メルセデス・ベンツ、六本木にカフェとダイニングのある期間限定ショールーム

2011年7月16日オープン



 メルセデス・ベンツ日本は7月16日、東京 六本木に新コンセプトのショールーム「メルセデス・ベンツ コネクション」を、2012年12月までの18カ月間期間限定でオープンする。

 7月14日、同社はその内部を報道関係者に公開した。

本格的なカフェとレストランのあるスペース
 メルセデス・ベンツ コネクションの住所は東京都港区六本木7-8-1。東京ミッドタウンの向かい、新国立美術館への経路にもあたる「東京ミッドタウン西」交差点の角に建つ。黒い外壁と大きな窓の外観は、同社のディーラーとは全く異なるもので、控えめなスリーポインテッドスターと「メルセデス・ベンツ コネクション」のロゴが無ければ、同社の施設とは分からない。クルマのショールームというより、レストランやファッションビルのような佇まいだ。

ミッドタウン側から見たメルセデス・ベンツ コネクション道路の左側がミッドタウンメルセデス・ベンツ コネクションの入口

 交差点に面した入口を入ると、そこにあるのはカフェスペース「ダウンステアーズ コーヒー」だ。ここは通勤途中にも寄れるよう、メルセデス・ベンツ コネクションの中で最も早く朝7時に開店し、21時まで営業する。中央に置かれた20人以上が掛けられる長テーブルには電源コンセントが用意され、メンバー登録することで無料で使える無線LANも完備するという、本格的なカフェだ。

 ここで供されるメニューは、バリスタトレーナー&カフェコンサルタントの澤田洋史氏が監修した。カフェラテの表面にアートを描く「ラテアート」の国際大会で優勝した経歴を持つ同氏だが、その技術を叩き込まれたバリスタたちが、ラテアートを380円で提供してくれる。

入口入ってすぐのカフェスペース「ダウンステアーズ コーヒー」。長テーブルには電源もあるメルセデス・ベンツ コネクションのメンバーズカード「メルセデス.コネクテッドカード」を手に入れ、メンバー登録するとWiFiが使える。ポイントを貯めるとグッズや会員限定イベント招待なども
カフェスペースのグッズコーナー。メルセデスのオリジナルグッズを手にとって見ることができる。ここにしかないグッズも
ラテアートを作る澤田氏。ピックを使わず、ミルクを注ぐだけでアートを描くテクニックを見ることができる

 その奥のスペースがショールーム。ショールームを取り囲むように車路が設けられており、試乗もできるよう作られている。ショールームにはメルセデス・ベンツ日本のラインアップのほか、特別な車両が展示されることもあると言う。

 取材時に展示されていたのは、4月の上海モーターショーで発表された次期Aクラスのコンセプトモデル「コンセプトA」と、BクラスにV型8気筒5.5リッターエンジンを搭載したワンオフモデル「B55」。20日まで展示される予定だ。

 こちらの営業時間は10時~20時となっている。

記者発表の場となったショールーム。柱の形は山や林、迫り来る波、都市に建つビルのイメージで、柱の色の光は太陽の光の色の変化などを表す。また、天井の黒い筋は轍を表すショールームのガラスの向こうは車路
オープニング記念で展示されたコンセプトA
ショールームにはさまざまなオブジェも
ショールームを取り巻く車路。壁は「ムービーウォール」になっていて、さまざまな映像を再生する
車路に展示されていた「B55」。Aクラス、Bクラスを製造する工場の若手従業員が創り上げたワンオフ車で、V型8気筒5.5リッターエンジンを縦置きに搭載。駆動形式はFRに改められ、トランスミッションは7Gトロニックになっている。大型のエンジンを押し込んだにも関わらず、室内にはまったく影響がない。インテリアで通常のBクラスと異なるのは、300km/hまで刻まれたメーターパネル

 ショールームから階段を登った2階は、レストラン「アップステアーズ」だ。こちらのメニューは、「AW kitchen」「やさい家めい」といったレストランを手がける渡邉明氏が監修した、これまた本格的なもの。料理のスタイルは「美と健康」で、野菜を中心とした。

