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【連載】西川善司の「NISSAN GT-R」ライフ
第4回:毎日乗るクルマとしてのGT-Rの使い勝手はいかに?


 実はこの連載、結構先の回まで書いてしまっていて、そのネタの多くは「何の気なしに純正に落ち着いてしまうカーグッズだけど、社外品もなかなかよいよ」という切り口のものとなっている。こうしたネタを、あまり社外品に目が向けられなさそうなR35 GT-Rというモデルを介して取り上げることで、そのコントラスト感を最大限に出す……というのがコンセプトだ。

 連載第1回目の購入商談編なども、実は同様のコンセプトによるものだ。いかに余計なコストを省いて購入し、さらにはどうやって固定維持費を安く抑えるか、という自動車購入時における普遍的なテーマを、値引きなしの高額なR35 GT-Rで取り上げることで、そのコントラスト感を際立たせたのであった。

 また、縁遠く思われがちなR35 GT-Rを、色々と工夫すれば意外に現実味のある車種だということを分かってもらいたいという意図もあった。今では接しやすいスポーツタイプのクルマにはトヨタ自動車の「86」、スバル(富士重工業)の「BRZ」などがあるので、この意図はなかなか届きにくくなってしまった気はするが。

 そんな流れの記事が続く予定だったのだが、ここにきて「走行インプレッションはまだですか?」という意見が寄せられるようになってきた。実にまっとうな意見である。

 しかし、そもそもR35 GT-Rは2007年末に発売されたモデルであり、すでに自動車評論家の方々が、その長所や短所について言及されている。そのため「サーキット走行会にたまに参加する、一介のクルマ好き」レベルである筆者がやる必要はないのでは? と思っていたのだ。

 ところが、「普段乗りのリポートはあまりないので、改めてやる価値はあると思うよ?」という編集長の後押しもあって、今回はその意に沿った内容にしてみた。というわけなので、「乗り回す」ネタではあるのだが、あまりR35 GT-Rの限界性能がどうという話題ではなく、きわめて日常的な乗用車として乗り回した際のインプレッションをお届けしたいと思う。

オーナーズマニュアルには「ならし運転について」のページがあり、その方法が事細かく記述されている

首都高の距離別料金制を有効に活用した慣らし運転術
 筆者のR35 GT-Rが納車されて早3カ月。途中、海外出張などがあったので、まだ走行距離は2000kmを超えた程度だ。

 納車されてから、まず行ったのは「慣らし運転」だ。「工作精度が上がっている昨今、慣らし運転なんて必要ない」という意見をお持ちの方も多いと思うが、R35 GT-Rではオーナーズマニュアルに「ならし運転について」と題されたページがあり、慣らし運転を行うことが「必要」と奨励されている。

 GT-Rは2000km走行後、12カ月、24カ月、36カ月後に無料点検があり、その際にホイールアライメント調整、エンジンとトランスミッションのセッティング調整、クラッチクリアランス調整、ドライブシャフトやサスペンションなどの各部位の増し締めが行われる。R35 GT-Rの場合は「エンジンの慣らし運転」というよりは、「車体全体の慣らし運転」といった位置付けのようで、車体全体の馴染みを出させるのが目的のようである。

 まあ、何だかんだいっても「納車直後の慣らし運転」を嫌がるクルマ好きはいないだろう。納車直後というのは、やはり嬉しく楽しいもので、暇さえあれば乗ってしまうもの。むしろ「慣らし運転」という理由付けをして乗り回したくなることが多いはずで、ご多分に漏れず筆者もそうであった。

 納車された2月中旬は、筆者の諸事情により退院直後のタイミングとなったが、病み上がりの気紛らし目的と車体に慣れたいという目的から、平日は1週間に2〜3回程度、夜中2時くらいから首都高速にドライブしに出かけていた。

 首都高は今年の1月から最大900円の距離別料金制になったが、これは慣らし運転にはありがたいシステムだ。昨年まで首都高は筆者の地元の埼玉線が400円、東京線が700円、神奈川線が600円という個別料金だったのだが、今年から3線を利用しても900円で済むようになったのだ。むろんガソリン代は走った分だけ掛かるが、高速代はこれらの路線をいくら乗り継いで走っても900円なのだ。旧料金だと1700円だったわけだから、約半額に近いコストで走れることになる。

