日野、東京モーターショーで非接触給電ハイブリッドバスを運行 12月2日~18日まで、東京ビッグサイトと豊洲駅の間で運行 |
日野自動車は11月29日、非接触給電による電気とディーゼルのハイブリッドバスを公開した。このバスは、「第42回東京モーターショー2011」の会期を含む12月2日~18日まで、東京ビッグサイトと豊洲駅の間で運行する。
実証運行の期間は12月2日から12月18日までの17日間。12月11日までの東京モーターショー2011の期間と、その後開催されるエコプロダクツ2011などの会期が含まれる。運行時間は午前2往復半、午後2往復半の合計5往復。乗車は無料だが、乗車場所付近で配られる整理券が必要で、利用者向けのアンケートも行われる。
非接触給電 電気・ハイブリッドバス | ||
ルーフにはリチウムイオンバッテリーやエアコン装置が入る | 協力団体 | 受電設備は床下のこの部分にある |
受電装置を下げたところ。非接触だが電気接点が非接触なだけで受電部分は道路に密着する |
エンジンは後方あり、モーターはその奥にある | EVを主としたハイブリッドバスであることが側面に書かれている |
ハイブリッドバスの動力は、電気モーターと小排気量のディーゼルエンジンを組み合わせたパラレルハイブリッド方式。通常はモーターで走行する電気自動車(EV)で、非常時のほか充電設備のない場所や、高台への登坂時にディーゼルエンジンを併用する。充電は、道路に埋め込んだ設備と床下の受電装置で電気を伝達する非接触式ということが特徴となる。
モーターの最高出力は177kW(240PS)、最大トルクは834Nm(85kgm)で、これに4.7リッターのディーゼルエンジンを組み合わせる。現在、実用化しているハイブリッドバスに比べてエンジン排気量は小さくなっている。バッテリーはリチウムイオン充電池で容量は31.7kWh(576V×55Ah)。
フル充電で走行できる距離は市街地走行時で約15km(EVモード)、エンジンと組み合わせたハイブリッドで約300km。
運転席は一般的なバスと大差ない。シフトレバーもクラッチペダルもある | 料金箱も設置されている | |
運転席の右後方上に充電の操作画面がある | 運行中は別の画面になる | 運転席後ろのディスプレイには走行状態が表示される |
今回は試作車ということもあり、椅子のデザインに凝ったと言う |
天井はLEDによる照明 | バリアフリー設備も搭載している |
パラレル式ハイブリッドのため、走行は通常のマニュアルトランスミッションのバスと同じでクラッチや変速などの操作が必要だが、実用化に向けて伝達ロスのあるトルコン式ではなく、クラッチ操作と変速を自動化したAMTの搭載を検討している。ハイブリッドの方式がシリーズ式でなくパラレル式を採用した理由として、登坂性能などを重視したことなどを挙げている。
非接触式給電の進化では、非接触給電を行う際、正確に停車する「正着性」を向上させた。具体的にはカメラを搭載し、充電設備コイル位置をあわせるための停車位置を確認しやすくしたほか、従来は道路側にあった充電装置の電源の操作を、バスの運転席から行えるようにした。
バスの仕様 | 低公害性能 | 車両の概要 |
充電を運転席から操作可能 | 正着性の向上 | 実証運行のダイヤ |
また、東日本大震災での教訓から、電力供給機能を設けたことも特徴となる。発電装置から単相200Vおよび100Vの電気を供給可能で、軽油を満タンにした状態から、一般的な体育館なら水銀灯をフル点灯(400W×20灯)させた状態で連続31時間給電できる。
今回の実証運行では、東京都建設局と東京都交通局の協力を得て、東京ビッグサイトと豊洲駅バスロータリーに充電設備を仮設した。運行パターンは東京ビッグサイト側を回復充電として約20分の充電、豊洲駅では途中停車時の充電を想定した1~3分の短時間充電を行う。バスの所属となる深川車庫では充電しない。
給電設備も搭載していて、車内から電源ケーブルを伸ばして電灯を照らすことができた | 充電設備と位置を合わせるためのラインが敷かれる | |
東京ビッグサイト側のバス停に仮設された充電設備 | 東京ビッグサイト側は、本来なら400Vの電源を引くところだが、今回は短期間の試験ということもあり、発電機から給電する | 豊洲駅バスロータリーにも充電設備を仮設した。この位置が乗車場所となる |
(正田拓也)
2011年 11月 29日