マツダ「デミオ」メディア対抗エコ試乗会開催
仙台-東京415km、エアコンONの快適走行でも25.6km/Lの燃費

2011年7月27日開催



 マツダは7月26~28日、「マツダ デミオ メディア対抗エコ試乗会」を開催した。

 東京-仙台間415kmを、「デミオ 13-スカイアクティブ」で規定時間内に走破し、燃料消費の少なさを競うもの。Car Watchは7月27日に行われた、仙台から東京への走行にほかの8つの媒体とともに参加した。

 ルールは、編集部から1名、ライター1名の計2名が乗車し、仙台 秋保温泉を朝9時に出発、東北自動車道を南下する。途中、福島県内で90kmほどの一般道走行をはさみ、3つのチェックポイントを経て東京 向島のゴールまで走行する。ゴールのタイムリミットは18時で、これを過ぎると失格となる。

 用意された9台のデミオ 13-スカイアクティブは、抽選で各チームに割り振られる。ガソリンはマツダが給油してから封印する。車両にはGPSロガーが搭載されており、ショートカットや、燃費に有利な指定外コースの走行などがチェックされる。

 Car Watchはドライバーに弊誌連載「Car Life Diary」などでおなじみの飯田裕子氏を起用。編集部からは田中が同乗した。

箱の中のキーをクジ代わりに引いて抽選で車両を決める
Car Watchチームに割り当てられた車両フューエルリッドはシールで封印されている。このシールははがすと跡が残って不正が分かるようになっているスタート前、他チームの奇人ドライバーが飯田ドライバーに絡んできた。戦いはすでに始まっている(?)

コンセプトは“フツーのドライブ”
 ルールさえ守ればあとは参加チームの自由。エアコンをOFFにし、窓を閉めて暑さに耐えながら記録を狙うチームもあれば、エコランなどまったく意に介さずエアコンを効かせて普通に走るチームもある。

 Car Watchが採ったポリシーは「一般道はエアコンをOFFにして窓を開ける、高速道路はエアコンONで窓を閉める。どの道路でも流れに乗って走り、エコランのために極端に遅いスピードでの走行はしない」。つまり、“ちょっと燃費を意識しつつフツーにドライブ”という設定である。

 朝9時、割り当てられた車両で秋保温泉を出発、東北道の仙台宮城ICを目指すが、ここでCar Watchチームはナビゲーターの田中が早くもボケぶりを発揮、IC入口を通過して渋滞する仙台市内へデミオを突っ込ませるというミスコースを犯した。慌てて仙台宮城ICへ引き返すものの、往復約10kmと朝の渋滞通過という大ハンデを負った。

 しかし飯田ドライバーはそんな悪条件にもめげない。いまだ震災による段差が残る東北道には80km/h規制がかかっていたが、法定速度を守り、先を読んでスムーズな運転を続ける。

9時、いよいよスタート途中までは集団で走っていた各チームだが、すぐに走行ポリシーの違いが現れ、仙台宮城ICまでの間にバラバラにいきなりミスコースして大回りしたうえ渋滞にまでハマり、やっと仙台宮城ICにたどり着いたCar Watchチーム。ここまでで37分もかかった
高速走行中は窓を閉めてエアコンON。26~28度に設定して、基本的にオートに任せた未だ震災による段差などが残る東北道。宮城県内は80km/h規制がかかっていたトラックが非常に多い
東北無料化の影響で、料金所は一般レーンが大混雑。その列は時に本線にまで及ぶ

 福島西ICで一旦東北道を降り、約90kmの一般道走行でチェックポイントの二本松城と、昼食場所の高柴デコ屋敷を目指す。

 郊外の広い一般道でもアップダウンや信号によるストップ&ゴーが多く、エアコンを切って、窓を開けても平均燃費は24km/L台。高柴デコ屋敷では23.6km/Lまで悪化した。しかし幸いにして天気がよく、郊外の緑豊かな風景や風、草の匂いを楽しみながらの快適なドライブとなり、車内の士気は高いまま。

 高柴デコ屋敷ではゆったりと昼食をとり、郷土玩具の工房などを見学して1時間ほど過ごし、次のチェックポイント福島空港へ一般道を走る。郡山市街を出れば郊外の一般道は空いていてストップ&ゴーも少なく、福島空港に着いたときには23.8km/Lまで改善された。