大黒SA(サービスエリア)が折り返し地点とした筆者の慣らしコース 平日深夜の大黒SAはガラガラだ

 ルートとしては、埼玉線与野IC(インターチェンジ)から入り、4号新宿線を抜けて大橋JCT(ジャンクション)に出て、3号渋谷線経由で神奈川線に乗り大黒PA(パーキングエリア)まで行く、というのが片道コース。大黒PAは混雑しているというイメージがあるが、平日の夜中はほとんどガラガラだ。

 大黒PAで缶ジュース休憩をしてから帰路に就くが、帰りは同じ道を通らない。大黒PAは折り返しができるので、ここから湾岸線に抜けて、中央環状線(C2)に入る。C2からは2パターン。気分次第でC2から埼玉線に接続してそのまま戻る場合と、6号向島線経由で都心環状線(C1)を回ってから帰るパターンがある。

 このルートの走行距離は約150km。入った料金所から、一度も一般道に降りることなく大黒PAで折り返し、元の与野料金所に戻るルートとなり、高速料金は合法的に900円だ。

慣らし運転用ルート。C1を追加で走るとさらにその分距離がプラスされる

GT-Rの「3500RPM縛り」ファーストインプレッション
 「慣らし運転中は3500rpm以下で」とオーナーズマニュアルに書いてあり、さらには「急ブレーキと急加速は避けること」とも書いてあるため、夜中で道が空いているとはいえ、あまりアクセルを踏み込むことはできない。150kmの道中は、速度を一定に保ちながらのいわゆる“巡航スタイル”での走行となる。

 以前の愛車だったRX-7(FD3S)と違うのは、よくもわるくも「1枚分厚い鎧を着ている」という感じの乗り味だということ。筆者が乗っていたRX-7は、マツダスピードのRスペックのフルエアロにしていたので、空力性能が極めてよく、空気の壁を“いなす”ように高速になればなるほど安定度が増したが、その一方で、路面からのインフォメーションの周波数が上がるような、言い換えると路面との距離が近くなっているかのようなスリリングな感覚も増した。そこがRX-7の楽しさでもあったわけだが、GT-Rの場合は高速域になればなるほど路面からの振動が少なくなり、乗り味が穏やかになる。しかし、4輪の接地感は実感できるので滑っているという感覚ではなく、ノイズカットされ安定した路面インフォメーションを体感できるというイメージだ。


R35 GT-Rには独特な乗り味がある

 かつて、ある雑誌に載っていたR35 GT-Rのインプレッションで「UFOみたいだ」という面白い表現を目にしたことがあり、その時は「UFOに乗ったことがあるのか?」と突っ込みを入れたものだが、実際にオーナーとなって乗ってみると、理解に困る新しい乗り味を「UFO」という表現にしてしまう理由を理解できた気がした。

 首都高の東京線は曲率半径の小さいタイトなカーブが多く、その各コーナーの旋回速度は、筆者の運転の範囲内ではRX-7とR35 GT-Rでそれほど大きな差はないと感じる。しかし、GT-Rの方が「怖さ」は圧倒的に少ないのだ。このスリルの大小をよしと捉えるか、つまらないと捉えるかで、R35 GT-Rの評価は変わってくるのかもしれない。

 あくまで「3500prm縛りの中での筆者の運転で」という条件付きの話にはなるが、R35 GT-Rの方がスリルが少ない分、スピードを落とす機会(アクセルOFF、あるいはブレーキON)が減るため、走行区間全体の平均スピードで見ればRX-7より速いという印象はある。

 筆者はRX-7を手放してしまい、今はR35 GT-Rしかないので、この「新しい乗り味」を意識的に「楽しい」と思い込むようにしている。実際、自分もいい歳になってきたので、この乗り味の方が自分の年齢相応という気もしている。

「街乗り」におけるR35 GT-R
 続いて話題を「街乗り」に移そう。

 R35 GT-Rは4670×1895×1370mm(全長×全幅×全高)というサイズで、結構大きい。今でこそ慣れてしまったが、最初に乗ったときは「RX-7よりもひと回り大きい」と感じた。ちなみにRX-7は4285×1760×1230mm(同)だ。1990年代、「大きすぎ」と言われた三菱自動車工業のスポーツカー「GTO」でも4600×1840×1285mm(同)なので、本当に大きいのだ。

 実際問題、サイズに慣れた今でも住宅街など道幅の狭いところでは大きさを実感することがある。ただ、走行に支障があるかというとそんなこともなく、R35 GT-Rよりも大きいミニバンも平気で往来しているので、現実的には普通に走れてしまう。

