消するかなと思っている」と言い、小さくない影響があるだろうとの見通しを示した。

(編集部:谷川 潔)
2011年 5月 26日