警察庁、自転車は「車両」であることを徹底
自転車は歩道以外の場所を通行するよう促進

2011年10月25日発表



 警察庁は10月25日、「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策」を推進することを発表した。これは、東日本大震災による交通の混乱から自転車が通勤手段として見直され、利用の進展が見込まれること、2010年中の自転車関連の交通事故が事故全体の2割を占めること、自転車乗用中に死傷した者の約3分の2に何らかの法令違反が認められることなど、第9次交通安全基本計画で掲げた「平成27年までに24時間死者数を3000人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する」という目標を達成する上で自転車に対する対策が欠かせないためとしている。

 その基本的な考え方は、以下のとおり。

・車道を通行する自転車の安全と歩道を通行する歩行者の安全の双方を確保するため、自転車は「車両」であるということを全ての者に徹底。
・自転車本来の走行性能の発揮を求める自転車利用者には歩道以外の場所を通行するよう促進。
・歩道を通行する者には、歩行者優先というルールの遵守を徹底。

 自転車は道路交通法で「軽車両」に分類され、本来、車道を通行すべきものだが、「多くの歩道で普通自転車歩道通行可の交通規制が実施されていたこともあり、歩行者と同様の取扱いをされるものであるという誤解が生じていた」とし、自転車は「車両」であるということを、自転車利用者のみならず、自動車等の運転者を始め交通社会を構成するすべての者に徹底させるとする。

 これにより、歩行者と自転車を分離、歩行者優先というルールの遵守を徹底させる。高齢者や児童、幼児などが自転車を利用する場合、一定の条件で歩道の通行を認めるとしているが、歩行者優先というルールを遵守させる必要性があるとしており、街頭指導取締り、学校での交通指導などを行っていく。

 また、車道に関しては、自転車の通行量が特に多い片側2車線以上の道路において、自転車道等の整備を検討すること、利用率が低いパーキングメーターなどは撤去することとしており、各地方自治体へ自転車対策を呼びかけていくとともに、そのような対策がなされた道路では、駐車取締りを実施するなどの総合的な駐車対策を推進していく。

 そのほか、自転車利用者に対しては、ヘルメット着用推進や、交通事故加害者となった場合の刑事責任や賠償、通行ルールを守らなかった場合の罰則の周知などを図っていくとしている。

 これまで自転車は、歩道や車道を自由に走ってきた面もあるが、この方針により、大きく環境が変化していくことが予想される。ドライバーにとっても、自転車は車道を走るということを前提にした、混合交通における弱者優先の予測運転が、より求められることになる。

(編集部:谷川 潔)
2011年 10月 26日