 筆者のようなコンパクトなスポーツ系車種からの乗り換えや、軽自動車やコンパクトカーからの乗り換え派は最初、R35 GT-Rのサイズに緊張を覚えるかも知れない。しかし、普段から大型のセダンやミニバンに乗っている人ならばなんてことはないはずだ。

 ドライビングポジションは、運転席では前後スライド、リクライニング角度の調整以外に、座面の上下位置を座面の前後領域に対して独立で調整できる。

 ステアリングは、前後への引き出し具合と上下の調整が独立して行えるチルト・テレスコピック調整に対応していて、さらにステアリングの調整に連動してメインのメーターパネルも動いてくれる。このカスタマイズ性の高さには、RX-7から乗り換えた筆者からするとちょっと感動する。

慣れてしまえば街中でも普通に走る分には何の不便さもない 左側がリクライニングとシートの前後移動および座面後ろ側の高低調整用スイッチ。右側が座面前側の高低調整用スイッチ ユーザーにとっての最適なドライビングポジションが得やすい。ただしメモリー機能はない

 R35 GT-Rのようなスポーツモデルだと、気になるのが車高の問題。「車底を擦らないか」「バンパーの顎先を擦らないか」「後退駐車で車止めに寄せてマフラーに当たらないか」など、車高の低いスポーツモデルのオーナーはいつも神経を尖らせている。

 R35 GT-Rの場合は、純正で最低地上高が約11cm。これは販売完了したレクサス「LFA」、今年の8月で生産を終了することが明らかになった軽自動車のコペンを除き、現行の日本車の中ではトップクラスの低さだ。日本の法規では車高が9cm以上確保されている必要があるが、もちろん車検上は問題ない。ただ、純正状態でここまで低い状態で納車されることには、筆者も感動した。

 ワークス製のコンプリートカーを除き、いわゆるメーカー工場で生産される量産車種として、過去には本田技研工業の「NSX タイプR」の12.5cmあたりが、最低地上高の低さとしては国産車トップだったと思う。参考までに述べておくと、先代の「スカイライン GT-R(R34)」は13cmだった。

 RX-7の車高は純正で13.5cm、筆者の愛車はRE雨宮製のサスペンションを装着して3.5cmローダウンしていたので10cmだった。それと比べると、R35 GT-Rの11cmはそこから1cmも車高が高いわけだが、ボディーの大きさの比率からくる見た目の低さのインパクトは、RX-7よりも大きく、低く見える。

R35 GT-Rの最低地上高は11cm

 さすがに最低地上高10cmのRX-7(以下、筆者RX-7)でも車道を走っていて底打ちをしたことはないので、11cmを確保しているR35 GT-Rならばまったくそうした心配はない。普段走っていて低すぎると感じることはない。

 ただ、筆者RX-7は、道路から駐車場に入る際などにまたぐことになる斜面が急勾配だと、上がるときは大丈夫でも下る時にフロントバンパーの顎をすることがあった。R35 GT-Rの場合、筆者RX-7で擦ってしまっていたそうした斜面でも「顎擦り」が起こらないので助かっている。

 理由の1つは、車高がRX-7の時よりも1cm高いこと、もう1つは車輪の直径がR35 GT-Rの方が格段に大きいため。これはちょっと補足説明が必要かもしれない。

 話を簡潔にするために前輪だけに着目した話をすると、筆者RX-7の前輪は幅235mm、扁平率45%の17インチタイヤだったので、直径は約640mm。R35 GT-Rは幅255mm、扁平率40%の20インチタイヤなので直径は約710mmとなる。直径にして7cmも違うことになる。

 タイヤ直径が変わると、当然タイヤの接地面の曲率はずいぶんと変わってくる。直径が大きいタイヤ(円)ほど、その接地面(外周)がフラットになってくるのはイメージできるはずだ。簡潔に言うなれば、斜面や段差から降りる時、その高低差の影響をあまり受けないで降りられると言うことだ。

 車高がらみの話題でもう1つ。車高の低いスポーツモデルにとって鬼門なのが「車止め」だ。

 一般的な車種のオーナーは、この車止めに車輪が触れたら停止、といった駐車方法を実践しているかもしれないが、これを車高の低いスポーツモデルでするのは御法度。フロントから駐車するときに同じことをすると、フロントバンパーの顎下を車止めにぶつけることになるし、バックで駐車する際もディフューザーやマフラーを車止めにあててしまうことがある。筆者RX-7の場合も、所有していた10年の間に何度かこれをやってしまったことがある。