 ランチは前菜のビュッフェと、スープやパスタをメインとするプリフィックスを、ティータイムにはアフタヌーンティーセットを、ディナータイムには各種アラカルトのほか、アルコール類やフィンガーフードを楽しむ「アベリティーボ」が用意される。予算はランチが1500円程度、軽いディナーが3000円程度だ。

 営業時間は11時~23時だが、金・土・祝前日は28時まで開いている。

2Fのレストラン「アップステアーズ」。ラウンジ風の作りで、大型モニターも備える
メニューは野菜中心

 

左から澤田氏、建物をデザインした窪田茂氏、上野副社長、スピークス社長、メルセデス・ベンツ コネクションの中山大輔ディレクター、カフェとレストランをプロデュースした中村貞裕氏、渡邉氏

ソフトにブランドに親しんでもらう場所
 同社のニコラス・スピークス社長は、メルセデス・ベンツ コネクションの建築やデザインは「全国のメルセデス・ベンツ販売店と意図的に差別化」されたものと言う。

 メルセデス・ベンツ コネクションは、クルマを販売する場所ではなく「“メルセデス・ベンツブランドには親しんでみたいけれど、セールスのプレッシャーは苦手”というお客様のために設定した空間」であり、「メルセデスブランドを直接的にご紹介するというよりは、食べたり飲んだりという楽しい雰囲気の中でブランドに接していただくことで、メルセデスに親しみを感じたり、メルセデスの楽しさを発見したりしていただきたい」という狙いがあるからだ。

 その背景には「世界のマーケットで、人々の自動車メーカーに期待するものが大きく変わってきている。私たちは従来のセグメントではかなり強固なマーケットを持っていると自負しているが、先進国ではすべての人がすべてのブランドを知っているわけではないし、マーケットによっては若い消費者もいる。都市生活者が多い国、あるいは少ない国もある」と、自動車市場の拡大と、それにともなう変質がある。

 そんな中で「メルセデスを、あこがれを感じていただけるようなブランドにしたいと思っている。そのためには、お客様にもっと近い施設が必要」と考え、「カフェとレストランの中にクルマがたまたまあるという形で、ショールームとはコンセプトが逆」という施設ができあがった。「若い人々が、車ということをあまり意識せずに、コーヒーを飲んだり食事をしたりして、ブランドに興味を持っていただければなによりだと思った。自動車のショールームや販売店に直接来てブランドを知っていただくより、間接的な形で知っていただく。ソフトな形でブランドを紹介できる場所も必要」。

 同社の上野金太郎副社長は、「“自分には関係のない高級車”というメルセデスのイメージ」を変えるため、「“こういう使い方だったら関係あるな”という接点を見つけて、そこからコネクトしたい」と、「コネクション」という名称を解題した。「日曜日の夜にF1を見たいという人が入れば、2Fの大きなスクリーンで見てもらう。うちが(F1のパブリック・ビューイングを)主催するのではなく、F1が好きな人達が集まって、そこにコミュニティーができて、お酒を飲んだりしながら盛り上がる。そういうところでいろいろな人と出会うのが大事だと思う」。

左からスペシャルゲストの冨永愛さん、日本ファッション・ウィーク推進機構の三宅正彦氏、スピークス社長、上野副社長

 さまざまなパートナーとのコラボレーションによるイベントも考えられている。同社はメルセデス・ベンツ コネクションと同時に、「東京発 日本ファッション・ウィーク」の冠スポンサーになることを発表した。ファッション・ウィークは、コネクションと道路を挟んで向かい側の東京ミッドタウンをメイン会場に行われるが、コネクションでも関連イベントを開く予定と言う。

 また、1階ショールームを取り巻く車路をベースに、国内未導入のクルマを試乗したり、新技術を体験したりできるイベントも考えられている。メルセデス・ベンツ コネクションのミッションは、新しい顧客へのブランドイメージ訴求だが、メルセデス・ベンツ ファンにとっても楽しい場所になりそうだ。

(編集部:田中真一郎)
2011年 7月 14日