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日産グローバルデザイン本部、TVアニメ「輪廻のラグランジェ」のロボットをデザイン
「アニメとクルマが協業できるのは日本の強み」

主役ロボットのヒューマンスケールモデルとスタッフ、キャストのみなさん

2012年1月放送開始



会場となった日産ホールには多数のファンが押しかけた

 日産自動車のグローバルデザイン本部は、TVアニメ「輪廻のラグランジェ」に登場するロボットをデザインした。10月16日、神奈川県横浜市の同社グローバル本社で製作発表会を開催した。

 「輪廻のラグランジェ」は2012年1月に放送が開始されるTVアニメ。プロダクション・アイジーが企画制作し、「機動戦艦ナデシコ」の佐藤竜雄氏、「蒼穹のファフナー」の鈴木利正氏らが参加する。

 千葉県鴨川市の女子高校生京乃まどかが、宇宙人との戦争に巻き込まれるというストーリー。まどかが宇宙人と戦うために乗り込むロボット「ウォクス・アウラ」をはじめ、ウォクス・アウラの僚機「ウォクス・リンファ」「ウォクス・イグニス」や、敵ロボットのデザインを、日産のグローバルデザイン本部が担当した。日産自動車の常務執行役員・チーフクリエイティブオフィサーの中村史郎氏が「“ロボットデザイン by 日産”と言っていいほど」と言うように、日産によるデザインが多数採用されている。

 依頼を受けたグローバルデザイン本部は、カーデザインと同じように、全デザイナーを対象に社内デザインコンペを開催。同本部の60人以上のデザイナーが参加し、最終選考で残った4案の中から、大須田貴士氏のデザインが、主役の「ウォクス」シリーズとして採用されたほか、菊池宏幸氏のデザインが敵ロボット「リベルタス」「ウォルンタス」「テネリタス」として採用された。

カーデザイン同様に社内コンペが行われた
左から主人公まどかが乗る「ウォクス・アウラ」、まどかの友人ランが乗る「ウォクス・リンファ」、ムギナミが乗る「ウォクス・イグニス」。いずれも人形(ウォーリア)モードと飛行(ピアサー)モードに変形する。(日産自動車 大須田貴士によるデザイン画)
敵ロボット。左から「リベルタス」「ウォルンタス」「テネリタス」(日産自動車 菊地宏幸によるデザイン画)

 

「輪廻のラグランジェ」キーイメージ

 日産自動車とプロダクション・アイジーは、2006年にプロダクション・アイジーの作品「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」に日産のコンセプトカーを登場させるという形でコラボレーションしている。

 中村氏は発表会で「攻殻機動隊のときに初めていっしょにやらせていただいて、非常にいい経験だった。今回、ロボットのデザインをやらないかと言われ、“おお来たな、みんなロボットが好きだし、やれやれ!”と思った」と、参加の経緯を語った。

 「我々から見ると、クルマのデザインもロボットのデザインも違わない。クルマは結局、動物や人間をクルマの形に置き換えている。ロボットも人間の形をデザインしているので、非常に近い。また、アニメのロボットはインスピレーションの源。アニメのロボットを見てクルマのデザインをしていると言ってもいいくらい。日産のクルマも、GT-Rはガンダムのようだと言われるように、アニメのロボットのようなクルマがいっぱいある。僕らには極めて自然で、異業種だけど、お互いに刺激を与えられるので、みんな楽しんでやってくれたと思う」と、世界でも類を見ない、カーデザイナーによるアニメに登場するロボットのデザインについて語った。

 デザインが採用された大須田氏も「クルマを描いているときもロボットを描いているときも、気持ちはそんなに変わらない。クルマが持っている勢いのある線や、線と線を結ぶ面の構成、塊感などはロボットでもクルマでも変わらない」と言う。「僕らに求められたのは、カーデザイナーが描く線や形だと思ったので、いつも以上に自分がカーデザイナーであることを強く意識してデザインした」。

中村氏 大須田氏

 

2012年1月放映開始

 日産のデザイナーによるロボットのデザインはアニメの作り手側にも非常に大きな事だったようで、総監督の佐藤氏は「ロボットのデザインありきの作品。どういう人が乗り込んで、どういうふうな話が展開していくか、ロボットを中心にストーリーや世界観を展開していくというふうに、作り方が変わっている」「兵器として乗り込む男の子的なロボットアニメではなく、乗り物として自動車やスクーターのような、日常の延長としてのロボットとして話をひろげていけたら面白い」と言う。

 「戦闘用のロボットというものは、仰ぎ見る形でデザインして威嚇するというか、怖そう、スゴそうというのが要求されるが、ウォクス・アウラはちょっと上の方から見て映えるデザイン。海を下にして空を飛ぶ絵が頭に浮かぶ、軽やかな感じがする」と、これまでにないロボットのデザインであることをアピールした。

 そのロボットを動かす役目を負った監督の鈴木氏は「リアルロボットっぽいアクションとか、スパロボ的な派手ものとはちょっと違うんだろうなという気がした。魔法少女もののような要素を入れたロボットアクションはできないんだろうか、女性らしい軽快で華やで軽やかなところが映えるようなロボットアクションが作れないかと思っている」と述べた。

 中村氏は日産がアニメのデザインに参加することの意義を「アニメとクルマのデザイン業界がクリエイティブ産業として協業できるのは、日本の強み。日本のアニメもクルマも、海外で認知されている。こうしたことで、アニメもクルマのデザインも面白くなって、日本全体が楽しくなる。クルマという産業が枠を超えてこういうことをやれるということを、皆さんに知ってほしい」と語り、また「デザイナーは気分がのらないといいものができない。理詰めでやってもだめ。こういうことを通じて彼らが自分たちを刺激できる。こういう環境を作るのが私の役目。日本のデザインの活性化を図れれば大成功」と、日産のデザイナーにとってもよい影響があったと述べた。今後もこのようなコラボレーションが計画されている模様だ。

 なお、このコラボレーションを記念し、日産「ジューク」にウォクス・アウラをイメージしたペイントを施したアートカーを制作。さらにウォクス・アウラの全高180cmのヒューマンスケールモデルも制作し、双方を10月16日〜11月11日に、日産グローバル本社ギャラリーに展示する。

ヒューマンスケールモデルとアートカーは日産グローバル本社ギャラリーに11月11日まで展示される
第1話のスチル。アムロじゃなくてまどかは宇宙人との戦争に巻き込まれ、ガンダムじゃなくてウォクス・アウラに乗り込んで戦うハメに

 

(c)ラグランジェ・プロジェクト

 

(編集部:田中真一郎)
2011年 10月 17日