 R35 GT-Rの場合はと言うと、フロントバンパー部の最低地上高は実際に11cmしかないので、やはり前向き駐車をすると背の高い車止めに衝突してしまう。しかし、リアバンパーの最低地上高は実測してみたところ約15cmもあったので、極端に背の高い車止めでない限りは、後ろ向き駐車で後輪にあたるまで下がっても大丈夫そうだ。しかし、その「極端に背の高い車止め」というのは意外に多く存在するので、注意するに越したことはない。

後部の最低地上高は約15cm。一般的な高さの車止めならば後輪にあてても擦ることはない

 まとめると、一般的な車種のオーナーから見るとバカみたいに思える話かもしれないが、RX-7時代は斜面の段差角度のせいで入れなかった駐車場、ファミレス、コンビニに、R35 GT-Rになってからは入れるようになったのである。

 R35 GT-Rの20インチタイヤは大きすぎるという批判もあるが、低い車高を補う側面については、筆者は評価したい。低い車高に大いなるロマンを感じないユーザーには「何のことやら」という感じだろうが、スポーツカー乗りにはこのあたりの話題は非常に重要なのであえて触れておいた。

2ペダルによる運転はかなり楽

R35 GT-Rの「運転し心地」
 街乗りしていて楽なのは、やはり2ペダルのドライビングシステムだ。

 R35 GT-Rはデュアルクラッチトランスミッションを採用していて、一般的なAT車と同じように運転できる。実際、R35 GT-RはAT限定免許でも乗れるモデルなのだ。

 坂道発進も至って楽だ。どんなにMT歴が長くても、坂道発進はちょっと嫌なもの。筆者RX-7はスポーツメタルクラッチに交換していて半クラッチ領域が極端に狭かったので、慣れている愛車とはいえども、勾配の大きい坂道ではやや煽り気味で発進することもあった。その点R35 GT-Rでは、「ヒルスタートアシスト」と呼ばれる機能を搭載していて、坂道の時はブレーキペダルから足を放しても、2秒間はアクセルが踏まれるまでブレーキを維持してくれるのだ。大型モールの駐車場でありがちな「渋滞している急勾配の駐車場」などにおいて、この機能はかなり使える。

 また、ステアリングに備わる左右のシフトパドルは、コンピュータによる自動シフトをキャンセルして、ドライバーが自発的にシフト操作をするためのもの。パドルを1回押し込みむとマニュアルモードに移行し、さらにもう1回押し込んでギアチェンジになる。ATモードからシフトするにはパドルを2回押し込まないとダメだと言うことだ。これは意外に不便だと感じた。

 さらに、マニュアルモードからATモードに戻すためにはシフトレバーを右に倒さなければならない。この操作を行うには、左手がステアリングから離れることになるのであまり嬉しい操作系ではない。ちなみに、三菱自動車の「ランサーエボリューションX」だとシフトパドルの長押しでATモードに戻ることができるので、左手をステアリングから離さなくて済む。こうしたトランスミッションのモードチェンジの際、操作する項目が多いことには不満を覚えた。

 R35 GT-Rには3つのセットアップスイッチがあり、左端のスイッチがトランスミッションの動作モードの切り替えになっている。この動作モードとは「AT/MT」の動作モードのことではなく、ATモード時の動作アルゴリズムのことだ。

R35 GT-Rのコンソールに並んだセットアップスイッチ。左端はトランスミッションの動作アルゴリズムを変えるためのもの

 Rモードはスポーツ走行用でもっともシフト動作が速く、ノーマルモードが基準モード、SAVEモードは低燃費走行モードになる。

 街乗りではSAVEモードが圧倒的に優秀だ。驚くほど速く6速に入れてしまい、エンジンを低回転に維持して走行してくれる。一方、高速道路などでは、ノーマルモードかRモードが望ましいと感じる。高速道路におけるSAVEモードは、追い越し時のキックダウンによるシフトダウンがとてもダルに感じられ、乗りにくいのだ。もちろん80km/h巡航などをする際にはSAVEモードでもよいとは思うが。

 セットアップスイッチの話題になったのでついでに言ってしまうと、トランスミッションの動作モードスイッチをSAVE方向に長押しすると、10km/h以下で強制的に後輪駆動(FR)固定モードにできる。これは「タイトコーナーブレーキング現象緩和モード」と呼ばれるもので、ステアリングを半回転以上切った状態で発進するような車庫入れやUターン時に便利な機能だ。

