三菱自動車、今夏発売予定の「ミラージュ」プロトタイプ試乗会【前編】
1リッターエンジン+CVTでJC08燃費27.2km/Lを目指す



 三菱自動車工業は6月5日、今夏に発売予定のグローバルコンパクトカー「ミラージュ」のプロトタイプ試乗会を、報道陣向けに開催した。本編ではミラージュの概要を、後編では自動車ジャーナリスト・岡本幸一郎氏によるインプレッションを紹介する。

 新型ミラージュは、昨年の東京モーターショーでワールドプレミアされた、同社の世界戦略車。生産はタイの現地法人であるミツビシ・モーターズ・タイランドのラムチャバン工場が担い、4月にラインオフ式を実施した。タイでは4月19日時点で1万5000台超、5月31日時点で2万5000台を受注したとしており、「大変好調」な滑り出しと大きな自信を覗かせる。

 その新型ミラージュは、「新興国におけるエントリーカー」と「先進国における環境対応車」という2つの側面を持ち、「ガソリンエンジンでトップの低燃費」「扱いやすいコンパクトサイズ」「お買い得感のある価格」「豊富なボディーカラー」の4点を特徴とする。

新型ミラージュのプロトタイプ。試乗会の時点で発表されたボディーサイズは3710×1665×1490mm(全長×全幅×全高)

パワートレーンは新開発の直列3気筒 1.0リッターエンジンに副変速機付きCVTを組み合わせる

 もっとも注目される燃費については、JC08モード燃費で27.2km/Lを目指すことを明らかにしており、この数値が実現されればトヨタ「ヴィッツ SMART STOPパッケージ」の21.8km/L、日産「マーチ 12X/12G アイドリングストップ」の23.0km/L、マツダ「デミオ 13-SKYACTIV」の25.0km/Lを超え、ガソリンエンジン登録車トップに躍り出ることになる。

 この27.2km/Lを実現するべく、パワートレーンは新開発の直列3気筒 1.0リッターエンジンにジヤトコ製の副変速機付きCVTを組み合わせる。これに可変バルブタイミング機構「MIVEC」やアイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」、減速エネルギー回生システムといったエコサポート技術を盛り込んだ。

 また、ボディーには980MPa級、590MPa級、440MPa級の高張力鋼板を、現行コルト比で約20%採用拡大し、約7%の軽量化を実現したと言う。さらに、エクステリアは誰もが親しみやすいデザインとしつつ、左右下部にエアダムを設けることで空気の流れを最適化したフロントバンパー、後方に向かって緩やかに落としたルーフライン、前方から流れる空気をスムーズに剥離させるためにエッジを効かせたリアバンパーコーナー部のデザイン、フロントアンダーカバー、フロアアンダーカバー、リアスポイラー、凹凸の少ないデザインのホイールカバーの装着など、空力面の追求も徹底したと言う。

 ボディーサイズについては3710×1665×1490mm(全長×全幅×全高)とし、ヴィッツの3885×1695×1500mm(同)、マーチの3780×1665×1515mm(同)、デミオの3900×1695×1475mm(同)と比べ全長を短くしつつ、乗員5名が快適に過ごせる居住空間の確保に努めた。室内サイズは1870×1390×1220mm(室内長×室内幅×室内高)としている。

 ボディーカラーには、新色となるレモネードイエローメタリック、ポップグリーンメタリック、カシスパープルメタリックとともに、セルリアンブルーマイカ、レッドメタリック、ホワイトパール、クールシルバーメタリック、ブラックマイカの全8色を設定した。カシスパープルメタリックは日本専用カラーとしている。

エクステリアデザインは誰もが親しみやすいものとしつつ、空力面の追求も徹底的に行ったと言う

 インテリアでは、水平基調のインストルメントパネルを採用し、上面をシンプルにすることで前方視界を配慮しつつ、開放感のあるデザインとした。また、シフトパネル、シフトノブ、メーターリング、エアコンの吹き出し口外周部にシルバーの加飾をあしらうとともに、ドアハンドルにクロームメッキを施すことで、上質感も高めた。

 また、車両感覚をつかみやすくするため、運転席からボンネット両サイドが見える形状としたほか、Aピラーを細く、ベルトラインを低く設定することで、前方&側方視界を確保。さらに最小回転半径は同社の軽自動車「eK ワゴン」と同じ4.4mで、取り回しのよさも特徴としている。

 インテリアカラーはブラック&アイボリー、ブラックの2色で、いずれもワッフル調ニットのシート生地を採用した。運転席にはダイヤル式のハイトアジャスターを採用したほか、後席はシートバックを少し寝かし気味の設定にすることでゆとりを感じる着座姿勢を表現したと言う。

 なお、同社の取締役社長 益子修氏は、2011年ジュネーブモーターショーでの「コンセプト グローバル スモール」(ミラージュのコンセプトモデル)発表の場において、欧州市場に1万ユーロ以下で発売すると明言しており、日本で導入される新型ミラージュのエントリーモデルは100万円を切る可能性もある。今回の試乗会で車両価格は明らかにされなかったので、正式発表を今から心待ちにしたい。

ブラック&アイボリーカラーのインテリア
ブラックのインテリア
インテリアでは助手席グローブボックス、グローブボックス上部のオープントレイ、コンソールトレイ、フロントドアポケット(ボトルホルダー付き)、前席/後席用カップホルダー、助手席シートバックポケットなど、多数の収納スペースが用意される。後席は6:4分割可倒式

新型ミラージュ(プロトタイプ)諸元
全長×全幅×全高[mm]3710×1665×1490
ホイールベース[mm]2450
前後トレッド[mm]1430/1415
最低地上高[mm]150
室内長×室内幅×室内高[mm]1870×1390×1220
エンジン直列3気筒 1.0リッター
トランスミッションINVECS-III CVT
JC08モード燃費[km/L]27.2
ステアリング形式ラック&ピニオン(電動パワーステアリング)
前/後サスペンションマクファーソンストラット/トーションビーム
主ブレーキ形式ベンチレーテッドディスク(13インチ)/リーディングトレーリング(7インチ)
タイヤ165/65 R14
定員[名]5

(編集部:小林 隆)
2012年 6月 7日