NEXCO東日本、東北無料措置後1カ月の状況を発表
木材・鉄類の落下物が前年比275%と激増

NEXCO東日本定例記者会見

2011年7月28日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は7月28日、定例記者会見を開催し、6月の営業概要や震災に伴う東北地方無料化の状況、道東自動車道、道央自動車道の開通などについて述べた。

6月も交通量は増えたが無料化で収入は減
 6月の通行台数は、日平均で275万6000台と前年比8.4%増。月の合計は8267万台で前年比644万台増となり、4月、5月と順調に利用台数が増えていると言うが、対して料金収入は前年比4.9%減の445億6700万円となった。通行台数が増えながら料金収入が減少しているのは、高速道路の無料化実験に加えて、被災者支援や震災復興のための東北地方の高速無料化が影響しているためだと言う。ETC利用率を見ても東北無料化実施後にETC利用率が減少しており、その影響が見て取れるとした。

 SA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)の売り上げ高は、前年比で8.6%増の110億2500万円。その内訳を見るとガソリンスタンドが30.2%も増加していると言い、これはガソリン単価のアップに加え、給油量の増加があるとのこと。特に軽油が大幅に増えており、これは震災以降続いている傾向だと言う。

東北無料措置後1カ月で利用料は増加、加えて落下物も増
 6月20日より開始されている東北地方無料措置の1カ月後の状況は、週を追うごとに増加しており、4週目の断面交通量では、東北道の仙台南IC(インターチェンジ)~仙台宮城IC間で約30%、常磐道の水戸IC~那珂IC間では約60%増加している。また、対象エリアのICの出口交通量は3週目までは10%程度の増加だったのに対し、4週目で約20%増加。これは3連休で利用者が増えたためだと言う。

 無料措置対象エリアの料金所を見ると、被災証明書・罹災証明書による無料通行する車両が増え続け、4週目では約7割が無料通行となっている。これはNEXCO東日本の当初の予想を大きく上回る割合とのこと。NEXCO東日本の独自調査によると、被災・罹災証明書の発行枚数は、青森県で35万枚、岩手県で40万枚、宮城県で99万枚、福島県で85万枚、茨城県で87万枚、栃木県で7万枚となっている。一番多い宮城県の場合、人口は約235万人であり、2.4人に1人が被災・罹災証明書を発行していることになる。家屋の倒壊など不動産の被害が出た際に発行される罹災証明書に対し、被災証明書は動産の被害だけでも自治体の判断で発行されるため、当初NEXCOが想定していた数字を大きく上回る枚数になったようだ。

 無料通行には料金所で書類の提出が必要となることから、渋滞の増加が懸念された。そのため、東北エリアで130名、その他の地域で60名の増員をしたと言う。加えて係員の被災証明、罹災証明の確認もスムーズになったことで、渋滞はそれほど増えていないとした。

 また、東北支社管内において、交通量全体の伸びは前年比20%増だが、そのうち大型車は45%増と大きく伸びている。さらに落下物件数は75%増とさらに伸びており、落下物の種類を見ると、木材や鉄類が175%増と急増。これは震災のがれき撤去による影響だろうと言う。

断面交通量の推移。棒グラフの内、青い部分が普通車、赤い部分が大型車を表す。赤い折れ線グラフは伸び率を表す無料対象エリアのIC出口交通量の推移やETC利用率、渋滞状況の推移。ETC利用率は下がっているが、その割に渋滞が増えていないのが分かる東北支社管内では震災後大型車の通行量が増え、特に木材・鉄類の落下物が著しく増加している
9月以降に道内で新たに開通する高速道路とPA

北海道で2個所の高速道路が開通
 北海道で建設を進めている道東自動車道 夕張IC~占冠IC間が10月29日に、道央自動車道 森IC~落部IC間が11月26日に開通することが決まった。道東道 夕張IC~占冠ICの開通は、道東道と道央道を繋ぐことになり、物流の効率化や観光の拡大が期待できる。道央道 森IC~落部ICの開通は、道南方面の高速道路を延ばすこととなり、物流の機能強化や災害時の緊急輸送路として期待される。

 加えて9月7日には道東道に占冠PA、10月29日には由仁PAがオープンする。

(瀬戸 学)
2011年 7月 29日