 タイトコーナーブレーキング現象とは4WD車特有の現象で、ステアリングを一杯切った状態からの発進/後退が行いにくくなってしまうもの。ステアリングを切った状態では前輪と後輪の円軌道が異なる。つまり、前輪と後輪で回転差が生じることになり、この回転差が走行時の抵抗を生むことになる。R35 GT-Rの「タイトコーナーブレーキング現象緩和モード」では、駆動をFR固定とすることでこの現象を回避するのだ。実際、かなり便利だし、4WDメカへの負担軽減にもよいかなと思い積極的に活用している。

真ん中はサスペンションの減衰力を変更するためのもの

 セットアップスイッチの真ん中は、サスペンションの減衰力モードを変えるものでスポーツ走行用のRモード、標準状態のノーマルモード、乗り心地優先のコンフォートモードの3つが選択できる。

 低速の街乗りでは絶対的にコンフォートモードがよい。足まわりがかなりマイルドになり、粗い路面でも跳ねずに追従するような乗り味になる。高速道路でも一定速度での巡航時はコンフォートモードが快適だ。乗り味の面で、ノーマルモードとの差はかなりあるので、筆者は積極的に活用している。


メーターに表示される平均燃費は実際よりもかなり低い値になっている。生涯燃費的な計算法になっていると思われる

R35 GT-Rの実効燃費は?
 スポーツモデルとはいえども、気にかかるのは燃費だ。

 V型6気筒3.8リッターターボエンジンを搭載するR35 GT-Rは、絶対的な燃費は一般的なモデルと比べればよくはない。ただ、前の愛車であるRX-7よりはだいぶよい。「燃費のわるいロータリーエンジン車と比較するな」と言われそうだが、これはエンジンの世代の違いが大きいと思っている。

 筆者RX-7はブーストアップ仕様で、最高出力340PS、最大トルク40kgmだったこともあり、ノーマルよりも燃費はわるい傾向にあったので満タン法計算で燃費は5〜6km/L程度だった。絶対値だけ見ると確かに低いが、基本設計が1990年代のハイパワーのスポーツモデルは大体これくらいの数値だったので、取り立ててRX-7がわるいというわけでもない。

 R35 GT-Rの場合は、同じく満タン法で6〜8km/Lといったところ。6km/Lになることは殆どないが、あまりにも長い渋滞にはまってアイドリング状態が長いときにはそのくらいになることもあった。しかし、渋滞などがなく巡航できる状態で、トランスミッションモードをSAVEモードにしていれば8km/Lに近い燃費を示す。8km/Lに近いときの燃費は、賢いエンジン制御とトランスミッション制御によって実現されているのだと思う。

 なお、R35 GT-Rのメーターコンソールは平均燃費を表示できるが、この平均燃費は生涯燃費に近い計算法なのか、満タン法で算出される燃費よりもだいぶ低い値になる。

おわりに
 R35 GT-Rは4人乗りなので、後部座席の乗り心地についてもリポートしたかったのだが、実は走行中のR35 GT-Rの後部差席にまだ乗ったことがないので、今回は触れていない。静止状態で座ってみた感じでは、ボディーサイズが大きいこともあって後部席の座面は大人がちゃんと座れる深さはあると感じた。RX-7の場合は大人が座るには厳しかったが、R35 GT-Rの場合はなんとか座れる、という印象はある。

R35 GT-Rは4人乗りだ 後部席の乗り降りを迅速に行えるように、イッキに座席を倒すレバーも備わっている

 足下のクリアランスについては、前席に座る人が意識してくれればちゃんと足を床における。ただ、後部のウインドーがかなり後ろに向かって傾斜しているので、身長が170cm程度あると窓ガラスに頭が付きそうになる。身長160cm台かそれ以下の子供や女性ならば、「スポーツカーの後部座席」という心構えの上で乗れば、結構普通に乗ってもらえるかもしれない。いずれにせよ、エマージェンシーシートとしては、RX-7よりも機能性は高いと感じた。

足下は広くはないが座面は奥に広い。ヒップの収まりもよい

 筆者はR35 GT-Rのみの1台体勢なので、地元のスーパーにも取材にもR35 GT-Rで出かけているので、よい道も通ればわるい道も走る。4月の爆弾低気圧の襲来の時には、首都高走行中に暴風に煽られた飛来物(事故車か何かのパーツ?)にヒットし、さっそく傷が付いたりもしている(これは任意保険の等級据え置き事故として処理済み)。その意味では、今回のリポートはかなり等身大のリアルなインプレッションを述べているつもりだ。

 これをきっかけに、R35 GT-Rはもとより、スポーツモデルに興味を持って貰えれば幸いである。

(トライゼット西川善司 / Photo:清宮信志)
2012年 5月 22日