「スマートグリッド展2011」「次世代自動車産業展2011」が開催中 次世代自動車に関する最新技術や部品、車両などを公開 |
6月15日~17日までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)東2、3ホールで「スマートグリッド展2011」と「次世代自動車産業展2011」が併催されている。入場料は1000円だが、事前登録すると無料になる。
両展が共通のテーマとしているのが「スマートコミュニティが創る新しい日本!」。エネルギー問題に直面しているここ日本において、エネルギーを効率的に利用することについてや、環境型の街づくり、そして次世代自動車に関する最新技術や部品、車両を公開している。
東日本大震災や原発事故による電力問題で、代替エネルギーや効率化の問題は現在の逼迫した課題となっている。各メーカーとも、実証実験中のスマートグリッドの途中経過や、いかに少ないエネルギーで効率よく従来どおりの生活を送れるかなどといった提案などがされている。
次世代自動車産業展では、電気自動車に関する技術や部品、車両が多く展示されている。自動車メーカーから発売している電気自動車(EV)「リーフ」「i-MiEV」「雷駆(i-MiEVのOEMモデル)」の展示も行われているが、自動車メーカーではない企業が開発したEVも数多く見られる。電動バスや電動スクータ、電動アシスト自転車は実際に試乗することも可能だ。
また、車両以外にもEVに付随したハードも公開されている。その1つが急速充電器で、各メーカーが独自性を持たせた充電器を展示している。
EV特有のものではないが、車両に使われる素材などの展示もある。チタンやマグネシウムといった素材はその1つで、こうした素材の特徴や、どのような個所に使われているかも詳しく知ることができる。
ここでは、出展していた自動車メーカーやパーツメーカーなどから、注目の技術や製品などをピックアップして紹介していく。
ヤマハブースでは、電動スクータ「EC-03」の試乗コースが会場内に用意される | 早稲田大学が製作した電動バスは試乗可能 |
自動車メーカーブースでは、日産自動車が「リーフ」「エクストレイル クリーンディーゼル」を、三菱自動車工業が「i-MiEV」、光岡自動車が「雷駆」を展示している |
■トヨタ自動車&トヨタメディアサービス
トヨタ自動車とトヨタメディアサービスは、EVおよびプラグインハイブリッド車(PHV)向けのAC200V充電器「G-Station」を公開。ICカードによる認証システムを使い、利用者の利便性を高めている。
また、スマートフォンと車載ディスプレイを連動させたシステムも展示中。従来のカーナビを車両にセットするのではなく、クルマにつけるのはモニターのみ。カーナビ機能はスマートフォンのデータを使う。車両のCANシステム情報をスマートフォンに送り、車速やステアリングなどの操作量をもとにGPSと合わせて自車位置を測定する方法も検討していると言う。
■矢崎総業
矢崎総業は充電器の各種ソケットを展示。現在、急速充電器に使用しているソケットはレバーが複数で操作が難しいと言われている。そこで、新しいプロトタイプを実際に使ってモニターをしていた。
従来の急速充電ソケット。国内用 | 従来の急速充電ソケット。海外用。レバーの位置が異なるのが分かる |
プロトタイプの低挿入力モデル | プロトタイプの軽量化検討モデル | 充電口が上下で2つあるのは、i-MiEVの高さ(上)とリーフの高さ(下)を再現しているため |
カラフルな充電ソケットはAC用 | 家庭用の充電器をリリースすることも検討中 |
■FDK&Takayanagi
リチウムイオン電池よりも充放電能力に優れたリチウムイオンキャパシタを開発しているFDK。Takayanagiが製作したEV「ミルイラ」には、リチウムイオンキャパシタが6つ搭載されている。優れた充放電特性を利用し、1分間の充電で3.5kmの走行(平均時速20km/h)が可能と言う。
■日本チタン協会
高級車のマフラーやボルトなどに使用されることもあるチタン。今後、多くの自動車に使われることが予想されるカーボン素材を留めるのにも、チタンが用いられると言う。チタンとカーボンは電位差が少なく、耐食性に優れているのがその理由だそうだ。
■三協マテリアル
アルミニウムの2/3という比重を特徴とするマグネシウム。三協マテリアルに展示されているホイールはF1で実際に使われているモデルで、素材はマグネシウム。そのほかにも、スチールより振動を吸収する特性があることから、乗り心地が求められる部材にも使用されている。
■みちのくトレード
みちのくトレードが製作した「シャープシューター」。リチウムイオン電池を搭載し、12.5kwのモーターで駆動する。航続可能距離は約60kmで最高速度は80km/h。車両重量はわずか477kg。
■筑水キャニコム
チョイ乗りを想定した四輪電動バイク。原付バイクに区分されるので、原付免許で運転することができる。独立したサスペンションを備え悪路走破性も高い。なお、30kmを走行するのに必要な電気代は約20円となっている。
■山形県立米沢工業高等学校
高校生が一から製作を行ったEV。コンバートEVではなくボディーやフレームワーク、ミッションケースなどはほぼワンオフで作ったと言う。バッテリー残量やモニターの操作用にパソコンが装備されている。
■昭和飛行機工業&早稲田大学
早稲田大学が開発した電動マイクロバス。すでに実証実験として埼玉県本庄市や熊谷市で走行している。充電方法が特徴的で、非接触式給電システムを使う。バス側と路面の埋めたコイルの位置を合わせることで給電する仕組みとなっている。
■そのほか
(真鍋裕行)
2011年 6月 16日