一般道にも震災の傷跡が。郊外でもアップダウンやストップ&ゴーが多く、燃費には厳しい第1チェックポイントの二本松城。まだまだ意気軒昂な飯田ドライバー
第2チェックポイントの高柴デコ屋敷。昼食などで1時間近くここで過ごす特製復興だるまに参加者が寄せ書きしたデコ屋敷を出発。一般道ではエアコンOFFで窓を開け、郊外の空気を楽しんだ
第3チェックポイントの福島空港へ至る道は広く空いていてエコランしやすかった福島空港

過度のエコランは意味なし?
 福島空港ICからあぶくま高原道路を経て東北道に復帰、このあとはひたすら高速道路のエコランが続く。高速道路では予定通り窓を閉め、エアコンを26~28度に設定する。

 東京に向かってひたすら下っていくことになり、平均燃費は宇都宮通過時に25km/Lまで改善。佐野ICを過ぎたところで、それまでフルタンク表示だった燃料計がやっと1目盛り減り、蓮田SAでは平均燃費が25.6km/Lに達した。

 カーナビの予想するゴール時刻は、18時のタイムリミットにギリギリ。途中で渋滞があれば間に合わず失格になってしまうペース。高柴デコ屋敷からは全チーム中3番目にスタートし、「法定速度で走ってエコラン速度のチームを抜かし、渋滞する前に都内に入ってブッチぎりでゴール」などと考えていたのだが、デコ屋敷や福島空港でのんびり休憩していたことが悔やまれる展開に。しかし飯田ドライバーはあえてポリシー通りに法定速度走行を続行。結果的にはこれが平均燃費に大きく影響した。

 浦和に近づくにつれて交通量は増え、浦和料金所を過ぎて首都高速道路に入ると流れがぐっと遅くなった。小菅JCTの前では短い渋滞もあったが、飯田ドライバーのドライビングで平均燃費は25.7km/Lをキープしている。

あぶくま高原道路の段差は東北道よりひどかった那須高原付近で雨が降り出し、ヘッドライトやワイパーを動作させた東京へ近づき、交通量が増える

 向島ICを降りてゴールのガソリンスタンドまでの間に再度ミスコースがあったものの、タイムリミット6分前にゴール。他の車両が見当たらないので、最下位のゴールを覚悟したのだが、Car Watchの前にゴールしたのは1台だけと言う。もしかすると全員タイムアウトで失格、自動的にCar Watchチームは2位以上、などと期待したその5分後、タイムリミット数十秒前に全車がゴールするという結末を迎えた。

 Car Watchチームの平均燃費は25.6km/L、ゴールでの給油量は11.63Lとなった。この結果、9チーム中3位という好成績を収めることができた。1位チームがエアコンOFFの“ガチのエコラン”だったのに対し、2位、3位はエアコンONというのも印象的なところだ。実際、Car Watchチームも東北道で一時的にエアコンを切って瞬間燃費や平均燃費の推移を見たのだが、エアコンが入っていてもあまり変わらない、という結論に至っている。

向島に到着ゴールのガソリンスタンドで係員がフューエルリッドの封印を外し、給油
車載燃費計は25.6km/Lを示していた給油量は11.63L。たったこれだけのガソリンで仙台から東京まで走ったそして航続距離はまだ500km以上あった

 

3位の賞状を受け取る飯田ドライバー。疲れているのに予想外の高成績で満面の笑顔に

 さらに、エコラン速度で走行していたチームも、タイムリミットを意識して最後のほうで速度を上げ、これが燃費を悪化させたという面もあるようだ。Car Watchチームは飯田ドライバーが終始法定速度をキープするクレバーなドライビングを見せ、帳尻合わせの加減速をしなかったのが奏功したと言える。

 Car Watchチームの誇りは、仙台から東京までのドライブを快適に楽しみながら、好成績を収めたことだ。それは、デミオ 13-スカイアクティブの燃費性能と、それを生かした飯田ドライバーのスムーズな運転があってのことだった。

 なお飯田裕子氏によるこのエコランのリポートを、明日掲載する。

(編集部:田中真一郎)
2011年 8月 8日